【肥料価格高騰】今、農家ができる対策を解説!肥料コストを13万円削減できる方法とは?
国際情勢の変化に伴い高騰を続けていたJAの肥料価格は、令和5年・秋肥で下落に転じました。しかし、肥料価格は高止まりしており、経営者の収益を圧迫しています。この記事では、肥料高騰の背景と今すぐ取り組める肥料コスト削減方法を紹介します。
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目次
肥料高騰が続く中で持続的な経営を図るためには、背景を理解した上で今後の変化を予測し、生産者としてできる対策を見つけていく必要があります。
まずは令和2肥料年度の秋肥以降における価格推移から見ていきましょう。
肥料高騰!JAの秋肥価格と今後の見通しは?
令和5・春肥は値下げするも、肥料価格は高止まり
JA全農の肥料価格は、一部を除き、令和3・秋肥から4期連続で値上がりしました。
出典:全国農業協同組合連合会(JA全農) 肥料価格に関するリリースよりminorasu編集部作成
特に、令和4・秋肥は大幅な値上がりで「流通価格は過去最高」と報道されました。
しかし、その後の令和4・春肥では、尿素・輸入以外は軒並み値上がりし、過去最高といわれた前期の価格をさらに上回りました。
令和5・春肥は値下げしているように見えますが、値上げ前と比べると、肥料価格は50%近く値上げした状態です。
肥料価格が下がらない理由は、原料を輸入に頼っているから!
日本の化学肥料は、製造コストの約6割を原材料が占め、その大半を輸入に頼っています。また、輸入国が偏在しているため、肥料原料の国際価格と円相場に大きく影響されます。
※2020年統計データ
出典:財務省貿易統計「普通貿易統計」よりminorasu編集部作成
そして、肥料原料の国際価格は、穀物需要や燃料価格に影響されます。実際、世界的な穀物やリン需要の高まり、中国による尿素の輸出規制、ロシアのウクライナ侵攻に伴う輸入規制などが肥料価格を高騰させています。
※肥料原料の1t当たり輸入金額は各月の輸入数量を輸入金額で除して算出
出典:財務省貿易統計「普通貿易統計」、農林水産省「農業物価指数ー令和2年基準ー【令和5年1月】(第1報)」よりminorasu編集部作成
輸出入の規制による高騰は一時的かもしれませんが、穀物やリンの需要は人口に応じて高まり続けるため、肥料価格が大きく下がる見込みは少ないと予想されます。
実は甚大!肥料高騰が経営に与える影響はどれくらい?
肥料高騰が農業経営に与える影響を見ていきましょう。
農業経営費・所得の構成比を見ると、肥料費の割合は「畑作」と「水田作」で高く、10%近くを占めています。
農林水産省「営農類型別経営統計|令和3年 農業経営体の経営収支(第1報)」よりminorasu編集部
例えば、2haのほ場で水田作をしている場合、肥料の値上げ前後で肥料コストは25万円近く増えています。
※2haの水田で主に化学肥料を使用している場合
出典:農林水産省「営農類型別経営統計|令和3年」、全国農業協同組合連合会(JA全農)「各肥料年度の肥料価格」よりminorasu編集部で試算
残念ながら、肥料価格が値上げ前に戻ることは期待しにくい状況です。しかし、次項の対策を実施すれば肥料コストの削減につながりますので、ぜひ検討してみてください。
今、農家ができる対策は? 肥料コスト削減の方法を紹介!
