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農業機械に必要な免許とは?農家に役立つ資格も紹介

農業機械に必要な免許とは?農家に役立つ資格も紹介
出典 : kiki / PIXTA(ピクスタ)・やえざくら / PIXTA(ピクスタ)・Ystudio / PIXTA(ピクスタ)・Diziano / PIXTA(ピクスタ)

トラクターを始めとする農業機械は、農業のさまざまなシーンで使用され、現代農業を支えています。しかし、農業機械のなかには特別な免許が必要なケースもあるので注意しなければいけません。この記事では農業に欠かせないトラクター運転に必要な免許と、農業の現場であると役立つそのほかの資格を紹介します。

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一定の大きさを超えるトラクターは公道を走る際に普通自動車免許での運転が認められていないことをみなさんはご存じでしょうか。そこで、これから農業の世界に飛び込む人に向けて、トラクターを運転する際に必要な免許に加え、取得しておくと役立つ資格を紹介します。

農業用トラクターの運転に免許は必要?

トラクター 農業 畑

ilixe48 / PIXTA(ピクスタ)

まず、大前提として理解しておきたいのは、運転免許が必要になるのは基本的に公道を自動車や機械が走行する場合です。つまり、トラクターをほ場内だけで使用する場合、運転免許は必要ありません。

ただし、実際の現場では、「軽トラックに資材を積み込んでほ場まで運ぶ」「倉庫からほ場へトラクターで直接移動する」といった場合が多いことから、運転免許は取っておいたほうがよいでしょう。

なお、道路運送車両法においてトラクターなどの農耕用車両は、時速35km未満ならサイズにかかわらず小型特殊自動車に分類され車検は不要です。一方、時速35km以上出る農耕用車両は大型特殊自動車に分類され、車検が必要になります。

また、トラクターをほ場などの私有地でしか使わず、公道を一切走らない場合でも自動車税の申告をしてナンバープレートの交付を受けなくてはいけません。その際の申告先は小型特殊自動車の場合は市町村、大型特殊自動車の場合は運輸支局になります。

ほ場内だけで使用する場合でも一定の維持費用がかかることは理解しておきましょう。

取得すべきは「大型特殊自動車免許」

トラクターの運転免許で注意したいのが、道路運送車両法と道路交通法における扱いが微妙に違う点です。

主に車検や自動車税の区分を定めている道路運送車両法では、農耕用車両はサイズの違いの区分がありますが、車両区分は変わりません。

一方、免許や交通ルールに関して定められた道路交通法では農耕用車両についての区分はなく、道路運送車両法における小型特殊自動車のうち、「長さ4.7m」「幅1.7m」「高さ2.0m(安全キャブや安全フレームは2.8m以下)」「最高速度時速15km」のいずれかを超えたものは、大型特殊自動車に分類されてしまいます。

小型特殊自動車は普通免許でも運転できますが、大型特殊自動車の運転には大型特殊自動車免許が必要です。

実際にはトラクターの多くの機種が大型特殊自動車に分類されるため、これから農業に従事する人は大型特殊自動車免許を取得しておくことをおすすめします。

農耕車限定の免許も用意されている

トラクターの運転に大型特殊自動車免許が必要だとわかっても、実際に免許を取得するには費用も時間もかかります。できるだけ効率的に免許を取得したい人におすすめなのが、農耕者限定免許を取る方法です。

この免許を取得すればトラクターなどの農耕車両に限り、大型特殊自動車に分類される自動車であっても運転できます。

農耕者限定免許を取得するメリットは、自動車学校だけでなく各道府県の農業大学校でも取得できるケースがあることです。

農業大学校の学生以外でも研修や試験を受けることが可能で、早ければ3日程度で資格を取得できます。また、費用も数千円程度で、自動車学校を利用するよりお得になるケースも多いでしょう。

けん引免許が必要なケース

マニュアスプレッダーやロールベーラなどの農作業機をトラクターに装着した状態で公道を走行する場合は、別途けん引免許が必要になるケースもあります。

けん引免許が必要になるケースとは、農耕トラクターで車両総重量750kgを超える農作業機をけん引する場合です。

逆にいえば、車両総重量750kg以下の農作業機は、けん引免許がなくても「灯火器類の設置」や「運行速度(時速15km以下)」などの条件を満たせば、農作業機を装着およびけん引した状態で公道を走行できます。

なお、けん引免許にも農耕者限定免許があり、大型特殊自動車免許と同じく農業大学校で取得可能なので、興味がある方はチェックしてみてください。

【関連記事】

あると役立つ!農業機械に関するそのほかの免許・資格

ある程度の規模で農業を営む場合、いろいろな作業に役立つトラクターの運転免許を取得することはほぼ必須でしょう。しかし、栽培する作物によってはそれ以外の免許や資格を取得しておいたほうがよい場合もあります。そこで、ここからは農業に役立つ免許や資格を5つ紹介していくので、参考にしてください。

トラクターの修理・整備

Diziano / PIXTA(ピクスタ)

農業機械士

農業機械士は農業機械の基礎的な知識や扱い方を習得していることを証明する資格です。近年、農家は大規模化・法人化する傾向にあり、それに伴って作業効率アップのために農業機械や施設の高性能化および大型化が進んでいます。そうした農業機械や施設を安全かつ効率的に使用できる技能者の育成を目的として、各都道府県知事が認定するのが農業機械士です。

