【ごまの収穫方法】収穫時期はいつ?収穫後の栽培管理も解説

ごまは栽培期間が短く、エネルギー生産効率が高いため複合経営に適しています。一方で、ごま栽培は作業量が多く、特に収穫や収穫後の栽培管理が重要です。本記事ではごまの収穫時期の目安と収穫方法、収穫後の作業を詳しく解説していきます。
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ごまの収穫時期と栽培暦

su / PIXTA(ピクスタ)
ごまの収穫時期のピークは9月〜10月です。地域や品種、栽培方法によって異なりますが、播種からおよそ3〜4ヶ月後に収穫時期を迎えます。
参考までに、冷涼地・中間地・温暖地での播種と収穫時期の目安は以下の表の通りです。
栽培地域 | 播種時期 | 収穫時期 |
---|---|---|
冷涼地(東北) | 6月上旬~中旬 | 9月中旬~10月上旬 |
中間地(関東・東海) | 5月下旬~6月下旬 | 9月上旬~10月中旬 |
温暖地(四国・九州) | 5月上旬~6月下旬 | 8月下旬~10月下旬 |
出典:BSI生物科学研究所所収「実用作物栽培学 ゴマ」よりminorasu編集部作成
ごまの収穫方法
ごまの収穫はどのように行うのか、収穫時と収穫後に行う作業について工程ごとに解説します。
収穫・乾燥

s.garyuu / PIXTA(ピクスタ)
ごまの収穫方法には、手作業による方法とコンバインを用いる方法があります。
手作業の場合、開花から45~55日後を目安に、葉が黄色くなり落ち始め、蒴果(さくか)の半数以上が褐色に変化して裂ける直前が収穫の適期です。カマを使って株元から刈り取り、5~15株ずつ束ねて、日当たりがよく雨の当たらない場所に立てて7~10日間ほど乾燥させます。蒴果が自然に裂けたら、束を逆さにして茎をたたき、種子を取り出します。
一方、大規模栽培ではコンバインを使って収穫します。適期は葉がほとんど枯れ落ち、下部の蒴果が1~2個裂け始めた頃です。脱粒機能のない小型コンバインでは刈り取ったあとに束ねて乾燥し、後で脱粒しますが、大型コンバインであれば刈り取りと同時に蒴果を取り外し、種子をその場で回収できるため、効率的です。どちらの方法でも、収穫のタイミングを誤ると収量や品質に悪影響が出るため、適期を見極めて短期間で収穫を終えることが重要です。
乾燥後の調整

s.garyuu / PIXTA(ピクスタ)
脱穀後のごまはふるいに通してごみを取り除きます。サイズは「10メッシュ」と「16メッシュ」を使用するのがおすすめです。メッシュとは1インチの中にいくつ穴が開いているかの数値であり、数が多いほど細かい目になるため、10メッシュで大きなごみ、16メッシュで小さなごみを選別しましょう。
その後は風の少ない日にブルーシートにごまを広げ、丸1日かけて天日干しでごまの周りの水分を飛ばします。乾燥が終わった後に唐箕(とうみ)で4~5回ほど風選別を行えば製品の完成です。
一方、大型コンバインで収穫された場合は、蒴果のまま乾燥機に入れ、熱風で裂開を促し、同時に種子を脱粒・回収します。乾燥が終わったごまは、再び選別機にかけて異物を取り除き、市場に出荷できる品質に整えたうえで保管・出荷されます。
なお、乾燥が不十分だと脱粒できず収量が減る恐れがあるため、確実な乾燥が重要です。大型コンバインで収穫したごまは水分が高いため、収穫後すぐに乾燥機に入れることが品質保持のカギとなります。
出典:
BSI生物科学研究所所収「実用作物栽培学 ゴマ」
日本のごま栽培の現状と課題
農家として気になる点は、ごまの栽培でどれほどの収益が見込めるかということでしょう。そこで次に日本国内でのごまの流通状況や、国産ごまの需要と供給などについて解説します。
日本で流通しているごまの99.9%は、海外からの輸入品

