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黒豆(黒大豆)や枝豆の収穫時期は? 品種別の特徴と輪作体系の例

黒豆(黒大豆)や枝豆の収穫時期は? 品種別の特徴と輪作体系の例
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水田の輪作体系や水田転作において、近年人気の高い黒大豆の栽培を検討している農家は多いのではないでしょうか。そこで、丹波黒をはじめとした黒大豆の注目品種の紹介や、枝豆として収穫栽培方法、適切な土作りなど、暖地での黒大豆栽培を例に、多角的に情報をまとめました。

黒大豆

elegance / PIXTA(ピクスタ)

大豆の中でも黒大豆は大粒で風味がよく、煮豆や製菓材料として高い需要があります。最近は枝豆としても人気で、一般的な大豆に比べ高値で取引されます。

一方で、大豆よりも病害虫や倒伏に弱いのも事実です。ここでは黒大豆栽培において注意すべきポイントを解説します。

播種・収穫はいつ? 黒豆(黒大豆)基本の栽培暦

黒大豆は全国各地で地域に根付いた品種が多数あります。栽培暦は品種によって異なりますが、「丹波黒」を代表とする京都や兵庫など西日本産の黒大豆と、「いわいくろ」を代表とする北海道産や東北産の黒大豆の栽培暦に大きく二分されます。

この項ではまず、西日本のような暖地の露地栽培を例に、基本的な栽培暦について紹介します。黒大豆栽培を検討する際の一例として目安にしてください。

本葉が展開し始めた黒大豆

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黒大豆は極端な暑さや寒さに耐性がなく、生育には20~25℃の比較的暖かい気温が適しています。そのため、十分に暖かくなってから播種し、寒くなる前に収穫する必要があります。

播種は早晩性に合わせて、直播栽培の場合は6月下旬~7月上旬を目安とし、移植栽培の場合は6月上旬~中旬に播種し、6月中下旬から遅くとも7月上旬の移植を目安としましょう。

早播きをすると蔓化や病害虫被害が発生しやすくなり、移植が遅れると生育不足による収量低下を招きます。

生育期の黒大豆

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完熟させて収穫する場合、早生品種で10月下旬~11月上旬、晩生品種は11月中旬以降が収穫期になります。葉がほとんど落ちて茎も乾燥して褐色になり、サヤを振るとカラカラと音がするようになったら収穫期の合図です。すぐに刈り取りましょう。

また、収穫を調整するため、葉の8割以上が黄色くなった頃に「葉取り」作業を行う場合もあります。

黄化した黒大豆

Kmo / PIXTA(ピクスタ)

黒豆(黒大豆)の主な品種と収穫時期一覧

自身のほ場がある地域が基本の栽培暦には合わない気候であっても、早晩性や産地の気候を考慮して品種を選ぶことで、気候に合った栽培暦で黒大豆を栽培できるかもしれません。

続いては、暖地と寒冷地それぞれの代表的な黒大豆品種について、早晩性を含むその特徴と主な産地、播種および収穫の時期について解説します。

丹波黒(たんばぐろ)

その名が示す通り、古くから丹波地方(京都府・兵庫県)で栽培されてきた在来黒大豆をもとに作出された系統で、主な産地は兵庫県や岡山県、滋賀県などです。

2016年産黒大豆の作付面積は全国で6,213ha、これを品種別にみてみるとそのうち丹波黒が2,920haと47%に相当するので、5わり近くに及び、最も多く栽培されています。

出典:公益財団法人日本特産農作物種苗協会 『特産種苗』2018年、No.27(7ページ) 「黒大豆をめぐる情勢について」

外観の特徴は極大粒の球形で、種皮に光沢が少なく、表面に白いろう粉が見られます。また、皮が薄いにもかかわらず裂皮が少ない点が特徴です。

煮豆にすると大きくて艶があり、柔らかく風味がよいため、贈答用やお正月用の最高級品として非常に人気があります。

栽培に当たっては、極晩生で生育期間が長く、播種適期は主産地の兵庫県で6月上旬~中旬頃とほかの黒大豆よりやや早く、収穫期は11月中旬~下旬で、12月に入ることもあります。

丹波黒の莢

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玉大黒(たまだいこく)

