農家の婚活最前線! 花嫁・花婿に出会えるマッチングアプリ&イベント事例
次世代を担う後継者の育成や確保に向けて結婚したいけれど、なかなか出会いがないという農家の方は少なくありません。本記事では農家におすすめの婚活サービスや婚活イベントを紹介しています。上手に活用し農業経営を一緒に支えてくれる花嫁・花婿を見つけてください。
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目次
専業農家や主業農家の未婚率は全国平均や兼業農家に比べて格段に高いとされています。このような傾向を少しでも改善すべく、配偶者探しに役立つさまざまな農家向けの婚活アプリやイベントが登場しています。本記事ではこれらの概要や事例について紹介していきます。
高い未婚率を背景に注目が集まる「農家の婚活」
Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
家族経営の専業農家が安定的に経営を続けていくために欠かせないのが後継者の確保です。しかしながら、専業農家では家族世帯員数や有配偶率の減少が続いています。
中央農業総合研究センターが2013年に公表した研究データによると、専業農家の有配偶率は2005〜2010年にかけて低下し、特に45〜49歳(2010年時点)の同居農業後継者における有配偶率は、第2種兼業農家(農業所得を主とする農家)が7割を超えるのに対し、専業農家は35%、主業農家は51%にとどまりました。
同年齢層の全国平均(2010年時点)を見ても、男性が72.3%、女性が77.5%といずれも7割を超えているため、専業および主業農家の有配偶率が低いことは明らかです。
また、第2種兼業農家は加齢とともに有配偶率が上昇しますが、専業農家の場合は上昇せずすべての年齢階層で40%を下回っています。
さらに専業農家において50〜54歳時点の経営者の有配偶率と1戸当たりの15歳未満の人口を地域別に見ると強い相関関係があり、有配偶率の低さが子供の人数の少なさにつながっていることがわかります。
出典:
農研機構 中央農業総合研究センター2013年の成果情報「専業農家における有配偶率の低下と子供の数への影響」
総務省統計局「平成22年国勢調査 抽出速報集計結果」(12ページ)
こうした高い未婚率を背景に注目されているのが「農家の婚活」です。
担い手の減少という重要な問題を抱える農業界において、一緒に農業経営を行ったり、次世代の農業後継者を確保したりすることにもつながる「配偶者探し」は喫緊の課題といえます。
近年は農業特化型の婚活サービスが登場するなど、婚活市場としても盛り上がりを見せているようです。
スマホで手軽に! 農家の婚活に使える、特化型マッチングサービス3選
従来、婚活はお見合いや結婚相談所の利用が主流でしたが、近年はスマートフォンで手軽に婚活ができるマッチングサービスが人気です。ここでは、農業者との出会いに特化した3つのマッチングサービスを紹介します。
あぐりマッチ
出典:株式会社PR TIMES(株式会社あぐりまっち ニュースリリース 2021年7月6日)
「あぐりマッチ」は、株式会社あぐりマッチが運営する農家専門の婚活マッチングアプリです。
農業や家庭菜園、自然、田舎暮らしに興味のある方や、就農の一手段として農家に嫁ぎたい人なども利用しているため、日常生活で出会いが少ない農家の方にも向いています。
利用者の男女比は5:5(2021年6月時点)で、男女とも20〜30代が多めです。
栽培している作物や農作業の近況など、農家ならではの情報を画像付きで投稿できるため、理想のライフスタイルを共有できる人を見つけやすいでしょう。
出典:株式会社PR TIMES(株式会社あぐりまっち ニュースリリース 2021年7月6日)
婚活アドバイザー機能が使えるのも特徴です。「やり取りを始めても上手く盛り上がらない」「マッチング率が低い」といった悩みをアドバイザーがサポートしてくれるので、婚活が不安な方も安心です。
ユーザー検索やマッチングは無料で利用でき、有料会員になるとマッチングした相手とのチャット回数が無制限になります。
Raitai(ライタイ)
Raitaiのロゴとフライヤー
ソーシャルワイヤー株式会社(株式会社Raitai ニュースリリース 2018年3月7日)
農業をしたい女性と農家の跡継ぎを引き合わせてくれる農業専門の婚活サイトが「Raitai」です。
未経験から農家に嫁いで10年という農業婚活コンサルタントの「おいこさん」こと岩立友紀子さんが2017年3月に立ち上げ、2021年で4年目を迎えました。
Raitai運営者の岩立夫妻
ソーシャルワイヤー株式会社(株式会社Raitai ニュースリリース 2018年3月7日)
利用者数は2020年12月現在、男性160人、女性200人と女性比率が高めです。男性は農業従事者(専業・兼業農家、農業法人勤務)や新規就農希望者限定で、千葉県、茨城県、北海道で多く利用されています。
女性は農業や田舎暮らしに興味のある方や農家の跡取りである人が多く、一都三県を中心に全国に利用者がいるそうです。
