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日本で可変施肥が実現する?日本の3大農機メーカーが世界標準の農業アプリと連携開始

日本で可変施肥が実現する?日本の3大農機メーカーが世界標準の農業アプリと連携開始
出典 : hiro / PIXTA(ピクスタ)

地力を始めとした様々なデータを使う「可変施肥」。欧米ではメーカーの壁を越えたデータ提供が進んでいるのに対し、日本ではメーカーごとに閉じているのが現状です。最近日本でも、BOSCH社やディア社などの世界的な農機メーカーと広く連携しているxarvioが、日本の大手農機メーカーとの連携を本格化しています。

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スマート農業の中でも特に注目されている「可変施肥」。導入したいけれど、自分が持っているトラクターや作業機、田植機が、どのアプリで使えるのかわからないという農家の声が聞こえてきます。

スマート農業 ほ場の状態を細かく把握できるマップ機能イメージ

zapp2photo - stock.adobe.com

日本の農家が直面するスマート農業の壁

去年の収量や地力、今の生育状況、田植機などの稼働実績、気象情報・・・さまざまなデータを組み合わせて、1枚の田んぼの中でも場所ごとに最適な施肥量を自動でちょうどよく散布できるのが「可変施肥」の強みです。

ところが、ここで悩ましいのが、農機メーカーによって使えるデータが異なることです。

例えば、農機メーカーAの土壌肥沃度マップと、農機メーカーBの生育マップと農機メーカーCの前年収量・食味マップを組み合わせて、総合的に判断するアプリがほしいところですが、今は、「いいとこどり」はできません。

スマート農機が使えるデータやマップは、メーカーによって違って相互に使えない

出典:minorasu編集部作成

実際に、スマート農業実証プロジェクトに参加した農家からは「違うメーカーの農機を使うときに相互にデータ連携できるようにしてほしい」「1つの営農管理アプリにデータを集められるようにしてほしい」といった声が挙がっています。

もちろん、WAGRIをはじめとする農業基盤プラットフォーム構想や農業オープンAPIガイドラインの整備を、政府や公的研究機関が中心となって推進しようとしています。しかし、まだ始まったばかりというのが現状です。

欧米で進むメーカー横断のデータ連携

ところが、欧米の農家はどのメーカーの農機を持っていても、可変施肥など精密農業に取り組める環境にあります。

農機メーカーだけでなく、農業に深く関わる化学メーカーや食品商社などの大企業が、企業の壁を越えて連携し、農家がどの農機を持っていても、どの営農管理アプリを使用していても、精密農業に取り組めるような環境を整備しているのです。

具体的には、農機やアプリが生成するデータと、データとアプリをつなぐインタフェースの仕様を標準化して安全にやりとりできるプラットフォームがあり、そこに多くの企業が参加しています。

農業データの標準化とオープンAPI AgGateway agrirouter ISOBUS

出典:agrirouter、AgGateway、農林水産省「スマート農業|オープンAPI整備に向けて|農業分野におけるオープンAPI整備に向けた検討会」所収「農業分野におけるオープンAPIの整備に向けて(第1回検討会(令和2年8月6日)資料)」よりminorasu編集部作成

耳にしたことがあるのは「AgGateway」「agrirouter」「ISOBUS」ではないでしょうか。

「AgGateway」と「ADAPT」

「AgGateway」は農業データの標準化と相互運用性を推進するために、2005年に発足した非営利のコンソーシアムです。2016年時点で北米だけで200社以上が加盟しています。

「AgGateway」では、ディア社など北米系の農機メーカーが中心になって、データ交換プラットフォーム「ADAPT」を運営しています。

agrirouter

クラースやCNHなど欧州系のメーカーが中心になっているデータ交換プラットフォームが「agrirouter」です。2019年時点で約60社が参画しています。

通信規格「ISOBUS」

可変施肥をするのは側条施肥田植機だけではありません。トラクターとブロードキャスターの相性も大事です。このトラクターと作業機間のデータ通信の規格を定めているのが「ISOBUS」です。ISOBUS規格に準拠した機器は、異なるメーカー間でも相互に通信できます。

トラクターと作業機をつなぐ通信規格「ISOBUS」

出典:CC-ISOBUS、農林水産省「スマート農業|オープンAPI整備に向けて|農業分野におけるオープンAPI整備に向けた検討会」所収「農業分野におけるオープンAPIの整備に向けて(第1回検討会(令和2年8月6日)資料)」よりminorasu編集部作成

例えば、ISOBUS対応のトラクターと作業機ならば、同じコントローラーやスマートフォン・アプリで制御することができます。

このように、欧米ではメーカーの壁を越えた連携が進んでおり、農家は持っている農機や使用している農業アプリに関わらず、精密農業に取り組み、その恩恵を受けているのです。

大手農機メーカーがついに! ザルビオのマップデータとのシームレス連携を開始!

