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道の駅?ネット?野菜販売の方法や販売許可の必要性などについて解説
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  • 農業経営

道の駅?ネット?野菜販売の方法や販売許可の必要性などについて解説

現在農家が野菜を販売する方法は多様化していて、個人販売で安定的な経営を続ける農家も数多く存在します。野菜づくりを始める場合には、販路の開拓は必要不可欠です。ここではネット販売や直売所など、効率的な野菜販売の方法を紹介します。

自分が育てた美味しくて安全な野菜を、たくさんの人たちに喜んで食べてもらうことは、農家の皆さんにとって何よりもうれしいことではないでしょうか。
しかし、以前のように市場に卸す方法だけでは自分の野菜をアピールできず、売り上げアップも見込めません。

幸いなことに、今では多様な野菜販売の方法が普及しています。農家にとってはチャンスが増えたわけですが、では、どうやって販路拡大を目指せばよいのか、その方法について解説します。

野菜の販売ルート

野菜の収穫時期が訪れれば、一定期間休むことなく収穫作業が続きます。しかもストックすることができないので、すぐに販売ルートに乗せなければなりません。

では、現在、各農家はどのようなやり方で野菜をスムーズに販売しているのでしょうか。その主な方法とポイントをまとめてみましょう。

農協経由

青果卸売市場 さまざまな野菜の段ボールが積まれている

キャプテンフック / PIXTA(ピクスタ)

昔から、最も一般的に野菜や果物を販売する方法は、一括して農協(JA)に出荷することです。基本的に農協に出荷すれば、全量を買い取ってくれるので、自分で一から販路を開拓する必要はありません。

農協経由の出荷は卸売市場への仕向けが大半を占めるため、野菜の価格は需要と供給のバランスによって変動します。そのため、価格高騰のメリットも受けられますが、価格下落の影響を受ける場合もあります。そこで経営の安定という観点から、農協以外の販路も拡大傾向にあります。

道の駅

道の駅 根来さくらの里

yasu / PIXTA(ピクスタ)

農協以外の販売経路で大きな割合を占めるのが、道の駅や農産物直売所での直接販売です。農林水産省の調査によれば、2018年時点での全国の直売所店舗数は約23,000店舗。年間販売額は1兆円を超える規模にまで拡大しています。
出典:一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構「農林水産物直売所・実態調査報告」(2018年11月)

こうした中で、道の駅は現在の国土交通省がけん引役となっており、地元の消費者ばかりでなく観光客も取り込めることから、道の駅に併設の農産物直売所は各地でかなりの集客力を誇っています。

一方で、地元密着型の直売所は農協直営店が主流になっていますが、中には生産者グループや企業が直接経営する店舗もあります。

道の駅も含めてこうした直売型店舗の特徴は、農家自らが価格や出荷量を決められることと、比較的利益率が高いことが挙げられます。一般的には、農家は手数料として野菜販売価格の15%前後を直売所に支払い、残り全部が農家の収入になります。

ただし、直売所は非常に競争が激しい場所であることを忘れてはいけません。
お客さんに直接魅力をアピールする工夫や、とび抜けて味がよいなどの特長が必要で、直売所に並べているだけではなかなか売れません。その意味では農家の実力が試される場であるといえるでしょう。

個人直売

野菜直売所の新鮮なトマト、きゅうり

ささざわ / PIXTA(ピクスタ)

直売所には、自分の農場で収穫した野菜や果物を販売する、個人経営のお店も数多くあります。ある程度規模は限られますが、実質的に売り上げすべてが収入になるという大きな魅力があります。

こうした個人の直売所では、大型店にはない農家の個性がセールスポイントになります。その農家が育てている作物の魅力を店舗のイメージとしてアピールしやすく、販売方法でも独自の工夫をすることが可能です。

確かに最初は集客に苦労するかもしれませんが、よいものを売ることでリピーターを増やし、徐々にその地域に根付くことができれば、効率的に野菜や果物の販売ができるでしょう。

