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【キャベツの害虫】被害症状から種類を特定! 有効な農薬と防除対策を一覧解説

【キャベツの害虫】被害症状から種類を特定! 有効な農薬と防除対策を一覧解説
出典 : HP埼玉の農作物病害虫写真集

キャベツの大規模栽培で注意すべき代表的な害虫の種類をまとめ、被害の特徴や作物への影響、防除方法、有効な農薬などについてそれぞれ詳しく解説しています。最小限の労力やコストで効果的な防除をするための参考にしてしてください。

キャベツには害虫が寄生しやすいため、栽培初期から収穫期まで防除対策が欠かせません。効率的に防除するには、害虫の種類を特定し、予防と早期対処を行う必要があります。そのため、害虫に関する正確な知識を押さえ、栽培地域周辺で発生しやすい被害情報の収集を心がけましょう。

キャベツの品質と収量を保つには、害虫の適期防除が最重要!

外葉が展開し始めたキャベツ

瑞鳳 / PIXTA(ピクスタ)

作物の病害虫防除の基本は「予防」と「早期防除」といえるでしょう。万が一、害虫が発生しても被害を最小限に抑えるためには、日頃の備えが重要です。そこで、害虫の食害に弱いキャベツ栽培において、日頃から注意しておくべきポイントについて確認します。

アブラナ科のキャベツは、害虫被害に特に注意したい作物の1つ

キャベツは、チョウ目害虫であるアオムシ・ヨトウガ・コナガやアブラムシ類など、アブラナ科の作物を好む多くの害虫から、被害を受けやすい作物です。

特に生育初期に被害を受けると悪化しやすく、結球しなくなるなど生育不良につながります。収量や品質の低下にもなり得るため、上記の害虫防除は収量・品質確保のためにも欠かせません。

キャベツに寄生する害虫は多様で、昼行性も夜行性も存在します。侵入方法も上空を飛んで来たり地を這って来たり土壌中に潜んでいたりとさまざまで、いつの間にか侵入を許してしまうことも少なくないでしょう。

とはいえ、過剰な防除もコストや労力がかさんでしまっては、結果的に収益低下につながるため、ポイントを押さえた適切な防除対策が必須です。

キャベツ栽培における基本の害虫対策

四季写彩 / PIXTA(ピクスタ)

キャベツの育苗 セルトレイと育苗箱

害虫防除は、キャベツの生育ステージに応じた対策を取ることが基本です。育苗中にも防除の意識を常に持ちましょう。栽培初期に害虫が発生してしまうと、収穫までに被害が大きくなるので注意しておく必要があるのです。

ハウス内で育苗する場合は、窓や出入り口に防虫ネットを張れば、飛来する害虫を防ぐことができます。また、人の手や靴、道具などを介して卵が持ち込まれることもあるので、育苗箱や使用する用具は清掃や消毒を徹底しましょう。

そのほか、「適切な灌水を心がけ過湿・過乾燥を防ぐ」「過密にならないよう株をずらして十分な採光や通気を確保する」など、害虫が好む環境を作らない工夫も大切です。

苗に害虫が寄生した場合は、速やかに被害株を取り除いて必ずほ場の外で処分し、残った苗に対しては農薬による防除を行いましょう。「育苗後期や定植時に株元に施用可能な、残効期間の長い農薬」を選んで使えば、定植後2週間~1ヵ月ほどは害虫を防ぐ効果が期待できます。

キャベツの定植

川村恵司 / PIXTA(ピクスタ)

定植後は、周囲の害虫発生状況に気を配りながら日常的にチェックを行いましょう。次の項で害虫の種類ごとに具体的な症状と対策を紹介します。作物の葉や茎に異常を感じたら、下記を参考にして、原因となる害虫をなるべく速やかに特定し、適切に防除してください。

なお、この記事で紹介する農薬はすべて2021年11月現在でキャベツに登録のあるものです。実際の使用に当たってはラベルをよく読み、使用方法を守ってお使いください。また、地域で農薬の取り扱いについて基準や決まりがあるかを必ずJAなどに確認し、それに従ってください。

アブラムシ類:葉裏に集団で寄生。すす病で作物表面が黒く覆われることも

キャベツに発生する最も代表的な害虫の1つがアブラムシ類です。まずはこれについて詳しく解説します。

生態および被害の特徴

モモアカアブラムシが集団で寄生しているキャベツ葉裏

モモアカアブラムシが集団で寄生しているキャベツ葉裏
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

キャベツに発生する主なアブラムシ類としては、透き通るような緑色または赤褐色の「モモアカアブラムシ」、白っぽく粉をふいたような「ダイコンアブラムシ」、暗緑色で少し粉っぽい「ニセダイコンアブラムシ」の3種が挙げられます。