長野県中信農業試験場において、丹波黒と東山140号の人工交配により育成された品種で、主な産地は長野県です。関東以南向けの品種ですが、冷涼地、暖地のどちらでも栽培できます。

丹波黒と同様に極大粒の球形、種皮表面には白いろう粉を有します。干ばつ時に側面がくぼみ、皮にしわができやすいものの、ダイズモザイク病に抵抗性を持つ良質の黒豆で、煮物に適した品種です。

熟期は早生で、冷涼地では5月下旬~7月上旬、暖地では6月中旬~7月下旬に播種をします。収穫期は冷涼地で9月下旬~11月初旬、暖地で10月中旬~11月いっぱいです。

黒丸くん(くろまるくん)

黒丸くんは秋田県大仙市を育成地とし、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が育成した寒冷地向けの大粒黒大豆で、主に東北地域中南部を栽培適地とします。

従来、東北地域には納豆用など小粒の黒大豆ばかりで大粒の品種がありませんでした。そこで、東北地域でも栽培できる大粒の煮豆用品種として黒丸くんが育成され、2016年に新品種として発表されました。大粒で甘味があり煮たときの光沢や色がよいので煮豆に適しています。

栽培に当たっては、ダイズモザイクウイルス病やダイズシストセンチュウに対して強い抵抗性は持たないので注意が必要ですが、倒伏しにくいのが特徴です。また、多収でサヤの付く位置が高いためコンバインで収穫しやすく、機械化栽培に適しています。

まだ十分な栽培のデータはありませんが、2005~2014年に東北~北陸地域でのべ31ヵ所で行った試験によると、開花期は7月下旬~8月上旬、成熟期は10月上旬~下旬と報告されています。
また、晩生種のため、収穫前に降雪や降霜に合わないよう速やかに収穫する必要があります。

出典:農研機構「農研機構報告 121号」所収「煮豆に適する寒冷地向けの黒ダイズ新品種『黒丸くん』の育成」

いわいくろ

いわいくろは北海道で主に栽培され、作付面積は2,259haで丹波黒に次いで多く、代表的な黒大豆の品種です。皮の破れやすさが難点ですが、極大粒で外観品質に優れ、煮豆や蒸し煮に向いています。この品種は実需者からも安定したニーズがあります。

出典:公益財団法人日本特産農作物種苗協会 『特産種苗』2018年、No.27(16ページ)「北海道における黒大豆「いわいくろ」等種子の生産・供給」

早晩性は、黒大豆としては「早熟の“中”」で、降雪の遅い地域では寒くなる前に収穫できます。育成地における成熟期は10月3日とされています。

べと病にはやや弱く、ダイズシストセンチュウには弱いものの、矮化(わいか)病には強く倒伏しにくいのが特徴です。

また、黒丸くんと同様にサヤの付いている位置が高いためコンバイン収穫に向き、大規模なほ場の多い北海道に適した品種といえるでしょう。

黒大豆を枝豆として販売する場合の収穫時期は?

黒大豆の枝豆

nozomin / PIXTA(ピクスタ)

従来、黒豆は高品質な煮豆用として高値で取引されてきましたが、近年では完熟する前に収穫する枝豆の人気が高まっています。

黒大豆の枝豆は大粒で皮がうっすらと黒みを帯び、黒豆特有の甘味とコクのある味わいが特徴的です。枝豆用の黒大豆の育成も盛んに行われており、次々に新しい枝豆用品種が生まれています。

特に丹波黒は枝豆としても人気が高く、需要が増加するとともに産地間競争も熱を帯びています。ただし、安定した品質の枝豆を継続して出荷するには、注意すべき点があります。

1つ目の注意点は、収穫時期です。高品質の枝豆にするためには、実が十分に肥大し完熟する直前の収穫期を的確に見極めなければなりません。

収穫の目安としては、開花後66~74日にあたる10月15~23日頃が最適期で、10月中旬から下旬の2週間が収穫期です。見た目の判断基準では、子実の厚みが10mm程度、サヤの黄化度が120程度とされています。

丹波黒の枝豆

出典:株式会社PR TIMES(ケンミン食品株式会社 ニュースリリース 2018年10月16日)