ここでは、収益への影響が大きい肥料コストの削減方法を3つご紹介します。
購入費の削減:銘柄や購入先の見直し
肥料銘柄を切り替えることで、購入代金が安くなる場合があります。
例えば、地域専用肥料から汎用肥料に切り替えたことで、600円/20kg程度のコスト削減事例があります。
また、農林水産省は「同じ成分量の肥料でも購入先により2倍~3倍の価格差がある」と報告しています。
出典:農林水産省「報道発表資料|農業資材の供給状況に関する調査結果の公表について」(2021年9月29日)よりminorasu編集部作成
肥料銘柄や購入先の見直しはすぐに取り組めます。ただし、化学肥料は減っておらず、依然として価格変動の影響を受けやすいため、他の対策も検討しましょう。
化学肥料の代替: 土づくり(土壌改良)
長期的な肥料節減を見込める方法には、緑肥や堆肥、石灰肥料などの資材を用いた「土づくり」があります。
例えば緑肥なら、土壌に有機物を補給することで、窒素固定による養分供給や保肥力の向上が期待できます。実際、ヘアリーベッチの導入により、収量は低下させずに、⽜ふん堆肥0.3t/10a相当の⼟づくり効果と窒素・リン・カリを50%削減できた事例もあります。
化学肥料を減らせれば、肥料高騰の影響を受けにくくなります。ただし、土づくりは効果が出るまでに時間がかかるため、長期的に取り組みましょう。
化学肥料の低減:可変施肥
すぐに実施できて、施肥量を削減できる方法には「可変施肥」があります。
可変施肥とは、ほ場の地力や生育ムラに応じて施肥量を最適化する技術のことで、収量アップはもちろん、過分な施肥を減らして肥料コストを削減できます。
例えば、水稲栽培に可変施肥を導入することで、肥料コスト13万円の削減と収益23万円の増加に値する成果を得た事例もあります。
※2haの水田で主に化学肥料を使用している場合
出典:農林水産省「営農類型別経営統計|令和3年」、全国農業協同組合連合会(JA全農)「各肥料年度の肥料価格」、ザルビオ「導入事例」よりminorasu編集部で試算
可変施肥なら、化学肥料を減らして肥料高騰の影響を受けにくい体制が築けます。しかも、すぐに取り組めるため、早めの導入がおすすめです。
そうは言っても、可変施肥は「高価が農機が必要」や「準備が大変」と思っている方も多いのではないでしょうか?
実は、可変施肥ツールを使えば、農機なしで手軽に始めることができます。
そこで次は、肥料高騰対策のポイントとなる、
- 肥料コストを削減できる
- 低コストで導入できる
- 手軽に始められる
といった条件をすべて満たす可変施肥ツール「ザルビオ フィールドマネージャー」(通称:ザルビオ)をご紹介します。
手軽な可変施肥でコスト削減できる「ザルビオ」とは?
ザルビオとは、大手化学メーカーBASFが開発した最先端の栽培管理支援システムで、可変施肥を手軽に始められるツールです。
ここではザルビオのおすすめポイントを3つご紹介します。
ポイント1:肥料コストを劇的に下げられる
ザルビオの地力・生育マップ機能では、ほ場内の地力や生育ムラを細かく正確に把握できるため、細やかな可変施肥により肥料コストを大幅に削減できます。
例えば、地力マップを見て、地力ムラに合わせて基肥を行えば、過分な施肥がなくなり、ほ場全体で施肥量を削減できます。
ザルビオ「地力マップ」。地力ムラを細かく正確に把握
また、生育マップを見て、生育が悪い場所にだけピンポイントで追肥すれば、施肥量をさらに削減できます。
ザルビオ「生育マップ」。生育の悪い場所(赤い場所)をピンポイントで把握
施肥量を減らせるため、肥料コストを削減しつつ、肥料高騰の影響を受けにくい体制が築けます。さらに、収量アップ効果もあり大幅な増収につながります。
ポイント2:低コストで導入できる
ザルビオにはスマホアプリがあるため、地力や生育マップを見て施肥量を手動でコントロールすれば、専用農機がなくても可変施肥ができます。
初期費用やランニングコストが高いと大きなリスクを背負うことになります。ザルビオならスマホやPCで手軽に可変施肥ができるため、導入リスクはゼロに近いと言えそうです。
ポイント3:手軽に始められる
ザルビオは、衛星データをもとにAIが自動でマップを作るため、自分でデータ収集する必要がありません。しかも、操作が簡単なので、スマホやPCの扱いに慣れていなくてもすぐに活用できます。
