BASF We create chemistry

施設栽培の植物用ヒーターおすすめ4選! ハウス内の局所加温のポイントは?

施設栽培の植物用ヒーターおすすめ4選! ハウス内の局所加温のポイントは?
出典 : sammy_55 / PIXTA(ピクスタ)

秋から春先にかけて、放射冷却によってビニールハウス内の温度が外気よりも下がることがあります。植物用ヒーターを導入することで気温の急変に備えておくと安心です。上手な選び方やおすすめのヒーターを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

施設栽培では、ビニールハウス全体を加温するボイラーだけでなく、植物用ヒーターを用意しておくと気温の急変に対応しやすくなります。

そこで、植物用ヒーターの上手な選び方のポイントを紹介しましょう。

冬期の施設栽培で収量を保つには、作物に合わせた加温が必須!

放射冷却現象で霧に包まれた朝のビニールハウス

たかきち / PIXTA(ピクスタ)

ビニールハウスを活用することで、作物に雪が積もることを回避できます。しかし、ビニールハウス内が決して暖かいというわけではなく、場合によっては外気温よりも温度が下がることがあり、収量低下を招くことも少なくありません。

ハウス内の気温は、放射冷却によって外気温を下回ることも

秋から春先にかけての気温が低い時期は、ビニールハウス内の温度は急に下がり霜害などの被害を引き起こすことがあります。

夜になると、地面は昼間に溜め込んだ暖かな空気を放出します。すると、地面は徐々に温度が下がり、周囲の空気も巻き込んで低温状態になる「放射冷却」が起こることによって、ビニールハウス内の空気を冷やすことがあるのです。

基本的に一年中、夜間の温度は昼間と比べて低いために放射冷却が起こっています。寒暖差の激しい秋から春先にかけては、放射冷却現象が特に顕著になり、ビニールハウス内の温度を急に下げて外気温以下になることがあります。

場合によっては作物に霜がつき、出荷できなくなることもあるでしょう。施設栽培では、人が暖かくなったと感じる春でも昼夜の寒暖差によって温度が急降下し、霜害が起きることがあります。

トマトやきゅうり、ナスなどの低温に弱い夏野菜は、特に注意が必要です。

ビニールハウスの温度を適切に保つ加温のポイント

ビニールハウスの開口部付近は局所的に温度が下がる

yuruphoto / PIXTA(ピクスタ)

ビニールハウス内を加温したとしても、常に適切な温度が保てているとは限りません。例えばビニールハウス全体をヒートポンプで加温している場合でも、出入口や側窓の近くは局所的に温度が下がり、周辺の作物に霜害や低温障害が生じることもあります。

ビニールハウス内の温度差を防ぐためには、冷えやすい場所に小型の植物用ヒーターを併用するのがよいでしょう。ビニールハウス内の温度差を少なくすることで、作物が均一な状態で生育できるようになります。

※作物の収量を上げるためのビニールハウス内の温度管理については、こちらの記事もご覧ください。

ハウスの加温に適しているのは? 植物用ヒーターの上手な選び方

ビニールハウス内を作物が生育しやすい適切な温度に保つためには、全体的にヒートポンプなどを使って加温し、なおかつ冷えやすい場所を局所的に植物用ヒーターを用いて暖めるのがおすすめです。ビニールハウスに用いる植物用ヒーターを選ぶポイントについて見ていきましょう。

ヒーターのサイズは「加温したい範囲」で選ぶ

ヒーターのサイズは、加温したい範囲で選びましょう。加温したい範囲に対して熱量が多すぎると暑すぎる場所が生じてしまい、かえって作物にダメージを与えてしまうことにもなりかねません。また、電気代も高くなってしまいます。

植物用ヒーターの加温性能は、消費電力によって見分けることが可能です。狭い範囲だけを暖めたい場合であれば消費電力が少ないもの、例えば1平方m以下の範囲であれば300w前後のものを選びましょう。一方、1坪(3.3平方m)程度であれば1,000w程度、1坪よりも広い範囲であれば1,000wより大きなものを選びます。

3,000w程度の大型ヒーターであれば、3坪程度の小型のビニールハウス全体を加温することが可能です。広さに合わせて適切な消費電力を選びましょう。

「サーモスタット機能」は後付けでもOK

ヒーターをつけっぱなしにしていると、温度が上がりすぎて作物にダメージを与えることがあります。このようなトラブルを防ぐのが「サーモスタット機能」です。サーモスタット機能が付いている植物用ヒーターであれば自動的にオン・オフされるため、こまめにビニールハウス内の温度を確認しなくても設定した温度に保つことができます。

外気温が極端に寒い地域などでは、1日中つけっぱなしにしても温度の上がり過ぎの心配がないこともあるでしょう。サーモスタット機能は後付けできるので、必要かどうかで迷うときは機能がついていない植物用ヒーターを選ぶこともできます。

