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【品種別】メロンの糖度平均値一覧! 甘い「高単価メロン」栽培のコツは?
出典 : freeangle / PIXTA(ピクスタ)
  • 農業経営

【品種別】メロンの糖度平均値一覧! 甘い「高単価メロン」栽培のコツは?

高品質かつ高単価のメロンを栽培するには、まず品種について学び、自身の栽培環境に適したものを選ぶことが重要となります。そこで今回は、一般的なメロンの糖度や品種について詳しく紹介します。栽培における特徴なども解説しているので、ぜひ参考にしてください。

一般的なメロンの平均糖度と、「甘いメロン」の基準値

まずは一般的なメロンの平均糖度や、甘いメロンと呼ぶにはどの程度の糖度が必要となるかを紹介します。果肉の色による甘さの違いについても、あわせて解説します。

メロンの糖度測定

Chonticha stoker / PIXTA(ピクスタ)

甘いと感じるメロンの糖度は「14度」が目安

一般的なメロンの糖度は12~18度です。一般的に人間の味覚では、14度を超えると甘いと感じやすくなるため、14度が甘いメロンの基準といえるでしょう。

参考:糖度とは?

糖度とは、果汁100gの中に何gの糖分(果糖、ブドウ糖、ショ糖など)が含まれているかを表す指標です。

しかし、メロンなどの果実に表示されている「糖度〇度」という数値は、糖度計で測定した「Brix(ブリックス)値」です。

Brix値は、果汁に溶けている固形物の濃度を表す指標で、糖分のほかに塩分や酸も含まれている場合があります。そのため、酸味が強い果実などは、Brix値が高くても必ずしも甘いとは感じません。

メロンなど酸味の少ない果実の場合は、Brix値の高さが甘みにつながるため、表示される糖度が高ければ高いほど甘くておいしいメロンということになります。

青肉系・赤肉系など、果肉の色によって甘さに違いはある?

青肉メロン 赤肉メロン

Rhetorica / PIXTA(ピクスタ)

メロンの品種には「青肉系」、「赤肉系」、「白肉系」の3種類があり、それぞれ代表的な品種としては以下のものが挙げられます。

種類果肉の色代表的な品種
青肉系淡いグリーンのような果肉マスクメロン、アンデスメロン
赤肉系オレンジ色の果肉夕張メロン、クインシー
白肉系ウリのような真っ白い果肉ホームランメロン、ハネデューメロン、マーブル

白肉系は馴染みの薄い品種ですが、メキシコなどから輸入されることが多いハネデューメロンは、とても甘くて果汁たっぷりなメロンです。

一般的に赤肉系のほうが甘いといわれていますが、実際の糖度はいずれも同程度で、果肉の色によって甘さに差があるということはありません。

人間が感じる甘みは、糖度だけではなく、食べるタイミングの熟度や香りなどによっても違います。青肉は比較的さっぱりした甘さに感じたり、赤肉系はより甘みが濃厚に感じるなど、感じ方に差がでるようです。

一覧でチェック! 甘くなりやすいメロンの品種と、糖度の目安

次に、甘いとされるメロンの品種の平均糖度や果実の特徴、作型などを紹介します。品種を選ぶ際の参考にしてください。

タカミメロン(青肉・ネット系)|糖度は15~16度

タカミメロン

ykokamoto / PIXTA(ピクスタ)

網目が細かく、ネットの盛り上がりが浅いメロンで、糖度は15~16度です。果汁が多くて糖度が高くなる傾向があります。果肉がやや固く、日持ちがいいことも魅力の1つです。

地這い栽培で収穫時期は7~8月上旬頃となっています。つる割病やうどんこ病、つる枯病に強い品種です。

2010年に発表された赤肉タイプのタカミレッドも同じく高糖度のメロンに生長しやすいという特徴があります。

オトメメロン(青肉・ネット系)|糖度は15度前後

オトメメロン

ykokamoto / PIXTA(ピクスタ)

茨城県生まれのオリジナル品種で、早出しメロンの中では大玉に生長する傾向があり、網目も細かくて美しいメロンです。糖度は15度前後で皮が薄く果肉に厚みがあり、ジューシーですっきりとした味わいが楽しめます。

