トラクターのタイヤの交換方法を解説!自分でもできる手順や注意点
トラクターはアタッチメントの付け替えで耕起や畝立て、作物の運搬などもできる便利な農機具です。ただし、長年使用するとタイヤが劣化してしまいます。この記事では、トラクターのタイヤを自分で交換する方法や注意点、作業を依頼できる業者について紹介します。
- 公開日:
記事をお気に入り登録する
アタッチメントを替えれば耕起や畝立てはもちろん、草刈や重量物の搬送まで対応できるトラクターは農業になくてはならない存在です。そんな農家にとって相棒とも呼べるトラクターですが、長年使用しているとタイヤが摩耗したり劣化したりして、傷んでしまうことがあります。
そのまま放置して使い続けていると思わぬ事故につながる恐れもあるので、タイヤが傷んだら早めの交換を検討しましょう。今回はトラクターのタイヤを自分で交換する方法から、交換作業を依頼できる業者まで紹介していきます。
トラクターのタイヤを自分で交換する方法
z1b / PIXTA(ピクスタ)
トラクターのタイヤ交換は業者に依頼すると安心ですが、持ち込む手間や作業費がかかってしまうのが難点です。しかし、業者に頼まず自分でタイヤ交換するという選択肢もあります。まずは自分でタイヤ交換をするために必要な工具と、基本的な手順について紹介します。
トラクターのタイヤ交換に必要な工具
トラクターのタイヤ交換に必要な工具としては、車体を持ち上げるための「ジャッキ」、車体を固定するための「ジャッキスタンド」、固定されたタイヤを外すための「インパクトレンチ」が挙げられます。
また、ホイールからタイヤを取り外すときに、「バルブドライバー」、「タイヤレバー」、「ハンマー」の3つがあるとスムーズに作業ができます。そのほかにも、ホイールの汚れを落とすための「金たわし」、新しいタイヤを取り付けるときに滑りをよくするための「石鹸水」を準備しておくと便利です。
基本的な交換手順
トラクターのタイヤ交換の基本的な流れは以下の通りです。
1、ジャッキで車体を持ち上げてジャッキスタンドで固定する(作業中の事故リスクを軽減するために、必ず舗装された平坦な場所で作業すること)
2、インパクトレンチでタイヤを固定しているボルトを外し、車体からタイヤおよびホイールを取り外す
3、タイヤのバルブを開いて空気を抜いたあとに、タイヤレバーとハンマーを使ってビード部(タイヤとホイールがかみ合う部分)を落とす
4、タイヤ内部にあるチューブを引き抜き、ホイールから古いタイヤを外す
5、必要に応じてホイールを金たわしなどで洗う
6、新しいタイヤをホイールにはめ(タイヤの内側に石鹸水をかけておくと、滑りがよくなって作業しやすい)、少しだけ空気を入れたチューブをタイヤの中に挿し込む(あとで空気を入れるバルブをホイールのバルブ穴に通すのを忘れずに)
7、チューブがタイヤに入ったら、タイヤレバーなどを使用してタイヤをホイールにしっかり押し込む
8、指定の空気圧を確認して空気を入れ、車体に取り付ける
トラクターのタイヤ交換が必要か見極めるポイント
kikisorasido / PIXTA(ピクスタ)
タイヤ交換のサインとなるのは、主に空気圧とタイヤの摩耗です。空気圧は経年によって自然に抜けていきますが、空気を入れてもまたすぐに空気圧が低くなるようなときは、タイヤの劣化や破損、変形の恐れがあるため交換を検討しましょう。
また、長年の使用によってラグ部分が低くなってきたときも交換のタイミングです。そのままにしていると、ぬかるんだほ場で思うような動作ができなくなる可能性もあるため、交換したほうが安心なうえ、作業もしやすくなります。
そのほか、深いクラックが発生しているタイヤはパンクの原因になることがあるので、クラックがないかどうかも定期的にチェックしてください。
トラクターのタイヤを長持ちさせる方法
magraphics / PIXTA(ピクスタ)
タイヤは消耗品であるため、いつかは交換しなくてはいけません。しかし、できるだけ長い期間使用したいと思うなら、正しいメンテナンスと適正な空気圧の維持に努めることが大切です。
例えば、定期的にタイヤ表面を保護するワックスを塗布したり、空気圧のチェックをしたりすることが挙げられます。特に空気圧は低すぎても高すぎてもひび割れや摩耗の原因になりやすいので、注意が必要です。
また、過度な速度での運転や過剰積載はラグの摩耗を助長し、タイヤの寿命を縮めます。摩耗しやすい舗装路での走行は、できるだけ控えたほうがタイヤは長持ちしやすいでしょう。
さらに、直射日光や風雨はタイヤの劣化を早めるので、倉庫などの適切な場所に保管するのもポイントです。