消費電力別! 局所加温にも使える、農家におすすめの植物用ヒーター4選

ビニールハウスの局所加温に用いる植物用ヒーターは、消費電力で選びます。1平方m=300wとして計算すると、必要なおおよそのワット数を求めることができるでしょう。消費電力別に植物用ヒーターを紹介するので、機能や特徴などと合わせてご覧ください。

【105w】乗せたまま水やりもOK! 育苗に使える「植物育苗ヒーターマットL」

セルトレイ育苗

ミン / PIXTA(ピクスタ)

育苗箱を暖めたいときは、育苗箱の下に敷けるマット状の植物用ヒーターが適しています。消費電力が少なく、光熱費がかさみにくいのも特徴といえるでしょう。サイズが2種類あるので、セルトレイや育苗箱などの大きさに合わせて選べます。

■製品概要
消費電力:105w(小型サイズは21w)
発売元:株式会社 国華園
サイズ:横122×縦53cm(小型サイズは横53×縦25.5cm)
表面温度:36~38℃
商品の特徴:マットの上に育苗箱やポットなどを置いて、そのまま水やり可能
製品掲載ページはこちら

【250w】狭い範囲の加温に最適! 「昭和精機工業 パネルヒーター250w」

小型のビニールハウスなどの狭い範囲は、パネルヒーターが適していることがあります。温風器ではないので、植物へのダメージが少なくて静かという点も特徴です。

1台でおよそ0.8立方m、2台で1.7立方m程度の空間を温めることができます。また、サーモスタット機能がついているので、労力をかけずに温度管理することが可能です。

■製品概要
消費電力:250w
メーカー名:昭和精機工業 株式会社
サイズ:直径12.7×高さ19.4cm
サーモスタット:あり
商品の特徴:自然対流により空間内が温まるので、植物へのダメージが少なく静か
製品掲載ページはこちら

【2,000w】およそ2坪の広さまで加温が可能な「総和工業 園芸用温風器SF-2005A」

約2坪(6.6平方m)までの範囲を加温できる植物用ヒーターです。温風器がついているので、空間をまんべんなく暖められます。

天井から吊り下げるタイプです。本体の底面を地面から30~50cmは離すようにすると、温風が循環して適温に保ちやすくなります。

単相と三相があるので、選ぶときには注意しましょう。単相は三相よりもパワーがあってすぐに暖まりますが、その分だけ騒音が大きくなることがあります。

■製品概要
消費電力:2,000w
メーカー名:総和工業 株式会社
サイズ:直径27×高さ33cm
設置方法:天井から吊り下げる
商品の特徴:温風器と循環扇が一体型となった植物用ヒーターで、感温センサーコードがついているので±2.5℃の範囲で温度設定が可能。単相と三相の2パターンあり
製品掲載ページはこちら

さらに広範囲の加温なら! 灯油式の「ニッセン 農業用保温器YK-2」

広範囲を加温したいときは、灯油で温めるタイプの保温器がおすすめです。5Lの灯油で約20時間の加温ができるので、光熱費を削減することもできます。

■製品概要
発熱量:約2,000cal/h
メーカー名:日本船燈株式会社
サイズ:縦37×横37×高さ48cm
タンク容量:約5L
商品の特徴:約20時間、燃焼持続可能。取り付け型ではないので持ち運べる
製品掲載ページはこちら

植物用ヒーターにかかるコストは? 導入前に知っておきたい豆知識

ビニールハウス内の温度を一定にするファン

CaptainT / PIXTA(ピクスタ)

作物を霜害から守ることも大切ですが、コストを抑えることも大切です。植物用ヒーターにかかる電気代などのコストを計算する方法と、省エネのコツについて見ていきましょう。

加温にかかる電気代の計算方法と、省エネ運用のコツ

電気代は以下の式で求めることができます。

1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)

例えば1時間当たりの消費電力が200wで1日に10時間使用し、電気代の単価が25円であれば、1ヵ月当たりの電気代は0.2×10×30×25=1,500円と計算できます。

電気代や燃料代を抑えるためには、内張りカーテンや外張り被覆を使ってハウスの気密性を向上させたり、暖房機器を定期的にメンテナンスしたりすることが重要です。

また、サーモスタットを確実に機能させるために、ファン内蔵の機械でないときは別途ファンを併用し、ビニールハウス内の温度ムラをなくすことも重要といえるでしょう。

ハウスの適切な温度管理には、環境制御装置の導入も検討を

ハウス内の温度を適切に保って品質や収量を上げるためには、ITによって適切な温度管理を行う環境制御装置を導入するのもよい方法です。環境制御機器について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

ビニールハウス内は、秋から春先にかけて外気温よりも温度が下がることがあります。適切な植物用ヒーターを選び、霜害や低温障害から大切な作物を守りましょう。

植物用ヒーターは、消費電力に注目することでおおよその使用範囲(面積)を計算することができます。1平方m=300wで概算し、広さとコストを考慮して必要に応じたヒーターを選びましょう。

林泉

林泉

医学部修士、看護学博士。医療や看護、介護を広く研究・執筆している。医療領域とは切っても切れないお金の問題に関心を持ち、ファイナンシャルプランナー2級とAFPを取得。

おすすめ