ハウス栽培がメインで収穫時期は4~6月頃、旬はゴールデンウィークの前後です。

肥後グリーン(青肉・ネット系)|糖度は16度前後

肥後グリーン

かんちゃん / PIXTA(ピクスタ)

ネットの入り方に特徴があり、濃緑色の地に細切れであまり高さのないネットが全体に入ります。球形から長球形で果肉は軟らかく、完熟すると果汁が豊富でとろけるような舌ざわりを楽しめます。糖度もは16度前後と高めですが、甘すぎずすっきりとした味わいです。

収穫時期は5~7月頃で、出荷のピークは5月下旬~6月頃です。

秋田美人(青肉・ネット系)|糖度は15~16度

灰緑色で、ネットの入り方がとても安定している品種です。果肉は黄緑色で厚く、青臭みのない点が魅力です。形は球形からやや長球形で糖度は15~16度です。

地這い栽培が主で成熟日数は53~58日、収穫時期は7月上旬~8月上旬で、つる割病に抵抗性があります。

ルピアレッド(赤肉・ネット系)|糖度は15度前後

ルピアレッド

Fuchsia / PIXTA(ピクスタ)

茨城県や北海道などで多く作られており、北海道産の「らいでんメロン」や「富良野メロン」などのブランドメロンの品種でもあります。全体にやや深く細かなネットで覆われており、お尻部分の皮が薄く、上部が厚くなりやすい傾向があります。

糖度は15度前後で甘みが強く、滑らかでジューシーな肉質です。果肉も厚く、追熟前はしっかりとした歯ざわりがあり、熟すと口の中でほぐれるほど軟らかくなって甘い香りが楽しめます。

成熟日数は55日程度、収穫時期は7~9月頃の栽培しやすいメロンです。

ナポリ(赤肉・ネット系)|糖度は16~17度

香りが強く、ネットが均一に盛り上がった美しい品種です。果肉は鮮やかなオレンジ色で、糖度も安定して16~17度とかなり高いメロンです。

栽培はハウス立体と地這いともに可能で、草勢も強いうえに雌花の着生にも優れ、着果も非常に安定していることが魅力です。成熟日数は55~60日程度で収穫時期は6~8月ですが、栽培地によっては7月に播種を行うと11月に収穫することもできます。

マリアージュ(赤肉・ネット系)|糖度は16度前後

マリアージュ メロン

sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)

ネットが全面に均一に入っているきれいな球形をした品種です。糖度は16度前後で安定し、果肉はオレンジ色でみずみずしく、皮の近くまで軟らかく熟します。また、熟すまで果肉の持ちがよく、長く店頭に置けることから小売店でも人気です。

トンネル栽培と立体栽培の両方に適しており、成熟日数はトンネル栽培の場合で6月出荷なら52日前後となっています。果肉は低温期でも発色がよく、つる持ちがよく作りやすいことも特徴です。

ホームラン(ホームランスター)メロン(白肉・ノーネット系)|糖度は15~16度

ホームラン(ホームランスター)メロン

kk / PIXTA(ピクスタ)

熊本県で生まれた品種ということもあり、熊本県が主要産地ですが、すでに育成権が消滅しているため、現在は全国各地で栽培されています。糖度が15~16度あり、「ホームラン級の美味しさ」という意味で名づけられました。

熟すと蜂蜜のような色になり、クリームのように軟らかく滑らかな舌ざわりと淡白で上品な甘さが特徴です。形はやや長球形か球形で、香りはあまり強くありません。

べと病やうどんこ病にかなり強く、栽培しやすいことも魅力です。半促成栽培(育成の後半にハウスの被覆をとって露地で栽培する方法)で11月に播種し、翌年の4~6月に収穫できます。成熟日数は37~43日程度ですが、高温期には過熟になりやすいため注意が必要です。

より甘くするには? メロンの糖度をあげる栽培管理

続いて、より甘い高品質なメロンにするための栽培管理のポイントを紹介します。

着果後30日以降の「糖度上昇期」に水切りを行う

光合成のしくみ

mari / PIXTA(ピクスタ)