ダイコンアブラムシ 体はロウ質の白色粉で覆われている

ダイコンアブラムシ 体はロウ質の白色粉で覆われている
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ニセダイコンアブラムシ(体長2mm)

ニセダイコンアブラムシ(体長2mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

モモアカアブラムシとニセダイコンアブラムシは4~6月と9~11月に、ダイコンアブラムシは4~6月に多く発生します。

体長は成虫でも2~3mmと小さいため数匹では気づきにくく、大量に発生し群がることで気づくことがあります。

単性生殖なのでメスだけで繁殖可能で、その繁殖力は非常に強いとされています。条件がよければ毎日数匹~数十匹の幼虫が生まれ、10日ほどで成虫となるため、一気に大発生することすらあるのです。

ただし、暑さには弱く、真夏は発生が減ります。平均気温が7℃以下の晩秋になるとオスが現れ有性生殖を行って環境への適応力を上げ、卵のまま越冬します。

どの種でも、葉裏などに群がって葉の汁を吸います。吸汁による被害はそれほど大きくありませんが、大量に発生した場合は、吸汁された葉が黄色く変色し枯れることもあります。

注意点として、アブラムシの排泄物の上に「すす病」が発生したり、「モザイク病」というウイルス病を媒介したりする間接被害もあることを覚えておいてください。

防除対策と有効な農薬

アブラムシ類は、ほ場周辺の雑草から飛来することが多いので、周辺の除草をしっかり行って発生源を作らないことが防除の基本です。育苗中は苗床に目合いが1mm以下の細かい防虫ネットを張ることで侵入を防げます。

また、アブラムシ類は下から光が当たると上下感覚が狂い、葉などに寄生しにくくなる習性があります。そのため、光を反射させるシルバーマルチも有効です。

農薬は広範囲を効率的に防除できるので非常に便利です。薬剤抵抗性をもたないように、異なる種類を組み合わせたローテーション散布をしましょう。

定植時には「オルトラン粒剤」や「ベリマークSC」などを株元に施用し、定植後の生育期には「コルト顆粒水和剤」「ウララDF」などを散布するのがおすすめです。

アザミウマ類(スリップス):葉に「かすり」や「てかり」などの食害跡が残る

アブラムシ類と同様にキャベツに発生しやすく、また小さくて見つけにくいのがアザミウマ類です。ここからはこれについて解説します。

生態および被害の特徴

ネギアザミウマ成虫と食害痕

写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

アザミウマ類も種類が多く、あらゆる作物に寄生します。中でも、ネギや玉ねぎ、ニラなどのネギ属に寄生するネギアザミウマは、キャベツも食害します。

4~11月頃まで見られ、5~6月頃に多発します。体調1~3mmと小さく、褐色や淡黄色で目立たないうえに地面の近くや葉の裏にいるため発見が難しい害虫です。

幼虫、成虫とも葉を吸汁し、「かすり」や「てかり」といった食害痕が残って商品価値を下げます。結球内部に入り込み、ゴマ状斑などの痕を残す被害も見られます。

多発すると葉全体が白化し枯れてしまうこともあり、小さいからと侮ることはできません。

普段は葉の陰に隠れていて見つけにくいうえ、農薬や天敵も効果を上げにくく、繁殖力が強くて大量発生することがあるので要注意です。

防除対策と有効な農薬

基本的にはアブラムシ類と同様の防除が有効です。ほ場近隣に生えている雑草からの飛来を防ぐため、周辺の雑草防除を丁寧に行いましょう。

先述のようにキャベツに寄生するのはネギアザミウマです。そのため、玉ねぎやネギのほ場近くでキャベツを栽培している場合に大量発生することがありますので、くれぐれも注意しましょう。

目の細かい防除ネットやマルチを活用して飛来を防ぐのも効果的です。成虫は黄色や青色に誘引される習性を持ちます。そのため、市販の粘着テープなどを使ってほ場の周囲にこれらの色を貼ることで、発生予測もできます。

また、一度発生したほ場では5~10月の比較的高温のうちに太陽熱消毒することも有効とされています。

有効な農薬としては「プリンスフロアブル」「スピノエース顆粒水和剤」「カスケード乳剤」「ディアナSC」などがあります。

大量発生してからは効果が低くなるため、発生したらすぐにこれらの農薬で防除しましょう。

防虫ネット ネットトンネル剤倍

Ystudio / PIXTA(ピクスタ)

