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【2023最新】きゅうりの新品種を一覧で比較! 病気に強い多収品種は?

【2023最新】きゅうりの新品種を一覧で比較! 病気に強い多収品種は?
出典 : リョウ / PIXTA(ピクスタ)

きゅうり栽培において、高い収量を実現するためには、病害に強く、多くの収穫が期待できる品種の選択が欠かせません。そこで、国内で広く栽培されている代表的な品種や新しい品種の中から、おすすめのものをいくつかご紹介します。

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きゅうりは品種改良が盛んな作物であり、耐病性、気候適応性、食味、果形、長期にわたる収量の安定性などが異なる多種多様な品種が育成されています。ここでは、国内の主要な栽培品種や作型に加えて、近年開発された新しいきゅうり品種について紹介します。

代表的なきゅうりの種類は? 主要品種と作型の例

きゅうり 農家 収穫

dorry / PIXTA(ピクスタ)

ここでは、国内で流通している主なきゅうりの種類や品種とその作型について解説します。

国内で栽培されているきゅうりの種類

きゅうりは露地栽培と施設栽培の両方で各地で栽培されており、産地・品種・作型がずれることで1年を通じて市場に出荷されています。

きゅうりはその姿から、白いぼきゅうりと黒いぼきゅうりに大別され、国内で出回っているきゅうりの大半は白いぼきゅうりですが、ほかにも種類があります。

白いぼきゅうり

国内市場での流通の大半を占める品種で、表面が滑らかで鮮やかな緑色をしており、いぼが白いことが特徴です。
表面に白い粉(ブルーム)が出るものを「ブルームきゅうり」、出ないものを「ブルームレスきゅうり」と呼びます。果肉はみずみずしく歯切れがよく、年間を通して市場に出回っています。

黒いぼきゅうり

厚い皮に覆われ、いぼが黒いきゅうりです。かつては全国的に主流な品種でした。1960年代に生食に適した白いぼきゅうりへの生産の転換が図られたことで生産量が減少し、現在では九州や四国などでわずかに栽培されています。

いぼなしきゅうり

品種改良によって生まれたいぼのないきゅうりです。表面は滑らかで、従来のきゅうりに比べ短く、太めの品種です。いぼがないため洗浄しやすく、雑菌の繁殖を抑えられるため、加工にも適しています。

花丸きゅうり

6~7cmの黄色い花が付いた状態で出荷されるきゅうりです。その見た目から、主に料理のつまやあしらいとして使われます。

もろきゅうり

長さ10~15cm程度で若採りした、生食用きゅうりを指します。多くは黒いぼ系品種で、柔らかく歯応えがいいため、生食に適しています。

ピクルス用品種

長さ7.5~10cm程度で短く楕円形のきゅうりです。いぼは小さく、きゅうりの先端付近は白色です。その名の通り、主にピクルス(野菜や果実などの酢漬け)に使われます。

出典:独立行政法人 農畜産業振興機構「野菜ブック」所収「きゅうり」

きゅうりの作型と主要産地

きゅうりの生育温度は、日中は25~28℃、夜間は13~17℃、地温は18~23℃が適しています。そのため、収穫期が6月から9月に当てはまる場合は露地で栽培されますが、収穫期がそれ以外にずれる場合は施設で栽培されます。

きゅうりは、収穫期によって「冬春きゅうり」と「夏秋きゅうり」の2種類に分けられます。

冬春きゅうりは、露地でのトンネル早熟栽培、施設での半促成栽培や促成栽培が中心です。一方、夏秋きゅうりは、露地栽培や温暖地での露地抑制栽培、施設でのハウス抑制栽培が主な栽培方法です。

きゅうりの主要な生産地としては、宮崎県、群馬県、埼玉県が挙げられます。

冬春きゅうりの収穫量ランキング(2020年産)

都道府県収穫量構成比
宮崎県5万7,000 t20.1%
群馬県3万2,500 t11.5%
埼玉県3万900 t10.9%
高知県2万3,900 t8.4%
千葉県1万9,500 t6.9%
茨城県1万4,500 t5.1%
愛知県1万800 t3.8%
鹿児島県8,440 t3.0%
佐賀県8,160 t2.9%
福島県7,380 t2.6%
その他7万20 t24.7%
全国計28万3,100 t100.0%

出典:農林水産省「作物統計調査 作況調査(野菜) 確報 令和2年産野菜生産出荷統計」よりminorasu編集部作成

夏秋きゅうりの収穫量ランキング(2020年産)