糖度上昇期である着果後30日以降(収穫前2週間程度)は、葉がしおれない程度に徐々に灌水量を減らし、水切り(窒素の供給を抑えるために水分量を減らすこと)を行うことが大切です。

植物は、日中太陽からのエネルギーを受取り、そのエネルギーで土壌中の水分を吸い上げ、気孔から取り込んだ二酸化炭素を合成して糖を作り、酸素を放出しています(光合成)。光合成によってできた糖が、葉にどれくらい残り、果実や根にどのくらいまわるかで、収量や糖度が決まってきます。

メロンの場合、果実の成熟期に、根から吸収される窒素量が多すぎると、窒素同化に糖が消費されてしまい、果実の肥大に分配される糖の量が減り、結果、果実糖度が低くなることがあります。窒素の過剰吸収を防ぐことが高糖度のメロンになるコツといえます。

糖度上昇期に差し掛かったら、水切りを行います。ただし、この時期は最も生理障害が出やすい時期でもあるため、ストレスをかけ過ぎないよう十分に注意しましょう。

施肥量が多すぎると、つるぼけ・着果不良の原因に

着果と果実の品質を向上させるためには、土壌の状態に応じて施肥量を決めることが大切です。肥料が多すぎるとつるぼけを招き、着果不良となるため注意しましょう。基肥は窒素成分で10㎏/10aほどを全量施肥しますが、砂地以外では原則として追肥しません。

また、ノーネット系の品種は吸肥量が少ない傾向があるため、過剰施肥になると果形の乱れや裂果が発生しやすくなるので特に注意が必要です。

果実の甘味が増える?「ステビア農法」という新しい栽培法

メロンをはじめ、イチゴやトマトなどの果実の甘みを増す方法として、甘味料のステビアを利用した「ステビア農法」が注目を集めています。もとは鹿児島県でステビア栽培を行っていた農家が、ステビアの茎を堆肥にしてみかんを栽培したところ、みかんの味覚が変わったことから利用されるようになりました。

ステビアから抽出した抗酸化作用のある成分などを土壌に施肥することで、果実の甘みが増し、風味がよくなるなど作物によい影響を与えるとされています。

進むメロンのブランド化

2021年5月 豊洲市場での夕張メロンの初競りで落札された「木箱入り秀品2玉」

2021年5月 豊洲市場での夕張メロンの初競りで落札された「木箱入り秀品2玉」
出典:株式会社 PR TIMES(株式会社食文化 ニュースリリース 2021年5月25日)

メロンには、JAなどの出荷団体や農家が独自に定めた「等階級」という品位基準があります。これは糖度や見た目の美しさ、ネットの張り具合などを総合的に判断しており、評価の結果は箱の側面などに表示されます。

この等階級はブランドによってそれぞれ独自に項目や数値を決めることが可能で、これを利用することで特徴のある高付加価値メロンとしてブランド化できます。

過去には夕張メロンや飯岡メロンなどの地域ブランドも厳しい検査基準を設けることでブランド化を進めました。ブランドごと、産地ごとに定められた検査基準を満たすことで、ブランドに見合った販売価格を期待できます。

千葉県旭市の特産品「飯岡メロン」を使用したスイーツ

千葉県旭市の特産品「飯岡メロン」を使用したスイーツ
出典:株式会社 PR TIMES(JAF千葉支部 ニュースリリース 2021年7月14日)

メロンにはさまざまな品種が存在し、それぞれ味や見た目、栽培方法に違いがあります。そのため、まずはそれぞれの品種特性をしっかりと比較検討し、自身の栽培環境に適した品種を選ぶことが大切です。

百田胡桃

百田胡桃

県立農業高校を卒業し、国立大学農学部で畜産系の学科に進学。研究していた内容は食品加工だが、在学中に農業全般に関する知識を学び、実際に作物を育て収穫した経験もある。その後食品系の会社に就職したが夫の転勤に伴いライターに転身。現在は農業に限らず、幅広いジャンルで執筆活動を行っている。

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