インターネット

野菜の通販 ダンボールから小松菜を取り出す消費者

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

現在新しい販売方法としてシェアを広げているのが、インターネットを使った野菜販売です。この場合にもやり方には大きく2つあります。

1つは大手の野菜宅配チェーンに、自分が作った野菜や果物を直接卸す方法です。顧客は大都市圏のリピーターが中心になるため、卸売市場への全量出荷のように値崩れするリスクは回避できます。

宅配チェーンとはいっても、こだわってよい作物を育てている農家であれば、その農家を目当てにしたリピーターが付きます。販売ルートはインターネットが中心ですが、大型直売所とよく似たシステムになっています。

もう1つは個人でネットショップを開く方法です。現在はネット上でこうしたお店をサポートする仕組みもあり、かなりの数の農家が独自にお店を運営しています。

ネットショップでは作り手のこだわりや、農産物そのものの魅力などの付加価値を前面に出さないとお客さんは付きません。その代わり上手にアピールして話題になれば、根強いリピーターが付くという強みがあります。

農家としては野菜づくりのノウハウ以外にも、ネット販売の知識を身に付け、ある程度の手間と時間を販売側に振り分ける必要があります。さらに、お客さんをいかにうまく引きつけられるかが、成功のカギを握っているともいえます。

ネットショップでは野菜セットでの販売が多く、自分の農場で採れた旬の野菜を、無駄なく組み合わせて販売できるメリットもあります。リピーターが安定的に確保できれば、ネットショップだけで経営できる可能性もあります。

野菜を売るときには販売許可が必要か

農産物直売所 野菜売り場

coconeco/PIXTA(ピクスタ)

農協へ出荷したり大型直売所に販売委託したりする場合には、農家は作物を納めるだけで特に複雑な手続きや許可などは必要ありません。

では個人で直売所を営むときや、ネットショップを開設する場合、何らかの販売許可や資格は必要になるのでしょうか。

まず直売所を営業するケースでは、自分で作った野菜や果物をそのまま販売するのであれば、特別な販売許可は必要ありません。ただし、作物を加工して販売する場合には保健所を通した食品衛生法の営業許可が必要になります。

一方のネットショップでは、特定商取引法に基づく表示義務が生じます。これは販売者に関する詳細な情報などで、決まった書式通りに作れば問題ありません。直売所でもネットショップでも、実際に営業を始める前の手続きは比較的簡単です。

野菜を売る上で販売許可以外に注意する点とは

野菜の出荷伝票

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

最後に個人で野菜を販売するうえで、特に注意すべきポイントについて確認しておきましょう。

法律

直売所の店舗を開く場合は、保健所に営業許可を申請する必要があります。

ネットショップを開く場合は、前述した特定商取引法を守る義務があります。

また、加工品まで販売するときには食品衛生法の営業許可と、場合によっては県の条例に則った許可が必要になることがあります。店舗の場合は同時に、食品衛生責任者を置かなければなりません。

セキュリティ

直売所のような実店舗では、窃盗や万引きに対する防犯対策を整える必要があります。夜間の店舗管理を考えると、監視カメラを設置した方がよいかもしれません。

配送トラブル

ネットショップでは、購入者の手元に商品が届くまでが1つの仕事です。野菜や果物の種類によってはクール便を使うなど、鮮度を維持する取り組みも重要です。

ただし、注意していても途中の配送状況によってトラブルが生じる可能性もあります。万一の場合に備えて、トラブル時の対応も決めておいたほうがよいいでしょう。

農家にとって、販路の開拓は収入に影響を与える重要な課題です。野菜を販売する方法はますます多様化しているので、スタイルに合った効率的な販売方法を模索してみてください。

大澤秀城

大澤秀城

福島県で農産物直売所を立ち上げ、店長として徹底的に品質にこだわった店づくりを行い、多くの優れた農家との交流を通じて、農業の奥深さを学ぶ。 人気店へと成長を遂げ始めたさなかに東日本大震災によって被災。泣く泣く直売所をあきらめ、故郷の茨城県で白菜農家に弟子入りし、畑仕事の厳しさを身をもって体験する。 現在は農業に関する知識と体験を活かしながら、ライターと塾講師という2足のわらじで日々歩みを進めている。

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