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農業用倉庫の値段はどれくらい? 建設の申請は必要? 価格や用途を解説

農業用倉庫の値段はどれくらい? 建設の申請は必要? 価格や用途を解説
出典 : kazu / PIXTA(ピクスタ)

農業用倉庫は農機や農機具の格納はもちろん、農薬・資材や収穫した作物の一時保管など幅広い用途で活用可能です。倉庫に作業場を設けた構造の農業用倉庫もあり、農作業の効率化にも役立ちます。この記事では、農業用倉庫の価格や用途について解説します。

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農業用倉庫は予算や用途に応じて、各メーカーから多彩なラインナップが展開されています。自己所有の農地に農業用倉庫を建築する場合でも、広さや構造によっては農地法や建設基準法などに基づく手続きが必要です。まずは、農業用倉庫の用途や建設前後で必要な申請手続きについて簡単に説明します。

農業用倉庫とは? 利用用途や建設時の申請について

プレハブの農業用倉庫

kker / PIXTA(ピクスタ)

農業用倉庫の利用用途

農業用倉庫とは、トラクターなどの農機や農薬・肥料といった農業用資材を保管しておく目的を持つ建物です。

プレハブ構造で建築されるのが一般的で、外壁や屋根に金属製の素材が用いられています。

主にほ場の近くに設けられ、作業スペースや休憩場所としても活用できるなど、多目的に活用できるのも特徴的です。

農家の電気料金を節減する目的で、倉庫の屋根に太陽光パネルを設置するケースもみられます。工期は1ヶ月程度が主流ですが、早ければ10日程度で完成する場合もあります。

農業用倉庫は作業スペースとしても活用できる

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

農業用倉庫 建設時の申請

農地転用許可

農業用倉庫は、農地を農作物の栽培以外に使用することになるので、自己所有の農地に建設する場合でも原則的には農地の転用許可が必要です。(農地法 第四条 農地の転用の制限

しかし、広さが200平方m未満の場合は農業経営上必要な施設として、建築前に農業委員会へ届出を行えば農地の転用許可は必要ありません。(農地法施行規則第二十九条 農地の転用の制限の例外

※詳細については、必ず、所轄の農業委員会に相談・確認してください。

建築確認申請

農業用倉庫は「建築物」にあたるため、建築に取り掛かる前に、自治体または指定確認検査機関に「建築確認申請」を提出し、建築基準法などの基準に適合しているかの審査を受けなければなりません。(建築基準法 第六条 建築物の建築等に関する申請及び確認

ただし、都市計画区域外で100平方mを超えない場合などでは建築確認申請が不要なケースもあります。

※自治体の条例などによって必要な申請や届出が異なることもあります。必ず、自治体の担当部署に確認してください。

設置後の申請

農業用倉庫が完成したら、使用開始前に「転用確認証明申請書」を農業委員会に提出する必要があります。申請が受理されれば農業用倉庫として利用できるようになります。

また、ほ場と建物では固定資産税の課税方法が異なるため、法務局での土地地目変更登記も忘れずに行いましょう。

農業用倉庫の設置手続きの詳細はこちらの記事をご覧ください。

農業用倉庫のタイプ

農業用倉庫は軒高や奥行き・開口部の種類を選べるだけでなく、2階部分を設置できる倉庫もあります。

収納する農機の寸法や収納する資材などの量を考えながら、十分な収納力を確保できる農業用倉庫の建設を検討しましょう。雪の降る地域で農業用倉庫を建設する場合は、雪下ろし作業の手間を省くため傾斜のある屋根の倉庫を選ぶのも得策です。今回は、軒高別に農業用倉庫のタイプを紹介します。

降雪地帯のD型(かまぼこ型)の農業用倉庫

Ryo / PIXTA(ピクスタ)

軒高3.5m


軒高3.5メートルの農業用倉庫では約2.9mの有効高を確保できるため、大型のトラクターや3条刈コンバインといった農機はもちろん、軽トラックや商用バンも格納可能です。農家の規模にかかわらず活用できるサイズだといえます。

奥行きの目安は3.5~7m前後、建設場所や使用目的に応じて奥行きを選べます。倉庫の奥に資材などを収納することを考えると、5.5m以上の奥行きを確保しておくとよいでしょう。

倉庫の幅は狭いものだと2.7~2.8m、最大で18m近くまで確保可能です。倉庫の幅を広くする場合は、強度確保の関係で中柱が設置されます。そのため、有効間口は5.2m前後が限界ですが、車両などによる資材の搬入・搬出を含め農作業には支障がない幅だといえます。

倉庫の扉はシャッターが基本で、手動・電動どちらも選択可能です。シャッターの代わりに壁やドアを設けて、倉庫内の間仕切りと併用して独立した区画を設けることもできます。

また、倉庫前に屋根を取り付ければ農作業のスペースをより広く確保でき、雨や雪の影響も軽減できます。

3条刈りコンバイン

3条刈りコンバイン
hamahiro / PIXTA(ピクスタ)

軒高4.0m

軒高4.0mの農業用倉庫では有効高が3.5m近くとなり、6条刈コンバインなど高さのある農機も格納できます。25石乾燥機も設置可能となり、水稲や穀類を栽培する農家にとっては一つの選択肢となるでしょう。

