農業アプリおすすめ18選! 栽培管理から農薬検索、求人マッチングまで
大規模化が進む昨今の日本農業では生産性の向上が求められており、次々と便利な農業アプリが登場しています。しかし、一口に農業アプリといっても、さまざまな分野と機能のアプリがリリースされているので、正しい用途で使用することが重要です。そこで、今回は農業の効率化に役立つアプリを主な用途別に紹介します。
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Princess Anmitsu / PIXTA(ピクスタ)
ITやAIの進化によって生活はさまざまなシーンで便利になっていますが、それは農業の世界でも同様です。すでに栽培管理や病害虫診断など、農業の生産性向上に役立つアプリがたくさん登場しています。
しかし、種類が多すぎて自分の課題を解決するアプリがどれかわからず悩んでいる農家の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では農業経営に役立つアプリをそれぞれの用途別にまとめているので、参考にしてください。
農業経営に役立つアプリ
農業アプリにはいろいろな種類があるので、自分が解決したい課題に強みがあるアプリを選ぶことがポイントです。また、複数のアプリを組み合わせることで相乗効果を発揮し、さらに生産性向上に役立つケースがあることも知っておきましょう。
以下で、目的別に役立つアプリを紹介していくので、実際に使用するシーンをイメージしながら参考にしてください。
栽培管理・生育管理
アグリノート(agri-note)
農業日誌・圃場管理ツール「アグリノート」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社スカイマティクス、ウォーターセル株式会社 ニュースリリース 2018年7月11日)
アグリノート(agri-note)の特徴は、使用する端末ではなくインターネット上にデータが保存されるため、組織単位で簡単に情報を共有できることです。法人組織など、複数の人が作業する大規模経営において特に役立つアプリとなっています。
機能面では航空写真をもとにしたほ場マップで、作業内容や作物の生育状況をいつでも確認できます。マップ上に表示されるほ場は色鮮やかなカラーリングで区分けされるため、視覚的に判断しやすいのもメリットです。パソコンとスマホの両方に対応しており、ほ場にいながらにして過去の栽培履歴を確認することもできます。
Agrihub(アグリハブ)
農作業管理アプリ「アグリハブ」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社Agrihub ニュースリリース 2020年10月30日 )
Agrihub(アグリハブ)は、元エンジニアという異色の経歴を持つ農家が開発したアプリで、現場目線の使いやすさが特徴です。現役農家が開発に参加しただけあって、ありそうでなかった新しい便利機能が搭載され、話題となっています。
サービス内容は、AIが自動計算して次回使用できる農薬を教えてくれる散布管理、過去の作付けとの比較ができる農業日誌、グラフでデータ分析まで行える売上管理があります。また、農業アプリとして初めて搭載された農薬検索は、現場で手軽に農薬の適用病害虫や使用方法を確認できると人気です。
Agrion(アグリオン)
果樹に特化した「Agrion果樹」
出典:株式会社PR TIMES(フューチャー株式会社 ニュースリリース 2019年10月7日 )
スマホの農業アプリは「初期登録が面倒くさそう」というイメージを持っている人もいるでしょう。そんな人におすすめなのが、Agrion(アグリオン)です。
こちらのアプリはあらかじめ日本全国の農地データが地図としてインプットされており、その中から栽培しているほ場を選択するだけで始められます。ほ場台帳の作成は早ければ数分で終わるため、思い立ったらすぐに活用できるのが魅力です。
利用できるサービスも農業日誌・販売管理・販路支援などの機能が揃っています。
果樹に特化した「Agrion果樹」もあります。
畑らく日記(はたらくにっき)
畑らく日記(はたらくにっき)は、独自の音声入力機能が特徴のアプリです。音声入力で作業内容を記録できるのは、作業で両手がふさがりがちな農家にとってありがたい機能でしょう。また、画像アップロード機能も有しており、TwitterやFacebookと連動して情報発信を容易に行えます。