2つ目の注意点は、農薬による防除です。

同じ黒豆でも、枝豆として収穫・出荷する場合は、煮豆用の黒豆として収穫・出荷する場合と、農薬登録の内容が異なり、同じ農薬が使えない場合があります。

枝豆として収穫・出荷する場合の登録作物名は「えだまめ」、煮豆用の黒豆の場合の登録名は「だいず」となっています。防除の際は必ず農薬の登録内容を確認してください。

黒豆(黒大豆)の収量・品質を上げる! 輪作体系の例と栽培のポイント

黒大豆は、栽培管理に手をかけ、多収よりも高品質をめざして栽培する品種ではありますが、需要の増加もあり、品質を保ちつつ収量を上げることが重要です。そこで、栽培する際に、収量と品質を上げるためのポイントについて説明します。

丹波篠山市の田畑

Kmo / PIXTA(ピクスタ)

同じ作物や同じ科の作物を植え続けると、土壌中の養分が偏ったり病原となる菌類や有害センチュウの密度が増加したりして地力が落ちます。これを連作障害といいます。

豆類は連作障害が出やすく、特に高い地力を必要とする黒大豆には、地力が落ちると品質や収量の低下が懸念されます。また、連作の結果、黒大豆に黒根腐病などの土壌伝染性病害が発生し、枯死することもあります。

地力低下や病害の発生を避けるためにも、できるだけ連作は2回までに止めて、マメ科以外の作物との輪作をしましょう。

そこで、一般的に行われている対策が、水稲や小麦との輪作です。2~3年おきに、3種類以上の作物と輪作することが理想です。

例えば、丹波黒の名産地である丹波篠山地域では、地域ぐるみで協力しながら、地力維持や連作障害の回避のために水田と畑地を入れ替える輪作を続け、地力を保つ工夫をしています。

地力向上をめざす、水田転換畑の土作りの方法

ダイズの根粒(エダマメ収穫時)

写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

水田輪作として黒大豆を作付けする場合でも、輪作さえすれば地力が落ちないというわけではありません。どんなに肥沃な土壌でも、作付けのたびに土壌中の有機物は消耗されます。地力を上げ、維持するためには、転換する年もしない年も堆肥の施用が重要です。

大豆の根には根粒菌というバクテリアの一種が共生しており、大気中の窒素をアンモニアに変換して「窒素固定」をし、大豆に供給してくれます。この根粒菌は、有機質に富む土壌ほど活発に活動し、宿主である大豆の生育を助けます。

そのためにも、冬の間に堆肥を10a当たり1,000kg目安に施用しましょう。播種の1ヵ月前には施用し、酸素を行き渡らせるために深耕することも大切です。

基肥は、堆肥が十分であればそれほど多量に作用する必要はありませんが、土壌診断をしながら、必要があれば10a当たり窒素2kg、リン酸とカリウムを8~10kg程度施用するとよいでしょう。

なお、輪作で大豆畑から水田へ転換する際には、冬期に黒大豆ガラをすき込むことにより水稲の基肥としての効果が期待できます。

輪作の場合は、常に次に栽培する作物のために必要な地力の維持に努めましょう。

収量確保には、排水性を高める湿害対策も必須

水田転換畑で黒大豆を作付けする際に注意したいのは、地力の維持だけではありません。水田転換畑は湿度が高くなりやすく、作物の根を弱らせ栄養不良・生育不良や病害などを発生させる「湿害」のリスクが高まります。

黒大豆は一般の大豆に比べて湿害に弱く、また湿度の高いほ場は病害虫も発生しやすいため、排水性がよい方がよく、一方で乾燥にも弱いので、保水性も欠かせません。

つまり、湿害を防止し品質と収量を維持するためには保水性・排水性ともに優れるほ場とすることが必要です。

そのためには、特に排水のよい水田を選び、必要に応じて排水溝や明渠(めいきょ)・暗渠(あんきょ)を整備しましょう。高畝にするのもよい方法です。

高畝に仕立てた黒大豆のほ場

プロモリンク / PIXTA(ピクスタ)

黒大豆は一般の大豆よりも栽培には手がかかりますが、その分非常に品質が高く、それが正当に評価され高値が付くことは農業の醍醐味ともいえます。ほかの作物との輪作に大豆栽培を検討している場合は、その一部を黒大豆にして、じっくり手塩にかけてみてはいかがでしょうか。

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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