料金は登録料のみで男性が9,000円、女性が3,000円。会える人数に制限はなく、登録するとメッセージ機能やビデオチャットが利用できます。
不安や悩みがあれば電話やLINE、メールで無料相談を受け付けているほか、相手との初対面時には「おいこさん」に同席依頼(有料)もできるので安心です。
田舎婚
シュタインズ株式会社では「田舎婚」を含む婚活サービスと、お笑いタレントの田村淳さんが運営するお見合いイベント「マスクdeお見合い」とのコラボお見合い企画を不定期で開催
株式会社PR TIMES(株式会社DEFアニバーサリー ニュースリリース 2018年9月27日)
田舎(地方)で農業経営を行っている方におすすめなのが、オンライン婚活やスマートフォンゲームの開発を手掛けるシュタインズ株式会社の「田舎婚」という婚活サービスです。
田舎(地方)に住む男性と都市部から田舎(地方)に移住したい女性とのマッチングを専門とし、農家専用サービスではありませんが、漁業を含め一次産業に従事している男性を対象としています。
利用者の男女比は半々で年代は20〜40代が多く、男女ともに大学卒以上の学歴の人が大半です。
一般的に遠距離恋愛はデメリットとされていますが、距離条件をあらかじめ理解している人のみが登録しているため、価値観の近い人と出会える可能性が高いでしょう。
利用方法は簡単で、プロフィールと相手の希望条件を入力し、あとは担当仲人が条件に会う人を提案してくれるのを待つだけです。
交際成功率は約60%と業界最高水準とされています。登録料、入会費、初期活動費、成婚料はいずれも0円で、お見合いを希望するまでは無料で利用できます。
農業体験で素敵な出会いを生む「農コン」イベントも急増中
マッチングアプリや婚活サイトのほか、農業体験をしながら異性と交流する、いわゆる「農コン」と呼ばれる婚活イベントも多く開催されています。
最近行われたイベントの中で話題を呼んだのが、2020年8月に農林水産省の主催で初めて実施された「棚田コン」です。
農林水産省主催の婚活イベント「棚田コン」
株式会社PR TIMES(株式会社LMO ニュースリリース 2020年7月30日)
このイベントは、恋人の聖地・佐賀県玄海町の浜野浦棚田を舞台とし、稲刈り体験やBBQなどを通じて若い世代に棚田の魅力を感じてもらいながら婚活や移住サポートを行うという、これまでにない切り口の地域振興イベントです。
こうした農コンは、男女が共同で農作業を行うことで普通の合コンやお見合いよりもコミュニケーションを取りやすくなるほか、農業への不安を払拭することにもつながるため、農家の婚活にぜひ活用したいイベントといえます。
農家が主催?! 参考にしたい婚活イベント事例
マハロ/ PIXTA(ピクスタ)
農コンの盛り上がりを受け、農家が自らイベントを主催する例もあります。ここでは過去に催された2つの例を取り上げます。
事前イベントで理解を深める工夫も。JA青年部による婚活ツアー事例
2018年7月、JAきたみらい(北海道)の青年部主催で開催された「婚活ツアー」は、1泊2日の宿泊体験型で行われ、男女合わせて28人が参加しました。
女性たちが農業に対して抱えている不安や疑問を払拭してもらうため、ツアー本番前には「農家の男子とお近づき希望女子によるファーム女子会」という準備イベントを開催しました。
農家に嫁ぎたい、あるいは農業に興味のある女性を集め、コース料理を楽しみながら農業についての見識を深めてもらったことで、この女子会参加者の約6割が同ツアーにも参加したそうです。
ツアー当日は遊園地や水族館といった定番のデートコースを回りつつ、農場でトラクター・コンバインを試乗したり、牧場内で給餌をしたりといった農業体験を実施しました。
さらに温泉での懇親会やグループごとのランチパーティーを通して交流を深めてもらったところ、14組中10組がマッチングに成功しました。
参考:JAきたみらいホームぺージ内「JAきたみらい青年部が婚活イベント「婚活ツアー」を主催しました!」
農産加工グループが、手作りの婚活イベントを開催した事例
小規模ながら農家手作りの婚活イベントを開催したのは、高知県佐川町の農産加工グループ「黒岩じるし」です。20〜30代の独身男女を対象に参加者を募ったところ、佐川町内外の男性7人、高知県内の女性7人、東京都の女性1人が集まりました。
アットホームな雰囲気の中で自己紹介などを行ったのち、第一印象で気に入った人のアンケートを取り、料理体験のチームを決定。料理という共同作業で親睦を深め、佐川町の食材をふんだんに使った料理を堪能してもらった結果、見事カップルの成立につながったそうです。
YUMIK / PIXTA(ピクスタ)
「農業の未来に夢があり、かつ、農家の実際の生活を理解してくれる異性に出会いたい」。思い切って農業専門の婚活アプリや農コンに参加すれば、その確率が高くなるのではないでしょうか。
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日野澤きこ
大学卒業後3年間、小売系専門誌で新聞・雑誌の編集記者を経験。紙媒体における一連の編集業務を学ぶ。その後Webに転身し、フリーでライティング、校正、リライトなどを手掛ける。趣味は観葉植物の栽培。