都道府県収穫量構成比
福島県3万1,100 t12.1%
群馬県2万3,300 t9.1%
埼玉県1万5,200 t5.9%
北海道1万4,100 t5.5%
岩手県1万2,000 t4.7%
長野県1万1,800 t4.6%
茨城県1万1,000 t4.3%
山形県1万700 t4.2%
千葉県8,200t3.2%
秋田県8,190t3.2%
その他11万510 t43.2%
全国計25万6,100 t100.0%

出典:農林水産省「作物統計調査 作況調査(野菜) 確報 令和2年産野菜生産出荷統計」よりminorasu編集部作成

きゅうりの産地別主要品種

主要産地における栽培品種と作型を見ていきます。

収穫量が最も多い宮崎県では、「Vアーチ」が露地栽培に、「カレラ」や「千秀2号」などが施設栽培に用いられています。

群馬県では、施設栽培の中でも、「トップラン」や「ハイグリーン」、「ニーナZ」などが促成栽培に、「一心」などがハウス抑制栽培に使われることがあります。

埼玉県では、「豊美」などが露地栽培に、「ズバリ163」、「ニーナZ」、「兼備2号」、「まりん」などが施設栽培されています。

出典:農林水産省「各都道府県において主に栽培されている品種」所収「宮崎県」「群馬県」「埼玉県」
株式会社埼玉原種育成会「キュウリを栽培される全国の皆様へ」

2023年最新! 近年育成された、きゅうりの新品種一覧

きゅうり栽培

hamahiro / PIXTA(ピクスタ)

近年、育成されたきゅうりの主な新品種一覧です。

きゅうりの新品種一覧(2020-2023年)

品種名販売元発売時期
なついろ株式会社ときわ研究場2023年
ネクスター1号改良朝日アグリア株式会社2022年
ネクスター2号改良朝日アグリア株式会社2022年
スック株式会社久留米原種育成会2023年
クロスター株式会社久留米原種育成会2023年
ポイント株式会社ときわ研究場2022年
プレスト株式会社久留米原種育成会2021年
あすとろ株式会社久留米原種育成会2021年
瑞帆(ミズホ)株式会社久留米原種育成会2020年

出典:
株式会社ときわ研究所「商品紹介」
朝日アグリア株式会社「キュウリ新品種 『ネクスター1号改良』『ネクスター2号改良』 発売」
一般社団法人農協協会「きゅうり新品種「スック」と「クロスター」2月1日発売 久留米原種育成会」
一般社団法人 農山漁村文化協会「低温果実肥大力のある省エネ品種!キュウリ『ポイント』」
株式会社久留米原種育成会「新品種「プレスト」をリリースしました」
一般社団法人農協協会「キュウリ黄化えそ病耐病性の新品種「あすとろ」発売 久留米原種育成会」
一般社団法人農協協会「きゅうりの新品種 複合耐病性「瑞帆」発売」

きゅうりの品種改良は、見た目や味、耐病性、収量性などの改善をめざして盛んに行われており、毎年複数の種苗会社から新品種が発売されています。特に耐病性については、甚大な被害を与えるうどんこ病やべと病などの病害に強い品種開発が進められています。

ここからは、上記の新品種を耐病性や収量性、秀品率、適応作型などの特徴別に紹介します。

【耐病性で選ぶ】 病害に強いきゅうりの新品種

きゅうり 品種 耐病性

photodiod / PIXTA(ピクスタ)

きゅうり栽培は、複数の病害リスクを伴いますが、品種改良によって強い病害耐性を持つ品種が開発されています。

この章では、病害に強いきゅうりの新品種を紹介します。

4種複合耐病性あり! 促成栽培に適した「ネクスター」

4種複合耐病性品種「ネクスター1号改良」

4種複合耐病性品種「ネクスター1号改良」
写真提供:朝日アグリア株式会社、株式会社久留米種苗園芸

ネクスター1号改良

発売年月:2022年5月
適応作型:ハウス栽培
耐性を持つ病害:黄化えそ病、退緑黄化病、褐斑病、うどんこ病
その他の特長:
国内で唯一、黄化えそ病、退緑黄化病、褐斑病、うどんこ病の4種の病害に耐性を持つ品種です。また、べと病にも強く、低温寡日照期でも安定的かつ、連続して多収穫が可能な品種です。