アオムシ:食害により、葉脈を残して葉に大きな穴が開く

モンシロチョウやスジグロシロチョウ、オオモンシロチョウなどの幼虫であるアオムシは、キャベツの宿敵といってもいいほど名の知れた害虫です。主にアブラナ科の作物を食害するアオムシの生態と防除方法について詳しく解説します。

生態および被害の特徴

アオムシ中齢幼虫(体長8mm)

HP埼玉の農作物病害虫写真集

老齢幼虫でも体長わずか3cmほどの小さな幼虫ですが、食害して葉に大きな穴をあけ、多発すると葉脈を残して食い尽くし、大きな被害をもたらします。

主にさなぎで越冬し、春から秋にかけて西日本や東日本など温暖な地域では5~8回、冷涼な北日本などの地域では2~4回発生します。基本的に被害は春と秋に集中し、アオムシを捕食する天敵が多い夏の間はそれほど目立つ被害はありません。

卵は葉の裏に点々と産み付けられ、約4日で孵化します。幼虫は葉を摂食しながら約20日間で成長し、10日間ほどさなぎを経て成虫になります。メスの成虫は300~400個もの卵を産むことも覚えておきましょう。

アブラムシ類やアザミウマ類と違い成虫の飛来や卵が目に見えるので、こまめなチェックを行って早期発見に努めましょう。

防除対策と有効な農薬

いずれのチョウも上空から飛来するため、ほ場がそれほど広くない場合や施設栽培では、防虫ネットで成虫の侵入を防ぐことが有効です。

農薬も比較的効果が高いとされています。大規模栽培のほ場では、成虫が飛来し卵が目立ち始めたら農薬を散布しましょう。幼虫が幼齢の内に対処しておくことで、被害を抑えられるのです。

アオムシに有効な農薬には、「石原アタブロン乳剤」「アファーム乳剤」「カスケード乳剤」「プレバソンフロアブル5」などがあります。

コナガ:アオムシの食害よりも小さな穴が複数生じる

コナガは、小さいながらもアブラナ科の作物などに頻繁に発生して被害をもたらします。主要な防除対象でもあるので、生態や防除方法を解説します。

生態および被害の特徴

コナガの成虫は茶色っぽく、背面にダイヤ型の模様を持つ、体長6mmほどの小さな蛾です。繁殖のサイクルが短く、春から秋にかけて西日本・東日本では7~10回発生し、北日本でも6~9月にかけて3~5回発生します。アオムシと同じく、天敵の多い夏場はあまり姿を見ません。

コナガ幼虫による被害葉

コナガ幼虫による被害葉
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

幼虫も老齢で約10mmとアオムシよりかなり小さく、食害としても、葉表の表皮を薄く残して葉裏から摂食します。そのため、アオムシからの被害のようにキャベツ全体を食い尽くされるわけではなく、点々とした穴が透けて見える状態になるのが特徴です。もちろんそれでも、多発すれば収量に影響を及ぼします。

また注意点として、幼苗期のキャベツの芯葉に潜り込まれると、葉の生長が止まってしまうので、大きな被害につながってしまいます。

防除対策と有効な農薬

コナガの防除には、アオムシと同様に防除ネットなどで成虫の侵入を防ぐほか、有効な農薬で防除します。

「プレオフロアブル」「コテツフロアブル」「カスケード乳剤」などが有効です。

大規模栽培の場合は、無人航空機による散布にも対応している「トルネードエースDF」を使って効率的に行うのもよいでしょう。

なお、コナガは葉の裏にいるので、散布の際は葉裏までしっかり散布するようにしましょう。ローテーション上可能ならば「浸透移行性」や「浸達性」のある農薬を選ぶようにします。

ハイマダラノメイガ:芯葉に近い部分へ潜り込み、食害をもたらす

ハイマダラノメイガは1995年頃から主に西日本で発生するようになりました。深刻な被害をもたらす厄介な害虫ですが、生態や防除方法などはかなり判明してきているので、詳しく説明します。

ハイマダラノメイガは春から秋にかけてキャベツなどアブラナ科の野菜に寄生し、8~10月頃に多発します。

生態および被害の特徴

ハイマダラノメイガ雌成虫(体長9mm)