農業機械士に認定されれば、農業機械の管理者や指導者として活動することも可能な指導農業機械士へのスキルアップもめざせます。なお、受験対象者は大型特殊自動車免許取得者のみとなっていますが、未取得者向けに同時取得できるコースもあるので必要に応じて申込を検討してください。

農業機械整備技能士

農業機械整備技能士、農業機械の点検およびメンテナンスに関する専門知識や技術を認定する国家資格です。トラクターやコンバインといった多くの農家が使う機械の整備における知識が身に付くので、農作業の安全や効率化に一役買うでしょう。

試験方法は学科と実技に分かれており、学科試験では農業機械の構造や整備方法だけでなく、農業一般に関する知識まで幅広く問われます。

実技試験は、電気回路の不良部分の判定など実際の現場で起こりそうなトラブルに対処する作業試験と、工数見積もりなどが出題されるペーパーテストの2つです。学科試験と実技試験は違う年に受けることも可能なので、知識の習得具合に応じて受験できます。

ボイラー技士

大型ボイラー

やえざくら / PIXTA(ピクスタ)

小規模および小型のボイラーしか扱わない場合は必要ありませんが、大規模な施設栽培を行う場合に取得を検討したいのがボイラー技士です。

資格の種類には特級および1級、2級があり、それぞれ扱えるボイラーの電熱面積や行える作業内容が変わります。

例えば、伝熱面積の合計が25平方メートル以上、500平方メートル未満のボイラーを使用する場合は、ボイラー技士免許の1級または特級を所持した人が取扱作業主任者として選任されていなければいけません。

自分がどの資格を取得すべきかは、認定機関である公益財団法人安全衛生技術試験協会のホームページなどで確認可能です。なお、受験資格として実務経験が必要になる場合もあります。

危険物取扱者

ビニールハウスの重油タンク

Ystudio / PIXTA(ピクスタ)

施設栽培を営む場合に取得しておいたほうがよい資格としては、危険物取扱者も挙げられます。こちらはボイラー技士のような機械整備ではなく、燃料となる重油を扱うために必要な資格です。

免許の種類には甲種、乙種、丙種の3つがあり、それぞれに扱える危険物が異なります。一般的な施設栽培を行う場合は、ガソリンやアルコール類、灯油、軽油などを扱える乙類第4種の取得がおすすめです。

各地域にある一般財団法人消防試験研究センターが認定しており、そちらへ申込書を提出することで受験できます。

産業用マルチローターオペレーター

ドローン 農薬散布

susumunda / PIXTA(ピクスタ)

近年注目を集めるドローンを使った農薬散布を行う場合に必要な資格が、産業用マルチローターオペレーターです。

ドローンを趣味で飛ばすのに資格は必要ありませんが、農薬散布など特定の用途に使用する場合は農林水産航空協会が指定する教習施設で講義を受講後、検定試験に合格しなくてはいけません。

講習は実技と学科の2種類が行われ、マルチローターの扱いから実際の農薬散布に使用する操作まで学習します。検定に無事合格したら農林水産航空協会長に推薦状が提出され、その後認定証が交付される流れです。

ただし、この資格を取得したからといって、直ちにドローンを使用した農薬散布ができるわけではありません。実際に散布するときは資格取得のほかに、航空法で国土交通省の許可が必要と定められていることは頭に入れておいてください。

【関連記事】

今回紹介したように、農業に関する免許や資格はたくさん存在します。すべての免許や資格を取得する必要はないかもしれませんが、これから農業の現場で働くのであれば、さまざまな用途に使用できるトラクターを運転する免許は、ほとんどの人が取得しておいたほうがよいでしょう。

まずは自分が理想とする農業経営像を描き、それを実現するために必要な免許や資格はどれかを考えることから始めてみてください。
また以下はスマート農業の活用事例です。ほ場の生育ムラがわかるのでドローンでの農薬散布の際に活用できます。ご興味のある方はぜひご覧ください。

64ha水稲農家スマート農業事例地力マップによる圃場の見える化で、 300圃場の生育ムラを解消!

農事組合法人せせらぎ 金子様
新潟県 平成19年設立
構成員数:10名
水稲64ha / 大豆3.5ha /蔬菜0.2ha

導入の目的

▷効果的な土づくりによる収量の増加
▷夏から収穫期における田んぼの見回りの効率化

課題・悩み

▷管理面積が広くなることによって、管理工数が増大している。

成果

▷夏から収穫期にかけての田んぼの見回りは今まで7-8人で全面積を見ていたが、人の目とザルビオを併用することで広い圃場の管理をより効率的に行えるようになった。
▷可変施肥マップを活用した可変施肥を行うことで、生育ムラが少なくなった。
▷今まで「点」で見ていた圃場をザルビオの地力マップや生育マップを活用し「面」としても見ることで、地力ごとの追肥判断や最適なタイミングでの追肥が可能になった。

詳しくはザルビオサイトへ

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中原尚樹

中原尚樹

4年生大学を卒業後、農業関係の団体職員として11年勤務。主に施設栽培を担当し、果菜類や葉菜類、花き類など、農作物全般に携わった経験を持つ。2016年からは実家の不動産経営を引き継ぐ傍ら、webライターとして活動中。実務経験を活かして不動産に関する記事を中心に執筆。また、ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格も所持しており、税金やライフスタイルといったジャンルの記事も得意にしている。

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