トラクターのタイヤの種類
mits / PIXTA(ピクスタ)
トラクターのタイヤには、主に「ローラグ」と「ハイラグ」、「ラジアル」の3種類があります。
ローラグはどちらかというと、露地栽培などの畑作に適したタイヤです。低めで太いラグがきちんとエンジンパワーを地面に伝え、高い走行安定性を誇ります。
一方、ハイラグは水田でよく使用されるタイプの細く高いラグを持つタイヤで、ぬかるんだ地面でもタイヤの溝の間に泥が詰まりにくい構造になっています。
そしてラジアルタイヤの特徴は、地面との接地面が広いため、高いけん引力と乗り心地の向上を両立させていることです。土壌踏圧性の緩和や耐久性にも優れていることから、大型のトラクターに向いています。
交換の際にはタイヤ表示を確認
タイヤ交換を自分で行う際は、トラクターに合ったタイヤサイズを選択することが重要です。タイヤサイズの情報は基本的に側面部分に表示されています。例えばタイヤの側面に「520/70 R 34 145 A8 -」と記載されていた場合は、前から順番に「タイヤ幅(mm)、扁平率(%)、カーカス構造、リム径(インチ)、ロードインデックス、速度記号、用途記号」が表示されています。
そのほかにも、メーカーや製造国、使用時最高内圧などが記載されていることもあるので、使用しているタイヤの側面を確認したうえで適切な製品を探しましょう。
トラクターのタイヤ交換ができる場所
DedMityay/ Shutterstock.com
トラクターのタイヤ交換は自分でもできますが、複数の工具が必要で、慣れていないと難しさを感じるケースもあるでしょう。また、安全面を考えて、業者に依頼したいと思う人もいるのではないでしょうか。そこで、最後にトラクターのタイヤ交換が依頼できる業者を紹介します。
メーカー
タイヤ交換はトラクターを販売しているクボタやヤンマーなどの農機具メーカーに依頼できる場合があります。農機具メーカーは日頃からトラクターを扱っているだけあって豊富なノウハウを持っているので、タイヤ交換の際に一緒に車体の整備や点検まで任せるのもよいでしょう。
JAの農機センター
トラクターはJAの農機センターでも扱っていて、タイヤ交換も受け付けています。JAは農機の故障に備えて広域部品センターを設置しているので、迅速に対処してくれるのが強みです。また、修理を担当する人の技能講習を実施するなど、技術力も信頼できます。
カー用品店・タイヤ専門店
トラクターのタイヤ交換は、フォークリフトや耕運機など、特殊なタイヤを専門的に取り扱うタイヤ専門店やカー用品店でも受け付けている場合があります。業者によってはたくさんの種類を取り揃えているところもあるので、タイヤ選びにこだわりたい人に向いているといえます。
ガソリンスタンド
新しいタイヤを持ち込んで交換をしてもらうだけなら、ガソリンスタンドでも対応してもらえることがあります。自宅やほ場周辺にガソリンスタンドがある場合は、農作業の合間に立ち寄れるので急なタイヤトラブルがあっても大きな助けになるでしょう。
ただし、トラブルがあってからいきなり依頼しても対応してもらえない場合もあるので、事前にトラクターのタイヤ交換に対応しているかどうかを確認しておいたほうが無難です。
dr30 / PIXTA(ピクスタ)
トラクターのタイヤ交換は工具さえあれば、自分で行うことも可能です。最初のうちは難しさを感じるかもしれませんが、複雑な工程ばかりではないので慣れてしまえば問題なくこなす人もいます。
ただし、工具をそろえるのにも費用がかかりますし、慣れていないとタイヤの不具合によるトラブルが起こるかもしれません。そのため、自信がない場合はJAの農機センターなどへ依頼することも検討するとよいでしょう。
記事をお気に入り登録する
minorasuをご覧いただきありがとうございます。
簡単なアンケートにご協力ください。(全1問)
あなたの農業に対しての関わり方を教えてください。
ご回答ありがとうございました。
お客様のご回答をminorasuのサービス向上のためにご利用させていただきます。
中原尚樹
4年生大学を卒業後、農業関係の団体職員として11年勤務。主に施設栽培を担当し、果菜類や葉菜類、花き類など、農作物全般に携わった経験を持つ。2016年からは実家の不動産経営を引き継ぐ傍ら、webライターとして活動中。実務経験を活かして不動産に関する記事を中心に執筆。また、ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格も所持しており、税金やライフスタイルといったジャンルの記事も得意にしている。