2トントラックやマイクロバスも格納できるため、観光農園などの6次産業化に取り組む農家にも適しています。

奥行きは5.7メートルから9m前後と広くなり、大きな収納力を確保できるメリットが生まれます。

降雪地帯で奥行きを広くとりたい場合は、屋根に積もった雪の重みで倉庫がゆがむ恐れがあるため、耐雪・豪雪タイプの倉庫を選ぶことをおすすめします。

耐雪・豪雪タイプの倉庫では柱が増設されますが、倉庫内の作業で大きな支障が生じることは少ないでしょう。

中2階やつり棚を設置すると一段と収納力が高まり、1階部分を小型の農機具を格納スペースや農作業の場所などに有効活用できます。

倉庫の一角を作物の貯蔵庫や加工場として活用する農家もみられます。将来的に経営規模の拡大を考えている場合は、有利な大きさの倉庫といえます。

高さのあるキャビン型の5条刈りコンバイン

高さのあるキャビン型の5条刈りコンバイン
Happiness* / PIXTA(ピクスタ)

軒高4.5m

軒高4.5mの農業用倉庫になると、自動車整備工場や一般的な工場と遜色ない有効高です。

穀類の乾燥機も30石以上のタイプを導入できるため、大規模栽培に取り組む農家にも適しています。中2階を設置した場合でも、両方のフロアで無理なく立ち作業が可能です。

フォークリフトを使って天井近くまで資材などを積み上げられるので、倉庫内スペースを無駄なく活用できます。4トントラックも入庫できるため、出荷作業や資材の受け入れ作業も効率的です。

奥行きも軒高4mクラスと同様、5.7mから9m前後まで確保できます。

豪雪地帯での利用に耐えられる、耐久性の高い農業用倉庫は、軒高4.5m以上のラインナップが多くなっています。屋根の雪が自然に落下する構造で、倉庫自体も鉄骨や鋼管で補強されています。

ただし、シャッター開口部の高さは最大2.3mと狭く、入庫できる車両は軽トラックや小型の農機に限られる点には留意が必要です。

一方、倉庫によっては13m近い奥行きを確保できるものもあり、育苗施設として活用する事例もみられます。

穀物乾燥機を設置している農業用倉庫

穀物乾燥機を設置している農業用倉庫
Mai / PIXTA(ピクスタ)

軒高5.0m


軒高5.0mの倉庫は、ここまで紹介した各タイプの倉庫の特性を網羅しており、大型の農機や車両の格納はもちろん大型の乾燥機も導入できるなど、大規模農家向けの構造です。

外壁で倉庫の強度を確保する関係で奥行が8m以上と広めで、倉庫内部に支柱がなく、スペースを有効活用でき、ます。軽トラックや小型機械を縦に並べて格納してもよいでしょう。

ただし、傾斜地に設置する場合には基礎上げ工事が必要になるなど、設置費用が高額になる場合もあることを考慮しておく必要があります。

1階部分の天井高を確保しやすい一面もあり、倉庫の一角を事務所や販売所・体験型農園の休憩場所として活用する事例もみられます。収納スペースを収益を生む経営のためのスペースとして活用できるのもメリットです。

農業用倉庫の一角を休憩所として利用

農業用倉庫の一角を休憩所として利用
TakayamaYuki / PIXTA(ピクスタ)

農業用倉庫の値段

農業用倉庫の値段は、軒高や間口・奥行きによって変化します。軒高3.5mの倉庫だと、本体価格は300万円~470万円前後が相場です。軒高5.0mの倉庫の場合は450万円~700万円前後が相場となります。

倉庫の本体価格の他にも、以下のような費用が必要です。工事の発注先によって費用が異なりますが、50万円~100万円前後を予算しておくとよいでしょう。

・倉庫の運賃や組立工事の費用
・基礎(土台)の工事費用
・電気・水道の工事費用
・内装工事の費用 など

また、本体価格と工事価格をセットで提案する業者もみられます。メーカーで倉庫の本体定価を明示していても価格交渉ができる可能性があるため、複数の業者から見積を取って価格や工事内容を比較するようにしましょう。

法務局での土地地目変更登記は自分で行うことも可能ですが、専門的な知識が必要な場合があるため土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。報酬額の相場は5万円~10万円前後といわれています。

農具や農業資材を使いやすく整理できる農業倉庫内の棚

TakayamaYuki / PIXTA(ピクスタ)

なお、農業用倉庫の建築には、農林水産省の「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。詳しくは、都道府県の農業経営相談所や農協などの営農支援団体にご相談ください。

農業用倉庫の建築に際して利用できる補助金についてはこちらの記事をご覧ください。

農業用倉庫は農機や農業資材の保管だけでなく、農作業スペースとしても活用可能です。

倉庫の本体価格は、軒高や間口などによって変わり、工事費用や電気・水道などの付属設備の費用も別途かかります。建設費用は発注先によって異なるため、複数の業者から見積を取って価格や工事内容に納得した上で契約するのがポイントです。

また、倉庫の面積によって農業委員会への届出や農地の転用許可申請が必要となるので、工事前に必ず済ませておきましょう。

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舟根大

舟根大

医療・福祉業界を中心に「人を大切にする人事・労務サポート」を幅広く提供する社会保険労務士。起業・経営・6次産業化をはじめ、執筆分野は多岐にわたる。座右の銘は「道なき道を切り拓く」。

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