AgGatewayやagrirouterにも参加している独・BASF社が提供する栽培管理システム「xarvio FIELD MANAGER(以下、ザルビオ)」は、数多くの国や地域で導入されている世界標準の栽培管理システムの1つです。

これまで、「ザルビオ」の地力マップや生育マップのデータを使うには、USBを介して農機に読み込ませる必要がありました。

しかし、最近、大手農機メーカーが、ザルビオのマップデータをそのまま読み込めるよう、自社の営農支援システムと連携する動きが始まっています。

この取り組みは、民間企業同士が企業間の壁を越えてデータの相互連携を図るという意味で、画期的な取り組みと言えるでしょう。

ヤンマーは「ザルビオ」との連携にいち早く取組み、各地で実証実験

ヤンマーアグリ株式会社 田植機 YR-DAシリーズ

株式会社PRTIMES(BASFジャパン株式会社 ニュースリリース 2023年5月15日)

ヤンマーホールディングスグループは、いち早く各地のJAと協力して、同社の可変施肥対応の側条施肥田植機やトラクター、ブロードキャスターと、ザルビオとの連携実証に取り組んできました。

2023年1月には、ザルビオのマップと連動するの「YR8DA」(ヤンマーアグリ株式会社)が「スマート施肥田植機」として、政府の「みどり投資促進税制」対象機種になっています。

クボタ「KSAS」で「ザルビオ」の可変施肥マップデータが使えるように!

「xarvio」のデータを「KSAS」に取り込む

「xarvio」のデータを「KSAS」に取り込む
画像提供:BASFジャパン株式会社

2023年5月15日、BASFジャパン株式会社と株式会社クボタは、両社がそれぞれ運営するサービスである栽培管理支援システム「ザルビオ」と、営農・サービス支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」の連携の実証実験を開始すると発表しました。

これは、人工衛星画像からザルビオが作成した「可変施肥マップ」のデータをKSAS経由で取り込んだクボタの田植機で施肥と同時に田植えを行い、システム機能や操作性を確認するというものです。

今まで、ザルビオのデータは、一度パソコンなどに取り込んでUSBを経由して農機に取り込んでいましたが、システム連携によりKSASで直接ザルビオのデータを利用できるようになります。

「ISEKIアグリサポート」でも「ザルビオ」のマップデータを取り込むことが可能に!

井関農機の最新田植機とトラクタとザルビオが連携

画像提供:井関農機株式会社

2023年6月9日、井関農機株式会社は、ザルビオと連携可能な「田植機PRJ8-FS」と中型トラクタ「BFシリーズ」を発表しました。

同社の営農支援システム「ISEKIアグリサポート」から、ザルビオのマップデータを簡単に取り込むことができ、田植機の場合はBluetoothで接続し、トラクタの場合は作業機にデータを転送することで、マップに連動した可変施肥が可能となります。

シームレスなデータ連携で施肥作業を効率化ザルビオの可変施肥を詳しく見る

ザルビオを使いこなして収量アップにつなげよう!

ザルビオ(xarvio) フィールド・マネージャー

ザルビオ(xarvio) フィールド・マネージャー
画像提供:BASFジャパン株式会社

ザルビオは、15年間の衛星写真データをAI解析した細かいほ場データ(地力マップ、生育マップなど)を利用できる便利なツールです。

ザルビオを駆使し、可変施肥で収量アップを実現したヤマザキライス

株式会社ヤマザキライスは、埼玉県で関東有数の約100ha・約340枚のほ場で大規模な水稲栽培を行っています。同社では以前から、ほ場ごとに最適な窒素量を把握し、実際の施肥量も詳細に管理してきました。

2022年にヤンマーのGPS可変施肥田植機を導入する際に、ザルビオも導入しました。約半数のほ場でザルビオの可変施肥マップと田植機の可変施肥機能を組み合わせた可変施肥を実施しました。

結果、施肥をより効率的に、より楽に管理できるようになり、実施したほ場では収量が15%アップしたとのことです。

▼可変施肥マップを納期に読み込ませる方法や、ヤマザキライス様のリアルな声を紹介した動画がありますで、是非ご覧ください。

BASF Agricultural Solutions YouTube公式チャンネル「xarvio®(ザルビオ®) フィールドマネージャー導入事例_可変施肥による収量アップ」

農機にザルビオ入ってる?

今回紹介したクボタ、井関農機、ヤンマーだけでなく、すでに主要なブロードキャスターやスプレイヤーとも連携可能になっています。

世界標準となりつつあるザルビオが、日本においてもデータ互換性問題を一気に解決し、救世主となる日は近いかもしれません。

田植機

メーカー型式
ヤンマー側条施肥田植機
YR8DA
YR6DA(DPO)

肥料散布機

メーカー型式
IHIアグリテックGPSナビキャスタ
AmazoneZA-Vシリーズ
ZA-TSシリーズ など
BogballeM35Wなど
KUHNAXISシリーズ など
ビコンジャパンワイドスプレッダー
ROM-EWシリーズ
ROEDWシリーズ
ROM-GEOSPEADシリーズ
ROEDW-GEOSPREADシリーズ
ROXXL-GEOSPREADシリーズ

農薬散布

メーカー型式
ビコンジャパンiXterシリーズ
iXtrackシリーズ

ザルビオは、スマート農機を持っていなくても使えます!

ザルビオは、可変施肥マップの提供だけではなく、AIが施肥推奨アラートや病害防除推奨アラートも知らせてくれます。これにより、適期を逃さず収量を確保するのに大いに役立ちます。

また、xarvioはスマート農機を使用しない可変施肥についてもノウハウ提供していますので、是非一度試してみてはいかがでしょうか。

データ連携だけじゃない!便利な機能が満載ザルビオで可変施肥を始める

▼ザルビオを活用して、通常のブロードキャスターで可変施肥を実施し、収量15%アップを実現された、宮崎県の児玉和也さんのお声を是非ご覧ください。

BASF Agricultural Solutions YouTube公式チャンネル「xarvio® (ザルビオ)フィールドマネージャー導入事例_地力マップ」

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