出典:財務省「貿易統計」よりminorasu編集部作成
現在、日本で流通しているごま製品の原料のほとんどは海外産であり、採油用のごまは主にナイジェリア、ブルキナファソなどからの輸入です。国内での生産量は、国内消費量のわずか0.1%程度だといわれています。
食の安全性に対する意識の高まりによって国産ごまの需要は伸びています。しかし、ごま栽培は機械化できる部分も少なく、収穫作業の大部分が手作業であるため、ごま農家の高齢化もあいまって国内の生産増は難しくなっています。そのため、加工用の原料仕入れ価格は上昇を続けています。
国内主要ごま産地のデータから見る、国産ごま単価の推移
日本のごま生産が課題を抱える中で、国内のごま生産量の約70%のシェアを誇る鹿児島県では、ごま栽培で収益性を高めている例もあります。
鹿児島市と沖縄本島の間に連なる奄美群島の北東部に位置する喜界島は、国内最大の白ごま産地です。生産作業のピークには、島内の集落や道路沿いに束ねたごまの穂が並ぶ「セサミストリート」が見られます。
喜界島産のごまは高い品質が魅力で、1996年頃から始まった健康ブームで注目を浴びたことで生産量や栽培面積が増大。需要の増加からごまのキロ当たりの単価も上昇し、1996年頃から約1,700円を維持できるようになりました。
その後もごまのキロ当たり単価は上昇を続け、2004年には2,000円台に達し、2010年代には2,000~2,500円程度まで上がっています。
出典:
鹿児島大学「奄美ニューズレター 2004年11月号」
名城大学「農学部学術報告53号(2017年3月)日本における資源作物栽培の現状 第1報 喜界島におけるゴマ栽培」

Mari / PIXTA(ピクスタ)
ごま栽培で期待できる収量(反収)の目安
喜界島の無農薬によるごま栽培の場合、平均反収は約60kgです。また栽培期間は4~5ヵ月と短いため、エネルギー生産効率が非常に高いことが魅力です。
品種別の特徴としては、白ごまは粒が小さく収量は少ないものの含油量が高くなっています。一方、黒ごまは分枝が多く粒も大きいため多収で、含油率が低いことから食用として栽培されています。
一方で塩害や台風に弱く、倒伏により大きな被害に遭うことがあるため注意が必要です。実際に喜界島では、2020年に台風9号と10号が連続して接近したことによる塩害で、見込み収量約90tに対し実績は約39tで見込みの6割減となりました。
ごま栽培の収益性を高めるには、収量の確保と省力化が課題
ごま栽培で安定した農業経営を行うには、一定の収量を保つことが何よりも重要です。しかし栽培面積を増やそうにもごまの栽培は機械化できる工程が少なく、栽培も収穫もすべて手作業にすると労力がかかるというデメリットがあります。
国内のごま農家が減少した一因には、農家の高齢化に加えてこういった事情が関係しています。農業の機械化が進む現代において、雑草とりや鎌を使った収穫などのすべてを人力に頼る作業は、農家にとって大きなデメリットといえるでしょう。
そのため今後ごま栽培で収益性を高めるためには、一定の収量を確保したうえで作業をできる限り省力化することが求められます。
収量アップのための栽培管理のポイント
では実際にごま栽培で一定の収量を確保するには、どういった方法があるのでしょうか。次に収量アップが期待できる栽培管理のポイントについて詳しく紹介します。
高温を好むごまには「マルチ栽培」が最適

