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グリーン森下 代表取締役 森下和紀氏|もっと大きく、もっとおいしい入善ジャンボスイカを追求する。

グリーン森下 代表取締役 森下和紀氏|もっと大きく、もっとおいしい入善ジャンボスイカを追求する。

国内最大級のスイカ「入善ジャンボスイカ」は、皇室献上品としての実績もある富山県入善町の特産品です。入善ジャンボスイカの栽培は明治時代に始まり、多くの人に愛されてきました。今回は入善町で4代にわたりジャンボスイカを栽培されているグリーン森下の代表取締役 森下和紀さんに、栽培にかける思いを伺いました。

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有限会社グリーン森下 代表取締役 森下和紀(もりした かずのり)さんプロフィール

有限会社グリーン森下 代表取締役 森下和紀(もりした かずのり)さん

有限会社グリーン森下 代表取締役 森下和紀(もりした かずのり)さん

祖父の代から代々続くジャンボスイカ栽培農家の3代目として就農。作付け転換や消費傾向が丸玉スイカに移行したことをきっかけに、農家数が減少していったジャンボスイカの栽培を現在も継続し、地元ブランド作物「入善ジャンボスイカ」として確立させる。

日本で唯一ジャンボスイカを生産している入善町の農家に生まれて

「農家の息子として生まれ、当然のように跡を継ぐものだと考えていた」と語る森下さんですが、就農後、営農やジャンボスイカに対する思いは、どのように変化していったのでしょうか。

100年以上の歴史を持つジャンボスイカ栽培を受け継ぐ

———ジャンボスイカ栽培農家の3代目である森下さんですが、就農されたきっかけを教えてください。

ジャンボスイカの栽培は、私の祖父の代から行われていました。この地域でジャンボスイカの栽培が始まったのは明治30年頃だといわれており、100年以上の歴史があります。

一般的なスイカ以上に負担がかかるジャンボスイカの栽培を手がけてきた祖父、そして父の背中を見ながら育ってきたため、自然と自分もジャンボスイカ農家になるものだと思い、跡を継ぎました。

———ジャンボスイカはとても長い歴史を持つ作物なのですね。

ジャンボスイカはラットルスネーク種という品種なのですが、現在この品種のスイカを栽培しているのは全国でも入善町のみです。

かつては入善町だけでなく黒部川周辺地域で広く栽培されていたため「黒部スイカ」と呼ばれていました。しかし、作付け転換や現在主流となっている丸玉スイカの台頭など、さまざまな要因が重なってジャンボスイカ農家が減り、今ではジャンボ西瓜生産組合に加入する10農家だけが、ジャンボスイカを生産しています。

減少するジャンボスイカ農家の現状

———ジャンボスイカの生産農家が減少している背景には、作付け転換や丸玉スイカの台頭以外にも理由があるのでしょうか?

ジャンボスイカは入善町では歴史のある作物なので「栽培を続けたい」という農家は多いのですが、農家の高齢化に伴い継続が困難になっているのが事実です。

ジャンボスイカの平均的なサイズは、長さ42cm、直径30cm、重さ18kgほどです。大きなものでは30kg前後の重量になるものもあります。60歳、70歳を超えてからも「1玉20kg近い作物を栽培して出荷する」という作業は、体への負担が大きすぎるのです。

収穫できる時期にはもう一回り大きくなるという入善ジャンボスイカ

収穫できる時期にはもう一回り大きくなるという入善ジャンボスイカ

法人化により入善町のジャンボスイカ栽培を守る

歴史ある地域の特産品であるジャンボスイカの栽培を守るため、森下さんは農家を法人化し、地域の農家との協力体制を築いたといいます。

引退される農家のほ場を引き受けてジャンボスイカ栽培を継続

———入善ジャンボスイカの生産量は減っていくばかりになってしまうのでしょうか?