製品ページ:株式会社久留米種苗園芸「ネクスター1号改良」

出典:朝日アグリア株式会社「キュウリ新品種 「ネクスター1号改良」・「ネクスター2号改良」 発売」

ネクスター2号改良

発売年月:2022年7月
適応作型:越冬、促成栽培
耐性を持つ病害:黄化えそ病、退緑黄化病、褐斑病、うどんこ病
その他の特長:
ネクスター1号改良と同様、黄化えそ病、退緑黄化病、褐斑病、うどんこ病の4種の病害に耐性を持つ品種です。「ネクスター1号改良」との大きな違いは、冬季(越冬)での栽培に適している点です。

製品ページ:株式会社久留米種苗園芸「ネクスター2号改良」

出典:朝日アグリア株式会社「キュウリ新品種 「ネクスター1号改良」・「ネクスター2号改良」 発売」

抑制栽培向け! 日本初の黄化えそ病耐性品種「あすとろ」

キュウリ黄化えそ病(MYSV)に耐性を持つ「あすとろ」

キュウリ黄化えそ病(MYSV)に耐性を持つ「あすとろ」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社久留米原種育成会 プレスリリース 2020年12月1日 )

発売年月:2021年2月
適応作型:雨除け、抑制栽培
耐性を持つ病害:黄化えそ病、褐斑病、うどんこ病、べと病
その他の特長:
黄化えそ病に対して強い耐性を持つ品種として、日本で初めて商品化されたきゅうりです。黄化えそ病は防除が難しく、1995年に国内で発生が確認されて以来、熱望されていた耐性品種です。

製品ページ:株式会社久留米原種育成会「新商品紹介【あすとろ】」

出典:農業協同組合新聞「キュウリ黄化えそ病耐病性の新品種『あすとろ』発売 久留米原種育成会」

【収量性で選ぶ】 秀品・多収が望めるきゅうりの新品種

きゅうり ハウス栽培

photodiod / PIXTA(ピクスタ)

きゅうりの多収を実現するためには、長期にわたって樹勢や果形の安定性を維持できる品種を選ぶことが重要です。さらに、耐病性を有している品種であれば、栽培後半まで安定した栽培が期待できます。

そこで、以下では秀品で多収が期待できるきゅうりの新品種を紹介します。

節成性の高さで高収量に期待! ハウス向け品種「スック」

高い収穫量が見込める「スック」

高い収穫量が見込める「スック」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社久留米原種育成会 プレスリリース 2023年1月31日)

発売年月:2023年2月
適応作型:雨除け、抑制栽培、半促成栽培
耐性を持つ病害:褐斑病、うどんこ病、べと病
その他の特長:
主枝の伸張性、節成性、分枝性の高さが特徴の品種です。栽培期間を通じて樹勢が維持され、果形の安定性に優れるため、長期間にわたって収穫が可能になります。

製品ページ:株式会社久留米原種育成会「スック(K2059)」

出典:株式会社PR TIMES 株式会社久留米原種育成会 プレスリリース 2023年1月31日「きゅうり種子の品種開発を手掛ける『久留米原種育成会』が新品種を発表 2023年2月1日よりきゅうり新品種を発売」

安定した果形による秀品率の高さが強み「瑞帆(ミズホ)」

うどんこ病、褐斑病、べと病に強い複合耐病性品種「瑞帆(ミズホ)」

うどんこ病、褐斑病、べと病に強い複合耐病性品種「瑞帆(ミズホ)」
株式会社PR TIMES(株式会社久留米原種育成会 プレスリリース 2020年8月12日)

発売年月:2020年7月
適応作型:雨除け、抑制栽培、越冬、半促成栽培
耐性を持つ病害:褐斑病、うどんこ病、べと病
その他の特長:
徒長枝が発生しにくく、果実を付けながらもゆっくりと伸長することが特徴です。栽培初期から果形が安定しており、栽培期間の後半まで樹勢が維持されるため、多収を実現できます。

製品ページ:株式会社久留米原種育成会「きゅうり新商品紹介【瑞帆】」

出典:株式会社PR TIMES 株式会社 久留米原種育成会 プレスリリース 2020年8月12日「きゅうりの新品種 複合耐病性『瑞帆(ミズホ)』が発売開始!」

長期にわたって安定した収穫が見込める新品種「プレスト」

久留米原種育成会グループ Youtube公式チャンネル「新品種の説明#2/プレスト 久留米原種育成会 研究開発本部 ブリーダー編・品種解説」

発売年月:2021年8月
適応作型:雨除け、越冬、半促成栽培
耐性を持つ病害:褐斑病、うどんこ病、べと病
その他の特長:
この品種は、枝の伸長と果実の肥大のバランスに優れており、収量が安定しています。全体的に枝の動き(成長)はゆっくりですが、秀品率が高く、多収を実現することができます。