そのほかにも、アプリ内で栽培記録を他のユーザーと共有することもでき、土づくりや播種方法などの情報収集にも役立ちます。仲良くなった農家仲間の日記に「いいね!」をつけられるので、コミュニケーションツールとしても使用可能です。
ほ場管理・収量マップ
Z-GIS
Z-GISは、ほ場管理と収量マップに特化したクラウド型の営農管理システムです。地図上に表示されたほ場のポリゴンと、Excelに入力した栽培記録を紐づけて管理します。管理できる項目は品種や移植日、ほ場の面積などです。
地図の色分けやラベル表示などもアイコンでわかりやすく表示されているので、普段からスマホアプリを使用している人なら操作が難しいと感じる場面は少ないでしょう。これまで白地図やノートといった紙媒体で栽培記録を管理していた人は、情報をデジタル管理することで作業の効率化が期待できます。
xarvio
衛星画像とAIを活用した栽培管理最適化プラットフォーム「xarvio フィールドマネージャー」
出典: BASF SE「xarvio フィールドマネージャー」
xarvioは衛星データからの解析によってほ場の状態を把握し、栽培方法についてより最適なアドバイスをくれるアプリです。25年以上の年月をかけて蓄積した天候や作物に関する膨大なデータと経験に基づく農家の知識を組み合わせて状況分析を行っています。
衛星から送られるデータを過去のほ場データと突合し、場所ごとに必要な施肥量を推定してくれる「施肥支援」、病害虫が発生しそうなリスクをいち早く察知して注意を促してくれる「防除支援」といったサービスがあるのも魅力です。
ほ場で撮影した作物や雑草の写真を撮るだけで異変を検知する「xarvio SCOUTING(ザルビオ スカウティング)」と連携することもできます。
雑草や病斑がみられる葉などを、写真を撮るだけですぐ識別・判定できる「xarvio SCOUTING(ザルビオ スカウティング)」
出典: BASF SE「xarvio SCOUTING(ザルビオ スカウティング)」
※お役立ち情報:以下はxarvioの活用事例です。ご興味のある方はぜひご覧ください。
田森様
静岡県 個人経営
水稲10ha
▷食味をしっかり確保しながら、収量も取っていきたい
▷10haを1人で圃場管理するための作業効率化
▷異常気象の影響で適切な刈り取りの時期が掴めない
▷生育状況や異常のある部分を把握したいが、全ての圃場を中まで見回ることは時間的に難しい
▷ザルビオ利用開始から3年間でトータル20%の収量増加
▷JAおおいがわ美米(うまい)グランプリでは最高金賞を受賞
▷生育ステージ予測の出穂予測で適期に追肥・刈取りができるようになり、収穫したコメのほぼ全てが一等米として判定
▷生育マップで問題の起きている圃場をピンポイントに把握できるため、作業が効率化された
情報収集
MAFFアプリ
MAFFアプリは、農林水産省が農業者向けの情報発信を目的に開発したアプリです。
あらかじめプロフィールとして登録しておいた地域や関心事項、作目などに応じて農林水産省から政策やイベントに関する情報がユーザーに届きます。助成金など、支援についての情報を素早く入手したいと考えている人におすすめです。
また、アプリ内の「マフちょく」というサービスでは、農林水産省からのアンケートに回答したり、現場の状況を画像付きで農林水産省に送付したりできます。今後は農林水産省が関わるさまざまな申請や手続きをオンラインで手軽に行える「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」との連携機能の拡充も予定されています。
agmiru(アグミル)
オープンイノベーション農業プラットフォーム「AGMIRU(アグミル)」の新サービス「農家コミュニティ」
出典:株式会社PR TIMES(SBテクノロジー株式会社 ニュースリリース 2019年12月20日 )
agmiru(アグミル)は、天気予報や市況状況、肥料辞典、資材購入など農業経営に関係するさまざまな情報を収集できるアプリです。作業管理やコミュニティでの情報共有にも使えるので、栽培管理アプリとしても使用できます。初期設定が不要な点もすぐに始めたい人にとって大きなメリットでしょう。
さらに、LINEの「アグミル TALK」と友達になれば、チャット形式の質問に答えるだけで作業記録が作成できる点も便利です。現在はベータ版で一部機能しか利用できませんが、便利そうだと感じた方は今後のリリース状況をチェックしてみてください。
誰でもはたけシミュレータ