写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

成虫は約9mmと小さく、夜間に飛来して葉に数個~数十個の卵を産み付けます。卵は3~5日で孵化し、老齢幼虫は体長15mmほどに成長します。

年間で6回ほど発生し、さなぎか老齢幼虫の状態で越冬します。幼虫は新芽や若い葉を好み、幼苗の芯葉に入り込んで作物の生長点を食害したり、幼苗の葉と葉をつづり合わせて内側を食べたりします。

ハイマダラノメイガ幼虫による新葉被害

ハイマダラノメイガ幼虫による新葉被害
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

そのため、ハイマダラノメイガの食害を受けた株は生育が止まったり、枝分かれして小さな結球が複数できたりしてしまい、結果、商品価値がなくなることも珍しくありません。

キャベツ ハイマダラノメイガ被害株 枝分かれして小さな結球が複数できている

キャベツ ハイマダラノメイガ被害株 枝分かれして小さな結球が複数できている
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

防除対策と有効な農薬

育苗期に被害を受けないよう、施設育苗の場合は開口部に防虫ネットを設置し、成虫の産卵を防ぎます。「高温が続き雨の少ない年」に多発する傾向があるので、十分に気をつけましょう。

有効な農薬は、「ダントツ粒剤」「フェニックス顆粒水和剤」「カスケード乳剤」「アクセルフロアブル」などです。

幼虫は影に隠れていることがあり、特に葉をつづり合わせた中にいる場合は農薬が効きにくくなっています。ローテーション上可能ならば「浸透移行性」や「浸達性」のある農薬を選び、葉の内部に届くよう丁寧に散布しましょう。

ヨトウガ(ヨトウムシ):葉裏からの薄皮を残すような食害が特徴

ヨトウガを含むヨトウムシ類は、漢字では「夜盗虫」と書くように「昼間は作物の株元に潜んで見えず、夜になると盗人のように葉を食べる」という生態を持ちます。

ここでは一例として「ヨトウガ」を取り上げていますが、種によって適用される農薬が異なるので、よく観察して種類を特定する必要があります。

ヨトウムシの仲間で農業において注意すべきは「ヨトウガ」「シロイチモジヨトウ」「ハスモンヨトウ」の3種です。

生態および被害の特徴

ヨトウムシ(ヨトウガ)孵化直後幼虫(体長2mm)

ヨトウムシ(ヨトウガ)孵化直後幼虫(体長2mm)
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ヨトウガの成虫は、飛来すると、葉裏に数十~数百個以上の卵が集合した卵塊を産み付けます。一斉に孵化した幼虫は集団で作物を食害しながら成長し、成長するにつれて食べる量も増えていきます。

中齢以降は分散して株の根元などに隠れ、夜に摂食するようになるため、見つけづらくなるでしょう。

成虫は春と秋の年2回、幼虫は6~10月の間に発生します。

ヨトウムシ類の中でもヨトウガは、「卵がまんじゅう型で、毛で覆われていない」「シャクトリムシのように歩く」「腹脚は4対ある」といった点でほかのヨトウムシ類と区別します。

ヨトウムシ類は幅広い植物を節食しますが、特にアブラナ科のキャベツなどを好みます。夜になると動き出し、数日のうちに葉脈以外を食べ尽くされることもあるほど、大きな食害をもたらす害虫です。

防除対策と有効な農薬

ヨトウガの飛来を防止するには、2~4mm以下の防虫ネットが有効です。施設栽培の場合は側面などの開口部をネットで覆います。露地の場合は、作物を隙間のないように覆いましょう。

夜間に飛来する成虫を避けるため、黄色蛍光灯を設置すると忌避効果が得られます。また、市販されているヨトウムシ用の合成性フェロモンを使い、オスの行動を撹乱して交尾ができないようにすることで、産卵を防げます。

なお、老齢幼虫になると日中は作物の地際に潜むため、農薬が効きづらくなります。できるだけ早期の散布を行い、若齢幼虫のうちに対処しておきましょう。

有効な農薬は、「ディアナSC」「フェニックス顆粒水和剤」「カスケード乳剤」「ノーモルト乳剤」などです。

ャベツ 農薬散布

bwinds / PIXTA(ピクスタ)

キャベツは寄生する害虫が多い作物で、栽培期間を通してさまざまな害虫に悩まされることも珍しくありません。

「ほ場近くの雑草を放置しない」「使用した農機具はこまめに洗浄する」などの基本的な防除対策は常に求められます。

また、本記事で紹介したような、防虫ネットや雑草防除でまずは害虫を発生させないこと、発生した場合はできるだけ早期に農薬で防除することを心がけましょう。被害を最小限に抑える努力を怠らないことが、何より重要です。

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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