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ごぼうの収穫時期は? 収穫の省力化技術で収益性アップ

ごぼうの収穫時期は?  収穫の省力化技術で収益性アップ
出典 : 川村恵司 / PIXTA(ピクスタ) unio / PIXTA(ピクスタ) 自然優写 / PIXTA(ピクスタ)

農家の高齢化や労働力不足により、人手によるごぼうの収穫が難しい状況が生じています。栽培面積を拡大して収益を高めるためにも、収穫をはじめとする作業の省力化は農業経営にとっての課題の一つです。この記事ではごぼう栽培を省力化するための技術・手法や、周年出荷による高収益化の取り組みについて解説します。

ごぼうの栽培期間は長いですが、病害虫や寒さに強い作物なので栽培の労力は少なめです。機械化による大規模栽培も可能で、高収益化も目指せるでしょう。まずは、ごぼう栽培の特徴や栽培暦・目標収量について詳しく説明します。

ごぼう栽培の栽培暦と収穫時期

ごぼうのほ場

kikisorasido / PIXTA(ピクスタ)

ごぼうは、栽培地や作型によって播種時期が異なり、収穫期の幅が広い特性を持っています。どの作型でも、目標収量は10a当たり2,000kgです。

地域によって収量の差が大きく、10a当たりの収量が1,500kgを下回る地域もあります。なお、2019年の10a当たり収量の全国平均は1,810kgでした。

出典:農林水産省「作物統計調査 作況調査(野菜)」所収の「令和元年産野菜生産出荷統計」

4月下旬~5月上旬に播種して、150日~160日程度生育させて8月上旬~11月下旬にかけて収穫する、春播きの作柄が一般的です。北海道などの寒冷地では、越冬させて翌年の春に収穫する作型もみられます。

北海道の越冬ごぼうの収穫

tuneko / PIXTA(ピクスタ)

秋播きの場合は、9月上旬~10月中旬に播種して翌年の夏(6月中旬~8月上旬)に収穫します。播種が早すぎると冬までに直径10mm以上に成長して、春にトウ立ちが起こって食味が落ちるので注意が必要です。


春播き・秋播きとも、トンネル被覆によって1~2ヶ月程度出荷時期を早める作型もあります。春播きの場合は発芽期の生育を促進でき、秋播きの場合は冬場の地温を上げられるのがメリットです。

ごぼうのトンネル被覆栽培

涼然 / PIXTA(ピクスタ)

また、九州地方など比較的温暖な地域では8月中旬~9月中旬に播種して12月~3月にかけて収穫する、夏播きの作型もあります。地温上昇と土壌乾燥を防ぐために、白黒ダブルマルチなどで土壌を被覆する場合もあります。

ごぼうの作物としての特徴

ごぼうは2年生のキク科植物ですが、実際は播種から1年で収穫できます。栽培期間は150日~160日と長いですが、労力をあまり必要としない作物で、収穫や調製・選別作業が労力の大半を占めるのが特徴です。

生育適温は20~25℃と高めで、地上部の気温が3℃前後になると枯死します。しかし、根茎部はマイナス20℃前後まで耐えられ、土壌内で長期間保存ができるため、出荷時期の調整も可能です。

生育期のごぼう

生育期
sakameg / PIXTA(ピクスタ)

収穫直前のゴボウ

収穫直前
ゴン太 / PIXTA(ピクスタ)

ゴボウの収穫 トレンチャーでの掘り起こし

トレンチャーでの掘り起こし
kikisorasido / PIXTA(ピクスタ)

ゴボウの収穫 トレンチャーで掘り起こした後の抜き上げは手作業

掘り起こし後の抜き上げ作業
涼然 / PIXTA(ピクスタ)

ごぼう栽培における課題解決の技術・方法

ごぼう 収穫用のトレンチャー

kikisorasido / PIXTA(ピクスタ)

ごぼう栽培にかかる労力は播種作業と収穫・調製作業の時期に集中する傾向で、しかも重労働です。機械を導入して作業を省力化できれば栽培規模の拡大も可能で、経営面でも優位性を発揮できるでしょう。

ごぼうの播種作業や収穫・調製作業を省力化する技術や方法を紹介します。

畝立て同時播種による播種作業の効率化

畝立てと同時に播種できるトラクター作業機が実用化されていますが、既存の農機具を活用してごぼうの播種作業を効率化する取り組みもなされています。

栃木県農業試験場では、畝立て・播種だけでなく施肥も1工程で実施する技術を開発し、短根ごぼうの栽培の省力化を実現しています。

小型トラクターに肥料散布機・畝成形板・播種機を装着する方式です。機械化栽培に特化した「新ごぼう」という品種では、10a当たり1,700kg前後の収量を実現しています。

出典:栃木県農業試験場 研究成果集第30号「短根ごぼうの省力栽培体系の確立」

短根ごぼう(サラダごぼう)

dorry / PIXTA(ピクスタ)

また、鹿児島県農業試験場では、畝立て・播種とマルチ作業を同時に実施する技術を開発しています。

畦立マルチャに平状の天板とテープシーダーキットを取り付け、高畝整形と同時に播種を進める仕組みです。施肥機も装着でき、畦立マルチャの機種によっては2条植えだけでなく4条植えも選べます。

作業時間が慣行の約半分になり、また、栽培規模を拡大しても、それに比例してかかる労力が大きくならないのがメリットです。既存の農機具の調整だけで省力化に取り組めるので、新たな農機具を導入するコストも抑えられます。

