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品質のよいトマトづくりはここから! 播種(種まき)に最適な時期や発芽のポイント

品質のよいトマトづくりはここから! 播種(種まき)に最適な時期や発芽のポイント
出典 : kelly marken/PIXTA(ピクスタ)・四季写彩/PIXTA(ピクスタ)・ Olena Lesen / shutterstock・ hamayakko/ PIXTA(ピクスタ)

トマトを自家育苗する場合、播種(種まき)の適期を見極め、良苗を育てることが重要です。促成栽培・抑制栽培など作型別の栽培暦と、播種~育苗の作業の流れやポイントについて解説します。

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トマトの播種(種まき)はいつが最適?

育苗箱で発芽したトマト

pticelov - stock.adobe.com

トマト栽培において、育苗はトマトの出来を決める重要なスタート作業といえるでしょう。

まず、省⼒化や活着率などを考え、農業協同組合の育苗センターや専⾨業者から購⼊するか、自家育苗するかについて、慎重に検討します。

品種の選択や栽培地域の苗の供給状況などを踏まえ、自分の農業スタイルに合わせて判断しましょう。

トマトの作型と栽培暦

トマトの作型と栽培暦

出典:株式会社サカタのタネ「詳しく知りたい、取り入れたい 自然の力・有機の力 〜実践編〜【第2回】トマト」、タキイ種苗株式会社「農業列島 産地ルポ JAうつのみや~CFハウス桃太郎とCF桃太郎はるかの利点」、株式会社武蔵野種苗園 商品紹介「有彩014(ありさ014)」よりminorasu編集部作成

トマトの播種適期は、作型によって大きく違います。主な作型の一般的な栽培暦は以下の通りですが、品種や栽培地域の気候によっても異なりますので、自治体の農政部署や地域のJAなどで確認してください。

促成栽培の場合

「促成栽培」は、加温や保温によって作物の生育を早め、自然環境よりも早い時期に作物を収穫するための栽培方法です。

トマトの促成栽培を行う場合、播種時期は8月~9月上旬が目安です。収穫は11月~6月頃まで行うことができます。

促成栽培を行うための設備として、ボイラーや送風機、制御装置など、加温と保温を行うための機器が必要となります。

冬のトマトは販売価格が高めになるのがメリットですが、ハウス加温のための燃料代など、コストがかさむのがデメリットといえます。

抑制栽培の場合

「抑制栽培」は、生育を抑制することで、通常よりも遅い時期に作物を収穫する方法です。

生育後半にハウスで保温する方法のほか、寒冷地で夏に行う「冷涼抑制栽培」、温暖地で秋冬に行う「暖地抑制栽培」があります。

一般的な抑制栽培の場合、播種の時期は6月が目安です。定植は7月中旬~9月中旬、収穫は8月~11月頃になります。

抑制栽培を行うための設備として、自動窓や遮光シート、ミスト噴霧器、扇風機に加えてそれらの制御装置など、高温の抑制と湿度調整のための機器が必要になります。

加温のためのボイラーが不要なため、促成栽培に比べてコストが低く済むのがメリットです。

一方で、高温対策のために設備やコストがかかることがあり、収穫時期も短めなのがデメリットといえます。

トマトの播種(種まき)の具体的な作業の流れ

トマトは、日当たりのよい環境を好み、過湿に弱い作物なので、天候に応じた丁寧な栽培管理や水はけをよくするなどの工夫が必要です。

ここからは、自家育苗する場合の播種作業の流れを、ポイントや注意点と合わせて解説していきます。

トマトの種子と培土

fotoduets/PIXTA(ピクスタ)

培土の準備

育苗の最初の作業が培土の準備です。

浸水の恐れのない場所で十分に補強した育苗ハウスを準備し、周囲に排水溝を設けます。側面には防虫ネットを使用し、害虫の侵入を防ぐとともに、換気が十分にできる構造にします。

播種量は、10a当たり60mlが目安です。育苗箱の底に新聞紙を敷き、床土を入れます。この時のEC値の目安は0.5前後、PHは6.0前後とします。

出典:こうち農業ネット「トマト栽培方法 -育苗管理-」

播種

培土の準備ができたら、次は播種です。播種溝を切り、種子を等間隔に置いていきます。種子がかくれる程度に土をかぶせ、しっかりと灌水し、新聞紙をかぶせて再び灌水します。
※大規模産地で播種機を用いる場合は、取扱説明書に従ってください。

発芽までの温度管理

発芽適温は25~30℃です。

約3~4日で発芽してくるので、発芽と同時に新聞紙を取り除き通風をよくし、密生している部分は早めに間引きします。

電熱育苗施設や専用の発芽室に搬入し、発芽を促す場合もあります。

※トマトの発芽温度についてはこちらの記事をご覧ください。

鉢上げ後の温度管理

播種後10~12日頃、本葉が1枚出てきた状態になったら、ポリ鉢に鉢上げします。

鉢上げ後、数日間は直射日光を遮り、昼間は24~25℃、夜間13~14℃、夜間地温は20~23℃を目標に管理します。

灌水は、晴れた日の午前中に行い、本葉が4~5枚になる頃までは強い日射しによる乾きすぎに注意します。それ以降は徐々に灌水量を少なくし、徒長を防ぎます。

育苗の後半には肥料が切れやすくなるため、葉色が黄色くなるなど、肥料不足のおそれのある場合には、500~800倍の液肥を適宜使用します。

出典:
農林水産省 秋田県野菜栽培技術指針 品目別栽培方法「トマト(その1)」
こうち農業ネット「トマト栽培方法 -育苗管理-」

接ぎ木

トマトの接ぎ木

satyrenko - stock.adobe.com

トマトの苗は、連作障害や病害対策のために、接ぎ木苗を使用するのが主流です。病害に強い品種を台木とし、育苗した苗を穂木として接ぎあわせます。

苗の葉の間の節の長さが10mm、草丈4~5cm、葉数2.5枚、茎径1.8mm程度に生長したら、接ぎ木に適した状態です。

接ぎ⽊の前⽇に充分に灌水をし、本葉1枚⽬と2枚⽬の間で切除して、穂⽊を台⽊品種と接ぎます。

接ぎ⽊後2~3⽇間は、しおれ防⽌のために寒冷紗などで覆って直射日光が当たるのを防ぎ、
接ぎ⽊後5~6⽇は極⼒動かさないようにします。

1週間程度は接ぎ⽊部に⽔がかからないように気をつけて灌水するのもポイントです。

その後、播種から50〜55⽇程度を目安に、第1花房の第1花が開花し始めた苗を定植します。

出典:
農林水産省「野菜栽培技術指針(基礎編)」
農林水産省「施設トマト栽培のポイント」

定植後、誘引が始まったトマト栽培ハウス

sakamo / PIXTA(ピクスタ)

トマトは、第3段花房までは育苗時の影響を受けやすい性質があります。そのため、最適な播種時期を見極め、良質の花を開花させられるような育苗管理を行うことが重要です。

品質のよいトマトの栽培と収量確保のために、ポイントを押さえて丁寧に育苗しましょう。

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酒井恭子

酒井恭子

テレビ番組制作会社、タウン情報誌出版社での取材・編集・ライティング業務などを経て、2018年からライターとして活動。農業、グルメ、教育、ビジネス、子育て情報など、幅広いジャンルの記事を執筆している。特に、食べることに興味があり、グルメ情報を自身のメディアでも発信中。美味しい料理の素材となる野菜や果物についても関心を持ち、農家とつながる飲食店で取材するなど、日々知識を深めている。「自分の文章で感動を多くの人と共有したい」が信条。

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