手軽に使えて肥料コストの削減効果が高いので、肥料高騰対策として可変施肥を導入する方におすすめのツールです。
かんたん!ザルビオを活用した可変施肥の始め方
それでも「実際は面倒でしょ?」と思われた方のために、ザルビオで可変施肥を始める手順を説明します。
まずは、ザルビオに会員登録します(30秒)。
ザルビオ「会員登録画面」
次に、ほ場情報を登録します。
ザルビオ「ほ場登録画面」
あとは3回クリックするだけで地力や生育マップを確認できます。
【1】ほ場を選ぶ
【2】「マップ変更」をクリック
【3】見たいマップを選ぶ
マップが表示されたら可変施肥を始めましょう。
ザルビオ「地力マップ」
地力マップなら、緑が濃い場所では施肥量を少なく、緑が薄い場所では多く調整することで可変施肥ができます。
肥料コスト25%削減・収量15%アップ!ザルビオ活用事例
ザルビオで肥料コスト削減を実現した水稲農家・児玉さんの事例をご紹介します。
宮崎県で水稲とサツマイモ(甘藷)を6ha(水稲4ha)のほ場で栽培する児玉さん
児玉さんは4haのほ場で水稲を栽培しています。昨今の肥料高騰の影響を受けており、コスト削減に取り組む必要があると考えました。
そこで、注目したツールが、可変施肥で肥料コストを削減できるザルビオです。
これまでは肥料や除草剤をほ場全体に撒いていましたが、施肥量や散布量の適正化に取り組みました。その結果、コスト削減や収量アップなど、驚きの効果を実感しているそうです。
ザルビオ「導入事例」
児玉さん「ブロードキャスターという機械で肥料を振っていくんですけど、地力が高いとこは肥料の量をグッと減らして、逆に地力が低いところにはたくさん振るようにして。最終的に、肥料コストは25%減りました。」
また、地力が高い場所は雑草が生えやすいことがわかったため、除草剤をピンポイントで散布できるようになり、除草剤コストも50%削減できたといいます。
さらに、作物の最大収量が見込める施肥量にコントロールしたことで、収量が15%もアップしたそうです。
可変施肥は「肥料価格高騰対策事業」の支援金を活用できる?
ザルビオの可変施肥は、肥料価格高騰対策事業の1つ「化学肥料低減定着対策事業」の取組に該当する可能性があります。
化学肥料低減定着対策事業とは、「化学肥料の2割低減に向けた取組みの定着」を進める地域の取組を支援するものです。農業者などは、地域計画書の取組を実施することで、かかり増しになった経費の1/2相当の金額を受け取れます。
<基本的な取組>
⚫︎土壌・生育診断の推進支援
⚫︎土壌分析体制の強化支援
⚫︎堆肥等の利用拡大支援
⚫︎耕畜連携の拡大支援
⚫︎国内資源活用肥料の利用拡大支援
⚫︎堆肥等国内資源利用体制の強化支援
⚫︎緑肥作物の作付拡大支援
⚫︎低成分肥料の利用拡大支援
⚫︎肥料の効率利用農機のモデル導入支援
化学肥料の低減が期待できるザルビオの可変施肥は、対象に含まれると考えられます。基本的な取組では、地力・生育マップの活用は「土壌・生育診断の推進支援」に該当する可能性があります。
※実際に対象となるかは、各地の地域協議会に確認してください
肥料高騰が続く中、コスト削減は農家にとって喫緊の課題です。肥料コストの削減方法はいくつかありますが、まずは高い効果を見込める可変施肥に取り組みましょう。
可変施肥の実施に当たっては、低コストで手軽なツール「ザルビオ」がおすすめです。ザルビオなら、肥料コスト削減だけでなく、農薬コスト削減や収量アップも期待できます。
ザルビオは会員登録(無料)してすぐにご利用できます。まずは一度、最先端の栽培管理支援システムをお試しください。
参考:
農林水産省「肥料関係情報|農業者の皆様へ」所収「肥料のコスト低減事例集」
農研機構「標準作業手順書|土づくりと減肥のための緑肥利用標準作業手順書」所収「土づくりと減肥のための緑肥利用標準作業手順書」
農研機構「混合堆肥複合肥料の製造とその利用~家畜ふん堆肥の肥料原料化の促進~」所収「混合堆肥複合肥料の製造とその利用」
農林水産省「肥料価格高騰対策事業」所収「資料1:肥料価格をめぐる現在の状況等」
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福馬ネキ
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