出典:鹿児島県農業試験場「既存の畦立マルチャを利用した早出しゴボウ播種機」

収穫機の導入による収穫作業の省力化

ごぼうの収穫作業は栽培作業の中で最も重労働で、栽培面積を拡大するネックにもなります。ごぼう収穫機の導入で、抜き取り作業の省力化が実現します。なお、収穫前に野菜茎葉刈払機などで葉の切断作業が必要です。

畝を掘る作業からごぼうの抜き上げ・集積作業までが自動化されるため、作業者の疲労度が大幅に軽減されるのが特徴です。収穫・搬出の労働時間は、慣行と比べて8割近く短縮できます。

抜き残りが生じる課題はあるものの、作業速度の調整と往復作業の実施によって抜き残しを減らせます。

機械収穫では、ごぼうの外皮に擦り傷が発生する場合がありますが、貯蔵・流通面では問題が生じません。ただし、ごぼうプラウで作業した場合は1%前後の確率で折損が発生する可能性があります。

ごぼうの収穫後は、10~30本単位で機械後方に自動で集積されます。コンテナを搭載できる収穫機では、ごぼうを地面から拾い上げる作業を軽減できるだけでなく、選定作業も同時に行えるのがメリットです。

従来の手作業では作業者が6~10名必要で、労働力の確保が課題となっていました。しかし、収穫機を導入することで3名での作業が可能となります。家族労働も可能となり、人件費を削減するメリットも生まれます。

出典:
青森県畑作園芸試験場・栽培部「ゴボウ収穫機の性能向上」
地方独立行政法人北海道立総合研究機構 農業研究本部 農業新技術発表会第13回 所収「ごぼうの省力収穫体系(十勝農業試験場)」

参考動画:

川辺農研産業株式会社 youtube公式チャンネル  ごぼう収穫機 TBH 9000(鹿児島県 宮迫農産様)

葉柄切断機の導入による調製作業の省力化

ごぼうの出荷前に、根毛の除去や洗浄作業・葉の剥ぎ取り(剥葉)や規格別の切り揃えなどの調製作業が発生します。中でも、剥葉と切り揃え作業は手作業で実施する農家が多く、作業の効率化が課題となっています。

収穫直後のごぼうと洗浄・剥葉・切り揃えの調整が済んだごぼう

涼然 / PIXTA(ピクスタ) keiphoto / PIXTA(ピクスタ)

鹿児島県では、剥葉と切り揃えを行うための簡易な調製機を開発しました。慣行作業と比べて3~4倍の能率向上が見込めるため栽培の大規模化にも有効です。

剥葉前に、葉柄リング切込器(リングカッター)で葉柄の外周に切り込みを入れます。切り込み用の刃が一周する仕組みなので、ごぼうを回転させる作業は発生しません。包丁での作業と比べて疲労度が軽減され、切り込み線の位置も統一されるのが特徴です。

ブラシ式剥葉洗浄機では、剥葉と洗浄仕上げを同時に行います。線径0.4mm程度のブラシが回転する仕組みですが、作業工程が統合されている分、作業能率が高くなります。洗浄後は、規格揃簡易切断機で葉柄部と根先を出荷規格に合わせてカットします。

出典:
鹿児島県農総センター「若掘りゴボウ葉柄調製機」
農研機構・九州農業試験研究機関協議会 第71回研究発表会所収鹿児島県農総センター・株式会社西中製作所「短根ゴボウの出荷調製作業技術」

周年出荷で収益を上げる取り組み

鹿児島のごぼう

ARTS / PIXTA(ピクスタ)

ごぼうの需要は12月にピークを迎えますが、サラダ向けなどの需要は年間を通してあります。

収穫後の冷蔵保存で周年出荷に対応する地域もありますが、気候や栽培技術を活かして周年出荷に取り組む地域もみられます。

鹿児島県の大隅地域では、サラダにも向く短くやわらかい品種を導入し、播種時期を調整してごぼうの周年出荷に取り組んでいます。

収穫まで半年ほどかかる泥付きごぼうから長さ30~45cmの若堀りごぼうへ栽培品種を転換し、調製後に出荷する栽培体系に変革しました。

ネーミングも工夫し、冬の需要期(12月~4月)は「新ごぼう」という名前で新鮮さを訴求し、ほかの季節では「春サラダごぼう」「夏サラダごぼう」「秋サラダごぼう」という名前で調理の手軽さを印象づけるというマーケティング観点での工夫もしています。

サラダごぼうは色が白く、香りがよく、アクが少ないためサラダに気軽に利用できる

ささざわ / PIXTA(ピクスタ)

春収穫のごぼうでは、ジベレリン処理と不織布べたがけの組み合わせによって残存株率を向上させ、収量の安定化に取り組んでいます。

一方、秋収穫のごぼうでは暑熱低減資材と潅水によって発芽率・収量の向上を実現しています。栽培エリアの広さを活かして、地域ぐるみで周年出荷に取り組んでいるのも特徴です。

品質のよい洗いごぼうを通年で出荷できる体制を整えたことで、産地全体に対する流通からの信頼を高める効果もあるそうです。

参考:独立行政法人農畜産業振興機構「ごぼうの周年出荷の取り組み~鹿児島県の『大隅ごぼう団地管理組合』を事例として~」(野菜情報 2019年6月号)

ごぼうは乾燥や肥料不足に強いため、育てやすい作物といわれています。しかし、播種と収穫・調整に作業時間がかかり大規模化は難しい面がありました。

最近は、施肥・畝立て・播種を同時に行う技術や、収穫・調製作業の自動化技術が開発されており、少ない人数のまま省力化を図ることが可能になってきています。

鹿児島県大隅地区のように、気候に応じた栽培技術を開発して周年出荷に対応する地域もあります。ごぼう栽培の高収益化ポテンシャルは高いといえるでしょう。

舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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