確かに、ジャンボスイカの生産量や作付け面積は減少傾向にあります。しかし、幼い頃から親しんできた入善ジャンボスイカが、このまま廃れていってしまうのはあまりにも忍びない。

入善町の農業、そして入善ジャンボスイカをこれから先の未来にもつなげるために、グリーン森下では就農を希望する学生インターンの受け入れや、引退を予定している入善ジャンボスイカ農家のほ場を引き受けた栽培を実施しています。

———その結果ほ場が拡大し、法人化につながったということでしょうか?

ほ場の拡大と法人化は、もちろん関係がありますが、大きな理由はほかにあります。

法人化により従業員が安心して働ける環境に

グリーン森下が法人化したのは平成3年ですが、実はそれ以前からほ場の受け入れは行っていました。

ほ場が増えると、必然的に栽培にかかる負担も増えます。最初は家族のみで営農していましたが、ほ場が拡大していくにつれて家族だけでは手が回らなくなっていきました。そこで、忙しい時期は近所の方に、栽培や出荷作業を手伝っていただいていたのです。

もちろん、手伝っていただいた方にはしっかりと報酬をお支払いしますが、名目上はあくまで「手伝い」です。法人化するまではジャンボスイカ栽培の収支は、家計費と一緒に計算していたので、勘定が曖昧になってしまっている部分もありました。

しかし、力を貸してもらっているのに曖昧な勘定のお返ししかできないのは申し訳ない。ずっと働いてくれている方もいますが、法人化していない組織で働いていると、いくら働いても社会保障がないという不安もありますよね。

グリーン森下を法人化したのは、ただの「お手伝い」ではなく「従業員」として雇用することで、報酬だけでなく社会保障という面でも、従業員を安心させることができると考えたからです。

法人化により入善町のジャンボスイカ栽培を守る

———法人化したことで実際に栽培や出荷に関わる方の労働への対価を、さまざまな形で還元できるようになったのですね。

ほ場が拡大していくごとに増える作業量に見合った対価がないと、仕事を続けていけませんよね。この地域で築き上げてきた地域の皆さんとのつながりを、良好なまま維持していくためにも、法人化が必要でした。

———法人化のメリットは、従業員の労働条件の向上以外にもありましたか?

法人化したことで組織としての信用が上がり、インターネットを使った宣伝がしやすくなりました。それにより多くの方に有限会社グリーン森下のジャンボスイカを知っていただけました。もちろん、法人化によって大変になった部分もありますが、メリットのほうが大きかったですね。

大きさだけでなくおいしさにもこだわったスイカ作り

インパクトのある大きさが魅力の入善ジャンボスイカですが、もちろん大きさだけではなく、おいしさにもこだわりがありました。

入善ジャンボスイカ本来の味にこだわった栽培方法

———形や大きさが特徴の入善ジャンボスイカですが、ほかにも一般的なスイカとの違いはあるのでしょうか?

入善ジャンボスイカは、農林水産省が定める特定農林水産物に指定されています。形や大きさだけでなく、味わいにも特徴があるのが入善ジャンボスイカです。

入善ジャンボスイカを食べたことがない方の中には「サイズが大きいから大味であまり甘くないのではないか」と考えられる方もいます。

しかし、一般的に流通しているスイカと同等の糖度といわれています。一般のスイカに引けを取らないほど甘く、さらに大きく形の整ったジャンボスイカを栽培するために、さまざまな工夫を凝らしています。

大きさだけでなくおいしさにもこだわったスイカ作り

———具体的にどのような工夫をされているのですか?