kimgs4725 / PIXTA(ピクスタ)
ごまは日照りに強く、高温を好む作物であるためマルチ栽培で生育するのがおすすめです。マルチは地温の上昇や生育の促進、施肥効果の増加、適切な水分保持などさまざまな効果があり、収量も安定します。
さらに地温の高まりによって播種も通常より10日ほど早められます。マルチの色は透明か黒かを問わず無マルチよりも増収が可能です。
ただし、寒冷地では透明マルチのほうが地温が高くなり、生育量も増加して多収になります。温暖地の場合は黒マルチでも十分であり、雑草の抑制効果も期待できるでしょう。
収量と品質のバランスを保つ施肥設計
化学肥料の施肥を行うと生長が促進され、総さく果数も施肥量に比例して増加します。また収量や粒重、健全さく果数も増加して未熟さく果率が低下するため、収量や品質を上げるのに効果的といえます。
一方で化学肥料の量を増やしても、それに比例して収量や粒重などは増加しないのもポイントです。加えて施肥量が増えるほど油脂含量が低下し、脂肪酸組成にも影響を与えることから、施肥量を増やしたからといって品質が向上するわけではないといえます。
化学肥料の施肥を行う場合は少なすぎず多すぎず、1平方m当たり15~60gの間で収量と品質のバランスを保つことを考えながら実施することが大切です。
ごまの収穫・乾燥・調整の省力化をめざす新技術

hiro/ PIXTA(ピクスタ)
ごま栽培では、安定した収量の確保やごま農家の高齢化に対応するため、手作業がメインとなっている収穫、乾燥、調整について機械化が望まれています。そこで最後に、現在これらの作業を省力化するために開発されている技術について紹介します。
大豆コンバインを用いたごまの機械収穫技術
三重県では近年「大豆コンバインを用いたごまの機械収穫技術」が開発されています。これは、大豆コンバインを使用して作業者1名で開き始める直前のさやをそのまま収穫し、運搬車へ排出する技術です。ごま殻粒の回収率は80~90%で品質も基準を満たしており、手で刈った場合と比べて作業時間を約7割削減できます。
機械による収穫を行う場合、栽培密度を株間15cmの密植にするのがポイントです。これにより主茎長に影響を与えず、分枝数の減少や最も低いさやの位置が高められるため、大豆コンバインによる収穫が行いやすくなります。倒伏時に地面との間に空間ができ、収穫の作業性を上げられるため中耕培土も有効です。
ただし、通常大豆コンバインに標準装備されていないソバ網や落下防止プレートといった一部の部品(合計23万円程度)の購入が必要であること、また収穫後の工程は省けないというデメリットもあります。
出典:
三重県農業研究所
「大豆コンバインを用いたゴマの機械収穫技術」
「ゴマ(品種「にしきまる」)の機械収穫に適した栽培法」
ごまの乾燥・調整でも機械化技術の開発が進む
農研機構、三重県、農機メーカー、ごま油メーカーなどが連携し、乾燥や調整を行う技術も開発が進んでいます。現在さやのまま収穫したごまを乾燥機械で乾燥させ、ドラム式の選別機を使用する方法が試されており、大豆コンバインとの組み合わせで労働コストの約6割削減に成功しています。
また所得も1割増加が見込まれており、今後はより広いほ場への導入を目指して研究が進められていくでしょう。雑草対策や湿害対策などの課題も残されていますが、今後開発された機械化体系の導入が進めば、国内における栽培面積の増加などに期待が持てます。
出典:
農研機構次世代作物開発研究センター「既存の機械を活用したゴマの収穫・乾燥・調製作業の機械化」
三重県農業研究所「ゴマ機械化体系導入による所得向上」

川村恵司 / PIXTA(ピクスタ)
今回はごま栽培の方法や国内での流通状況、今後の課題などについて紹介しました。国産のごまは健康志向の高まりとともに需要が伸びていますが、機械化できない作業が多く、国内消費量のわずか0.1%程度しか生産されていません。
しかし現在、ごま栽培で労力と時間のかかる作業を省力化するための技術開発も進められており、実用化に向けて着々と歩みを進めています。機械化体系が導入されれば大幅に労働コストが削減できるため、今後の展開に期待が持たれます。
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百田胡桃
県立農業高校を卒業し、国立大学農学部で畜産系の学科に進学。研究していた内容は食品加工だが、在学中に農業全般に関する知識を学び、実際に作物を育て収穫した経験もある。その後食品系の会社に就職したが夫の転勤に伴いライターに転身。現在は農業に限らず、幅広いジャンルで執筆活動を行っている。