農業IoTサービス「誰でもはたけシミュレータ」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社Root ニュースリリース 2020年5月20日 )
誰でもはたけシミュレータは、気象庁の過去40年分のデータからシミュレーションされる精度の高い「気象データ検索」が特徴のアプリです。高品質な作物の栽培に欠かせない降水量や日照時間、最高最低気温を任意の期間でグラフおよび表で確認できます。
また、花芽分化などに欠かせない積算温度の予測に役立つ「積算シミュレータ」では、有効気温の設定が可能です。有効気温とは平均気温があらかじめ設定した温度以下になった場合に「積算温度を0」として計算する便利な機能で、効率的な栽培管理に貢献します。
ただし、2021年11月時点では新しいバージョンへの移行期間中で、すべての都道府県で利用できるわけではありません。関東や東海、近畿、四国、九州の一部地域でしか利用できないので、利用可能エリアを事前に確認しておきましょう。
農薬
農薬検索アプリ
農薬検索アプリはその名の通り、ほ場で使用する農薬の種類や適用病害虫などを手軽に検索できるアプリです。このアプリの特徴は登録やインストールが不要な点で、インターネットに接続できる環境であれば誰でもすぐに確認できます。頻繁に使用する農薬がある場合は、お気に入り登録すれば検索する必要もないので便利です。
また、農薬以外にも病害虫や農業に関するニュースを配信しているので、幅広い面で栽培管理に役立ちます。提供元は栽培管理・生育管理に役立つアプリで紹介したアグリノート(agri-note)と同じウォーターセル株式会社で、アグリノートと連携して使える点も魅力です。
農薬希釈くん
農薬希釈くんは、農薬の希釈計算に特化したアプリです。ラベルに記載されている希釈倍数を入力し、必要な計算方法を選択する2つのステップだけで簡単に液量や薬量を算出できます。計算方法には、「面積から算出」「液量から算出」「薬量から算出」「希釈計算早見表」の4つがあるため、自分が日頃から計算している方法を選ぶことが可能です。
アップデートによって小規模な散布をする方向けに「小数点第1位まで表示」、無人ヘリコプターやドローンで散布を行うような大規模農家向けに「10a当たりの散布量の小数点入力」などが導入され、さらに使いやすくなりました。
農薬調製支援アプリ (混用事例確認・希釈計算)
農薬調製支援アプリは、日本農薬株式会社が販売している主要な農薬製品の混用事例を確認できるアプリです。
農薬の混用は薬害が発生するリスクがあるため慎重に行わなければいけませんが、このアプリがあれば現地でしっかり確認できます。「対象となる作物を選ぶ」「使用する農薬を選ぶ」「混用農薬を選ぶ」という3つのステップだけで手軽に結果がわかります。
また、希釈倍数と散布液量から必要な使用量を算出できる希釈計算機能も付いているので、現場では何かと重宝するでしょう。
病害虫診断
アグリショット
アグリショットはLINE上で病害虫名をAIが自動診断してくれるサービスです。アプリをインストールする必要はなく、LINEでアカウントを友達に追加すれば利用できます。利用方法も簡単で、病害虫の被害が疑われる果実の写真をアグリショットのトーク画面に送れば数秒で結果がわかります。
診断してくれる作物は柑橘類やイチゴ、トマト、ナスだけですが、それらを栽培している農家なら利用してみる価値はあるでしょう。
SCIBAI(サイバイ)
病害虫診断と栽培相談SNS アプリ「SCIBAI(サイバイ)」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社ミライ菜園 ニュースリリース 2021年7月21日)
SCIBAI(サイバイ)は、インストールしたアプリで対象作物を撮影することで、AIが病害虫の自動診断をしてくれるサービスです。
さまざまな作物に対応しているので、幅広いユーザーが利用できます。病害虫診断以外にも、診断結果について他のユーザーに相談できる「教えて!アイコン」や自らの栽培記録を発信できる「栽培SNS」といった機能も付いています。
特に「教えて!アイコン」では、家庭菜園を楽しんでいる一般ユーザーの疑問に答えることでポイントがたまる機能もあるのが特徴です。ベストアンサーを積み重ねることで、消費者へ「ノウハウを豊富に持っている農家である」ことを伝えるプロモーション効果も期待できます。
販促
ポケットマルシェ
生産者と消費者を直接繋ぐアプリ「ポケットマルシェ」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社ポケットマルシェ ニュースリリース 2020年5月11日)
