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【メロン栽培】摘果の時期や方法は? 省力化を叶える“プロ必見”技術情報

【メロン栽培】摘果の時期や方法は? 省力化を叶える“プロ必見”技術情報
出典 : STUDIO EST / PIXTA(ピクスタ)

メロン栽培では、摘果は高品質で充実した果実を収穫するために欠かせない作業といえます。この記事では、メロンの摘果の時期や方法、省力化技術について解説します。

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収穫時期を迎えたメロン

STUDIO EST / PIXTA(ピクスタ)

摘果とは、幼果を間引いて残った果実に十分な養分を行き渡らせる栽培管理の方法です。メロンの場合、鶏卵程度の大きさのときに、1株当たり2~4玉を残して摘果します。大玉化と高糖度という高品質なメロンを作るためには、欠かせない作業といえるでしょう。

この記事では、メロンの摘果の方法や省力化技術について解説します。

メロンの摘果に適した時期と、具体的な作業手順

ここでは、メロンの摘果に適した時期や量、具体的な作業手順について解説します。

メロンの摘果タイミング

メロンの交配作業

toa55 / PIXTA(ピクスタ)

メロンの果実は交配後10~15日頃になると急速に肥大するため、その前に摘果しなければなりません。

交配後の6~8日頃、果実の大きさがピンポン球大から鶏卵程度のサイズになったときが摘果に適したタイミングです。このタイミングを逃すと、摘果する果実にも養分が配分されてしまい、結果として果実の質が下がります。

適切な着果数の目安

メロン 1つる2個を残して摘果

STUDIO EST / PIXTA(ピクスタ)

2本仕立てのメロンの場合、1株につき4果を収穫目安とするので、1つる当たり2個の果実を残します。低節位や高節位にある果実は形が歪みやすいので、10〜13節の位置の鶏卵大でやや縦長の果実を残し、あとは摘果してしまいます。

低節位にある果実の場合、小さくて扁平な形になる傾向があります。対して高節位にある果実は、大きくはなるものの長玉になるうえに糖度も落ちます。

摘果するメロン・残すメロンの判断基準

メロンの摘果では、卵型で花落ちが小さく、果枝がしっかりしている果実を残す

STUDIO EST / PIXTA(ピクスタ)

残す果実は、卵型で花落ちが小さく、果枝がしっかりしているものです。

メロンの果実は、横に成長してから縦に成長する性質があるので、摘果時点で球形の果実は扁平で小さくなりやすいのです。既に卵型より細長いものは長玉になってしまいます。

果実に付着している花弁は、灰色かび病にかかりやすくなるため早めに取り除きます。この花落ち部分が大きいと病害発生のリスクがあるので、なるべく小さいものを残します。

大規模農家必見! 摘果の省力化を叶える2つの栽培技術

メロンを高品質に安定させるための摘果ですが、摘果に適した期間が短いにもかかわらず、時間と労力が必要で農家にとっては負担が大きい工程の1つです。

摘果の省力化を実現する方法として、この2つの栽培技術について紹介します。

着果性に優れた品種なら、整枝時の摘花で摘果を省略 (タカミメロン)

農研機構 東北農業研究センターの試験研究によれば、着果性に優れた品種「タカミメロン」の栽培では、整枝時に目標とする着果数まで摘花してしまうことで、摘果作業の省略が可能だとのことです。

慣行栽培では、整枝時に目標とする着果数に対して2倍の花数を残し、着果後にあらためて摘果することで、1つるに対する目標着果数を確保するのが通常です。

タカミメロンは特に着果性に優れるので、整枝時に目標着果数と同じ2花だけ残して摘花してしまっても、目標着果数を確保できるのです。

タカミメロンの整枝にかかる作業時間は、摘花作業を含めても慣行栽培とほぼ同等であり、摘果作業を省略した分だけ、全体の作業時間は慣行栽培より短くなります。

具体的には、ホルモン処理で着果を確実にする必要がある4月播種の作型では1a当たり3.6h、ホルモン処理をしなくてもよい5月播種の作型では1a当たり5.4時間の省力化になったと報告されています。

ただし、着果を確実にするために交配にはミツバチを利用し、不要な大玉化を防ぐための制枝や着果節位、摘葉の程度を調節するなどの栽培管理が必要になります。

詳細は下記文献をご覧ください。

出典:農研機構 東北農業研究センター「平成17年度 東北農業研究成果情報」のページ所収「メロンの露地トンネル早熟栽培における安定着果と摘果作業の省力化」

タカミメロンの両性花と雄花

とらっち / PIXTA(ピクスタ)

短側枝性・単性花型の品種を用いた、整枝および摘果の省力化 (フェーリア)

メロンの多くの品種の多くは、両性花と雄花を付ける「両性花型」です。両性花は、自然着果しやすいため、余分な果実も着果します。そのため、摘果の労力が増える問題が発生します。

一方、雌花と雄花を付ける「単性花型」のメロンは雌花を付けるため、自然着果しにくいという特徴があります。これによって余分な着果も少なくなり、摘果の労力も削減できます。

そこで注目された品種が「フェーリア」です。フェーリアは、側枝の伸長が短く抑えられる「短側枝性」を持っている単性花型のメロンです。フェーリアは20cmにも満たずに伸長の止まる側枝がほとんどで、短い側枝を取り除く作業が発生しません。

慣行栽培に比べ、整枝や誘引の作業にかかる時間を50%程度まで削減できます。整枝と摘果作業のどちらの省力化も実現するため、フェーリアは導入を検討したい品種の1つです。

フェーリアは、地這い栽培に適した品種です。高温で強光といった条件では側枝が伸縮するため、短側枝性の特性がなくなります。そのため、生育期間が比較的低い促成または半促成型に適しています。栽培上は以下の留意点があります。

・着果枝よりも下から発生する側枝は早めに摘除する(伸長しやすいため)
・着果枝または着果枝より上から発生する側枝を放任する
・交配期間が終了した後は、すぐにミツバチを搬出する(余剰果の発生を減らすため)
・ハウスに防虫ネットを展張する


詳細は下記文献をご覧ください。

出典:農研機構 「省力栽培が可能なメロン「フェーリア」 -栽培と利用の手引き-」

地這い栽培のハウスメロン

pon / PIXTA(ピクスタ)

メロンの摘果作業には時間と労力が必要なため、省力化が望まれています。

例えば、着果性に優れたタカミメロンでは、整枝時に着果数を調整することで摘果の省力化を実現しています。フェーリアは、短側枝性を持つ単性花型のメロンで自然着果しにくいという特徴があるため、余分な着果も少なくなり、摘果の労力も削減できます。

まずは、メロンの基本的な摘果方法と省力化にかかる技術情報を理解し、自身の農業の効率化につなげましょう。

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田仲ダイ

田仲ダイ

大学では都市景観を中心に学び、景観や地球環境に関心を持っていた。卒業後はIT企業で勤務。部門長や内部監査員も経験し、マネジメント経験を積んだ。2021年からフリーランスのライターとして活動開始。現在はビジネス系を中心に幅広いジャンルで執筆を手掛けている。サッカーの指導者としても活動中。

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