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【ピーマン育苗】発芽率100%を目指す! 栽培方法や温度管理のポイントを解説

【ピーマン育苗】発芽率100%を目指す! 栽培方法や温度管理のポイントを解説
出典 : cozy / PIXTA(ピクスタ)

ピーマンは促成栽培や抑制栽培・露地栽培などさまざまな作型があり、収穫時期に合わせて育苗を行います。苗を100%発芽させ、さらに発芽時期を揃えるためには土作りや育苗時の温度管理が重要です。この記事では、ピーマンの播種から育苗・定植までの栽培方法や温度管理について解説します。

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収獲期のハウス栽培ピーマン

hamahiro / PIXTA(ピクスタ)

ピーマンの収穫期間を長期化させて増収につなげるには、健全な苗を作り適切な時期に定植することが大切です。播種・定植時期や収穫期について、基本的な作型とともに解説します。

ピーマンの基本的な作型・栽培暦

ピーマンには、露地普通栽培のほかに、抑制栽培・半促成栽培・促成栽培の作型があります。

・促成栽培
播種から収穫まで施設で栽培する作型です。厳寒期にも出荷できるメリットがありますが、温度管理が不適切だと着果不良や樹勢低下を招くので注意が必要です。

・半促成栽培
加温ハウス、または、二重トンネルで栽培する作型です。2~3月から収穫が可能で、7~8月に更新剪定を行えば11~12月頃まで長期にわたり収穫できます。

・抑制栽培
露地普通栽培よりも遅い時期に収穫する作型です。生育後半の温度管理の徹底が、収量を確保するためのポイントになります。

ピーマン露地栽培

Ystudio / PIXTA(ピクスタ)

ピーマンの育苗方法と管理のポイント

健全な苗を作るためには、十分な根張りを確保できる環境作りが大切です。続いて、播き土・鉢土の選び方や播種の方法、温度・水分管理のポイントについて解説します。

播き土・鉢土は通気性・透水性が重要

ピーマンは乾燥や過湿に弱く根張りが狭い特性があり、土壌の質が収量に大きく影響します。土壌中の酸素濃度が低くなると生育が阻害されるため、ほ場の土壌はもちろん播き土・鉢土にも通気性・透水性があり、有機物を多く含んだ土壌を選ぶのがポイントです。

育苗前に土壌診断を行い、土壌pHが6.0~6.5、土壌EC(電気伝導率)は0.6~0.8mS/cmになるよう施肥量を調整します。肥料が多すぎると根傷みの原因になるので注意が必要です。

また、亜硝酸吸収害などの生育障害を防ぐため、土壌消毒は施肥後1~2週間経過してから行います。

播種の方法はセルトレイ播き・鉢へ直播き・トロ箱播き・ジフィーポット播きの4種類

ピーマン ポット育苗

cozy / PIXTA(ピクスタ)

ピーマンの播種は定植予定日の28~35日前に行います。発芽しない苗が発生しても収量に影響しないよう、予備の苗も準備しておきます。

発芽時期を揃えるためには種子を24時間程度水に浸した後に播種するか、あらかじめ鉢土を湿らせてから播種するのがポイントです。播種の方法についても紹介します。

・セルトレイ播き
200穴セルトレイを使い、1角あたり1~2粒播種します。苗の生育にムラが生じないよう、均一に土詰めしておくことが大切です。本葉が1.5~2枚になったら、15cmポリ鉢に鉢上げします。

・鉢へ直播き
12~15cmのポリ鉢を使い、鉢1個あたり2粒播種します。鉢上げは必要ありませんが、本葉が4~5枚になったら葉が重ならない程度に鉢の間隔を広げます。

・トロ箱播き
発泡スチロール製または木製・プラスチック製の鮮魚箱に鉢土を入れて播種する方法ですが、育苗箱を使ってもかまいません。10aあたり30mlの種子を用意し、トロ箱5枚に分けて条播きまたはバラ播きします。

・ジフィーポット播き
ジフィーポットとは天然素材でできた鉢で、最終的に土に還るのが特徴です。30~50mm程度のジフィーポットを選び、1個あたり1~2粒播種します。播種後5~7日を目安に、15cmポリ鉢に鉢上げします。

日中の温度管理の目安は25~28℃

ピーマン 発芽直後

トマト大好き / PIXTA(ピクスタ)

播種後の温度は日中25~28℃、夜間は15~20℃を目安に管理します。温度不足の環境では発芽率の低下や奇形苗の発生が懸念されるため、気温が低い時期に育苗する際はヒーターや温床マットなどを活用して苗床を適温に保つのが重要です。

発芽後は、定植後のほ場環境に順応できるよう夜間の温度を低めに管理します。鉢上げまでは16~18℃、定植の1週間前には15℃前後と徐々に温度を下げていきます。ただし、12℃以下になると生育が止まるので注意が必要です。

できるだけ苗を外気に触れさせることも、丈夫な苗づくりのポイントです。晴天時はもちろん、育苗ハウスが多湿状態にならないよう曇天・雨天時にも換気を行います。

苗に外気が当たることで節間が詰まって茎が丈夫になり、葉の厚みも増します。換気扇などで空気を循環させるのも効果的ですが、土壌や苗が乾燥しないように水分管理を徹底しましょう。

育苗初期は過湿・定植前は過乾に注意

ピーマンのハウス育苗

Kosuke / PIXTA(ピクスタ)

苗への灌水は、生育状態や培土の湿り具合をこまめに観察しながら行います。セルトレイやトロ箱・ポリ鉢の隅は乾燥しやすいので、灌水ムラを防ぐために中心部より多めに灌水するのが水管理のポイントです。

育苗初期は根からの吸水量が少ないので、灌水量を少なめにして過湿を防ぐようにします。灌水量が多すぎると覆土が流亡し、養分不足の原因にもつながるので注意が必要です。

一方、苗が生長するにつれて根からの吸水量が増えるため、過乾燥にも注意します。セルトレイやポリ鉢で育苗する場合は、培土の内部まで水分が行き渡るように底面から灌水させるのも効果的です。

ただし、夕方に灌水すると夜間に過湿状態となり、根傷みや徒長苗・病害が発生する恐れがあります。午前中に灌水した後、夕方に培土の表面が少し乾く程度になるよう湿度を調整しましょう。なお、定植時に苗が傷まないよう定植前日の灌水は控えめにします。

定植前のピーマン苗

まっちゃん / PIXTA(ピクスタ)

本圃の準備時期

定植予定日の1ヵ月前までに、ほ場に有機資材と苦土石灰などの土壌改良剤を施用し、十分な根張りを確保できるよう深さ30cmくらいまで深耕します。

基肥は定植15日前までに全面施用し、高畦を作ります。10a当たりの基肥の施用量は窒素成分で30~35kg程度が目安ですが、各地の施肥基準に沿って施肥するようにしましょう。

基肥・畦作りの段階で土壌が乾燥していると定植後の通気性が悪くなるため、土壌を湿らせてから作業を行うのが重要です。

出荷され売場に並んだピーマン

sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)

ピーマンの苗を100%発芽させて増収を目指すには、育苗段階からの土選びや温度・灌水管理が重要です。十分な根張りを確保できるよう、ほ場・培土ともに通気性・透水性のある土壌を選ぶようにしましょう。

灌水は午前中に済ませ、夕方には培土の表面が少し乾く状態にすれば夜間の過湿状態を防ぐことができます。育苗ハウスを適温に保ちつつ苗を外気に当てることも、丈夫な苗作りのポイントです。

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舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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