ポケットマルシェは生産者が誰でも簡単に出品できることを目的に開発されたアプリで、全国の農家だけでなく漁師も参加しています。このアプリのメリットは、すべての作業がスマホで完結する上、消費者と直接コミュニケーションがとれる点です。
請求は不要で売上金はアプリ運営会社から直接振り込まれるため、入金の心配をする必要もありません。また、販売した作物の感想が届くなど、消費者と手軽につながることもできるので、自園の作物の魅力を積極的にアピールしたい人にもおすすめです。
メルカリ
メルカリのテレビCM「何売るの?ベジタブル」篇
出典:株式会社PR TIMES(株式会社メルカリ ニュースリリース 2021年11月17日)
メルカリは言わずと知れた大手フリマアプリですが、使わなくなった品物だけでなく、採れたての作物を出品することもできます。メルカリでは消費者が自分の基準で商品を購入するかどうかを決めるため、市場を通して販売するときのような規格に左右されることなく、手軽に販売できるのが魅力です。
例えば、市場では値が付かないキズモノでも価格次第では売れる場合があるので、いろいろ工夫して出品してみてはいかがでしょうか。
求人・マッチング
農How
農作業マッチングアプリ「農How」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社アグリトリオ ニュースリリース 2021年6月1日)
農Howは繁忙期など、一時的に人手が欲しい農家に重宝されるアプリです。短期間でも働きたいユーザーと、忙しいときだけスポット的に働き手が欲しい農家のニーズにマッチした求人アプリとなっています。
働き手は動きやすい服装で現地集合してくれるので、農家が送迎などの問題に悩まされない点もメリットです。ただし、2021年11月時点でのサービス提供エリアは愛知県東部と静岡県西部の三遠地方のみとなっています。
農mers
農家と農業をやってみたい人をつなげるマッチングアプリ「農mers」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社マイナビ ニュースリリース 2021年2月10日 )
農mersは、働く人と作業を依頼する農家の両方が無料で利用できるアプリです。農家は案件を登録することで、手伝ってもらいたい期間に応じた求人を出せます。一方、働きたい人はこれまでの農業経験を「農スキル」に登録すれば農家へ効率的にアピールできる点が特徴です。
チャット機能も備わっていて、事前連絡などが円滑に行えるようにも配慮されています。農mersについては下記の記事でも紹介しているので参考にしてください。
あぐりマッチ
農家と農業に興味がある人が出会える恋活・婚活マッチングアプリ「あぐりマッチ」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社あぐりマッチ ニュースリリース 2021年7月6日 )
仕事柄、新しい出会いがあまりない農家におすすめの恋愛・婚活アプリです。自然や田舎が好きな人たちをターゲットにしたアプリなので、農業に対してある程度の理解を示してくれる人たちが多く集まっています。
タイムラインで自分の趣味やライフスタイルを共有したり、アドバイザーに相談したりすれば理想の相手とマッチングする可能性も高まるでしょう。これから一緒に農業を営んでいくパートナーを見つけたい人は、試してみてはいかがでしょうか。
※農家のための婚活アプリについてはこちらの記事もご覧ください。
農業アプリにはそれぞれの用途に応じて、たくさんの種類があります。適切に使うことで作業効率のアップに大きく役立ちますが、アプリ同士で重複する機能もあるので、組み合わせをよく考えたうえで利用するとよいでしょう。
まずは、自分の抱えている課題に合ったアプリを探すことから始めてみてください。
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中原尚樹
4年生大学を卒業後、農業関係の団体職員として11年勤務。主に施設栽培を担当し、果菜類や葉菜類、花き類など、農作物全般に携わった経験を持つ。2016年からは実家の不動産経営を引き継ぐ傍ら、webライターとして活動中。実務経験を活かして不動産に関する記事を中心に執筆。また、ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格も所持しており、税金やライフスタイルといったジャンルの記事も得意にしている。