まず挙げられるのは、味わいの面での工夫です。スイカ栽培では連作障害や病害リスクを低減するため、接木栽培を行うのが一般的です。接木栽培でもおいしいスイカを栽培することは可能ですが、ほかの作物の力を借りることで、少なからず味わいに変化が生じます。

接木を行わない栽培方法を自根栽培といいます。自根栽培を行うと病害リスクは高まるものの、サクサクとした歯ごたえのみずみずしい果肉が特徴的なスイカ本来のおいしさを感じられる入善ジャンボスイカを栽培することができます。

連作障害を防ぐため、1度入善ジャンボスイカを栽培したほ場は10年以上休ませる必要があります。自根栽培によって高まった病害リスクを下げるために、細やかなほ場管理が必要になりますが、その分スイカ本来のおいしさを最大限引き出すことができるのです。

より大きく、よりおいしい入善ジャンボスイカ栽培のために

———見た目だけではなく、味わいにもこだわった栽培をされているのですね!

味わいはもちろん、見た目にもこだわりますよ。なんといっても「入善ジャンボスイカ」ですからね。近頃は小玉スイカの需要も高まっていますが、名前にジャンボが入っているスイカですから、大きくてナンボです。

栄養が分散してサイズが小さくならないよう1株当たり1玉のみ栽培したり、表皮が片側だけ日焼けしてしまわないように稲わらで日除けしたり、きれいな形のまま生長させるために丁寧に玉直したりなど、さまざまな工夫をしています。

「より大きく、よりおいしいジャンボスイカをつくる」ジャンボスイカ農家として働き始めた頃から、この目標は変わりません。

歴史ある入善ジャンボスイカの魅力をより多くの方に伝えていく

森下さんとグリーン森下の取り組みによって、今も継続しているジャンボスイカ栽培ですが、今後のジャンボスイカ栽培を守るためには、より多くの人や地域との取り組みが重要になるといいます。

これから先の未来を担う世代に入善ジャンボスイカを知ってもらいたい

———強いこだわりをもって栽培されている入善ジャンボスイカですが、今後、生産規模の拡大は考えておられるのでしょうか?

今後は、グリーン森下だけの力で生産規模を拡大していくのは難しいかもしれません。しかし、これから先も入善ジャンボスイカ栽培が途絶えないように、就農を志す若い世代にもジャンボスイカ栽培に興味をもって欲しいと考えています。

ジャンボスイカは栽培にかかる労力が大きい作物なので、ほかの作物の農家よりもジャンボスイカ農家として就農するハードルは高いのでしょう。しかし、日本国内で栽培される作物の中でも、ジャンボスイカほど迫力があり、しかもおいしい作物はなかなかありません。

入善ジャンボスイカの魅力を若い世代に伝えることが、今の私たちにできることだと考えています。

地域で取り組む活動で入善ジャンボスイカの魅力を伝えていく

———若い世代に入善ジャンボスイカの魅力を伝えるために、どのような取り組みをされているのですか?

地元の農業高校からのインターンの受け入れや地元高校での講演をはじめ、JAが主体となって動いている入善ジャンボスイカ加工商品の開発、県外での販促活動への協力に尽力しています。

どれも私1人の力では成し遂げられないことばかりですが、4代目として栽培や販促に取り組んでいる息子や、農協の方々などと力を合わせて入善ジャンボスイカの魅力を伝えています。

———入善ジャンボスイカを守るために、多くの方が動いておられるのですね!

入善町や周辺の地域で育ってきた人間からすれば「スイカといえば入善ジャンボスイカ」というほどなじみ深いものです。

この地域以外にも入善ジャンボスイカの魅力を伝えていくことで、ジャンボスイカ栽培を守っていくだけでなく、これまで以上に多くの人に愛される作物になればうれしいですね。

見た目にも味わいにもこだわって栽培し続けてきたからこそ、長く愛されてきた入善ジャンボスイカ。後編では、より多くの方にジャンボスイカの魅力を知ってもらうための取り組みについてお話を伺います。

▼後編はこちら

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福馬ネキ

福馬ネキ

株式会社ジオコス所属。「人の心を動かす情報発信」という理念のもと、採用広告を中心にさまざまな媒体で情報発信を手がける株式会社ジオコスにてライターを務める。

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