製品ページ:株式会社久留米原種育成会「新商品紹介【プレスト】」

出典:久留米原種育成会グループ Youtube公式チャンネル「新品種の説明#2/プレスト 久留米原種育成会 研究開発本部 ブリーダー編・品種解説」「新品種の説明#2/プレスト 久留米原種育成会 営業部 企画チーム編・栽培解説」

初期から多収! 低温下での果実肥大力が高い「ポイント」

低温下での果実肥大力と果形の安定性に優れる「ポイント」

低温下での果実肥大力と果形の安定性に優れる「ポイント」
写真提供:株式会社ときわ研究場

発売年月:2022年
適応作型:ハウス栽培
耐性を持つ病害:褐斑病、うどんこ病
その他の特長:
冬季の低温環境下でも果実の肥大力が高く、12月の播種でも主枝の雌花率は60〜70%が期待される品種です。また、春先の高温・乾燥環境にも適応性があり、安定して優れた果形の果実を収穫できます。

製品ページ:株式会社ときわ研究場「品種紹介|ポイント」

出典:農文協 雑誌広告ナビ「低温果実肥大力のある省エネ品種!キュウリ『ポイント』」

【作型で選ぶ】 高温・低温に強い、露地栽培向けきゅうりの新品種

きゅうり 露地栽培

Akiphoto / PIXTA(ピクスタ)

きゅうりを露地栽培するには、春に播種を行い、夏の高温期前に収穫することが一般的ですが、真夏の高温環境や、比較的低温な時期にも適応できる品種が登場しています。

以下では、温度変化に強い、露地栽培向けのきゅうりの新品種を紹介します。

草勢と果実肥大の好バランスで多収に期待「なついろ」

高い収量性と安定した果形「なついろ」

高い収量性と安定した果形「なついろ」
写真提供:株式会社ときわ研究場

発売年月:2023年
適応作型:普通露地栽培、抑制露地栽培
耐性を持つ病害:褐斑病、うどんこ病、ウイルス病(ZYMV)
その他の特長:
複数の病害に加え、ウイルス病にも耐性を持つため、露地栽培でも栽培後半まで樹勢を維持できる品種です。べと病にも比較的強く、初期から収量性が高いことも特徴です。

製品ページ:株式会社ときわ研究場「品種紹介|なついろ」

高温期の定植もOK! 露地抑制栽培に適応した「クロスター」

露地抑制栽培に適応した「クロスター」

露地抑制栽培に適応した「クロスター」
出典:株式会社PR TIMES(株式会社久留米原種育成会 プレスリリース 2023年1月31日)

発売年月:2023年2月
適応作型:普通露地栽培、抑制露地栽培
耐性を持つ病害:炭疽病、うどんこ病、ウイルス病(ZYMV)
その他の特長:
高温環境下での露地栽培に耐えられる品種です。生育後半まで樹勢を維持し、果実の安定性と果揃いがよく、高い秀品率が期待できます。

製品ページ:株式会社久留米原種育成会「新品種発売のお知らせ|クロスター」

出典:農業協同組合新聞「きゅうり新品種「スック」と「クロスター」2月1日発売 久留米原種育成会」

日本では、きゅうりの品種改良が盛んに行われ、新しい品種が毎年発売されています。

しかし、安定的に収益を確保するには、果形や収量の安定性や耐病性、食味など、いくつかのポイントに着目して品種を選ぶことが大切です。

新たにきゅうりの優良品種の作付けを考えている方や、これからきゅうり農家として独立を検討している方は、適切な品種と栽培方法を組み合わせて、高品質な果実の収穫をめざしましょう。

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大森雄貴

大森雄貴

三重県伊賀市生まれ。京都を拠点に企業・団体の組織運営支援に携わった後、2020年に家業の米農家を継ぐためにUターン。現在は米農家とライターの二足の草鞋を履きつつ、人と自然が共に豊かになる未来を願いながら、耕作放棄地の再生、農家体験プログラムの実施、暮らしを大切にする経営支援などに取り組んでいる。

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