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千葉のお米「ふさこがね」の食味&品種特性! 多収を叶える栽培のコツは?

千葉のお米「ふさこがね」の食味&品種特性! 多収を叶える栽培のコツは?
出典 : Nabe / PIXTA(ピクスタ)・TAKEZO / PIXTA(ピクスタ)

「ふさこがね」は千葉県で独自に開発された水稲の品種で、県内ではコシヒカリの次に栽培されている人気の品種です。そこで今回は、ふさこがねの栽培を検討している農家に向けて、ふさこがねの食味はもちろん、品種の特徴や栽培ポイントについて紹介します。

ふさこがねは千葉県独自の品種で、粒が大きくふっくらもちっとした食感が人気の品種です。今回は、ふさこがねの品種の特徴や栽培上の注意点について紹介します。

千葉の独自水稲品種「ふさこがね」とは?

千葉県のブランド米「ふさこがね」

出典:株式会社PR TIMES(アマゾンジャパン合同会社 ニュースリリース 2013年8月26日)

「ふさこがね」は、「千葉6号(ふさおとめ)」の耐倒伏性・いもち病抵抗性をより強化する目的で、千葉県で独自に開発された品種で、「千葉28号」の名称で2007年に品種登録されています。

「中部64号」と「千葉6号(ふさおとめ)」を交配してつくられた中生品種でコシヒカリよりも早く収穫できます。大粒で白くふっくら炊きあがり冷めても硬くなりにくいのが特徴で、中食にも向いています。

「ふさこがね」は、一般公募で決まった愛称で、千葉県房総の「ふさ」と黄金色でたわわに実る様子をイメージした「こがね」を合わせて命名されました。

千葉県は、関東でもっとも早く水稲の収穫が始まる産地であり、栽培面積は5万5,200ha、収量は30万tと全国第8位を誇る県です。稲作地帯は県内各地に広がっており、耕地面積の約6割が稲作となっています。

ふさこがねの2019年の作付面積は1万1,600haで、これは県内で作付けされている水稲の約15%を占めています。これは第1位のコシヒカリに次ぐ第2位で、うるち品種のなかでも約2割強を占めており、県内で広く栽培されていることがわかります。

ふさこがねの味や育てやすさは? 食味と品種特性について

大粒の炊き立てご飯

kaka / PIXTA(ピクスタ)

千葉県で広く栽培されているふさこがねですが、農家が気になるのは食味ランクや栽培のしやすさではないでしょうか。そこで次に、ふさこがねの食味や品種特性についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

ふさこがねの食味ランキング評価

2020年県北・県南地区産ふさこがねの食味ランキングは「A」評価でした。千葉県産のふさこがねは、食味ランキングにおいて2018~2021年まで「特A」を獲得していません。ちなみに2019年と2020年の食味ランキングは「A’」でした。2018~2021年の格付けを集計した全国ランキングでは第113位となっています。

比較対象として、千葉県県北地区産コシヒカリは2021年と2020年産の食味ランキングで「特A」評価、2018年と2019年では「A」評価となっています。

コシヒカリ・ふさおとめと比較した品種の特性

2020年県北・県南地区産ふさこがねの食味ランキングは「A」評価でした。千葉県産のふさこがねは、食味ランキングにおいて2018~2021年まで「特A」を獲得していません。ちなみに2019年と2020年の食味ランキングは「A’」でした。2018~2021年の格付けを集計した全国ランキングでは第113位となっています。

比較対象として、千葉県県北地区産コシヒカリは2021年と2020年産の食味ランキングで「特A」評価、2018年と2019年では「A」評価となっています。

コシヒカリ・ふさおとめと比較した品種の特性

ふさこがねは中生品種で、成熟期は同じく千葉県の独自品種である「ふさおとめ」よりも5日ほど遅く、8月下旬には収穫ができます。また、粒の大きさは「ふさおとめ」や「コシヒカリ」よりも大きいのが特徴です。

穂が出る前の低温に強く、2つの品種よりも高温による障害を受けにくい点が魅力といえるでしょう。品質低下が起こりやすい高温年でも、玄米の外観品質に優れています。

穂数は「コシヒカリ」なみで「ふさおとめ」よりも少ないものの粒の大きいこともあり、収量性は「コシヒカリ」や「ふさおとめ」に勝ります。

さらに、穂いもち病抵抗性は「ふさおとめ」や「コシヒカリ」より強いため、農薬を減らした栽培にも対応しやすい品種です。加えて「コシヒカリ」と比較すると短稈で、耐倒伏性が強いため台風などによる被害を受けにくく、安定した生産が期待できるといえるでしょう。

ふさこがねの主な仕向け先

回転寿司

KAZU / PIXTA(ピクスタ)

千葉県内で栽培されている主食用米の約3割がコンビニやスーパーなどの中食事業者と、牛丼や回転寿司などのファーストフード店、ファミレスや宿泊施設などの外食事業者に向けた業務用として販売されています。

そのうち、ふさこがねの割合は12%程度で、これはコシヒカリを抜いて第1位のシェアです。(ただし、全国の業務用向け銘柄シェアをみると、宮城県産ひとめぼれ、山形県産はえぬき、栃木県産コシヒカリで2割以上を占め、ふさこがねのシェアは1%程度です。)

ちなみに、ふさこがねの登録品種名である「ちば28号」自体は、家畜などに与える飼料用米としても生産されています。しかし飼料用米として栽培された「ちば28号」は、ふさこがねとは呼びません。ふさこがねは、あくまで主食用米としてのブランド名なのです。

多収&省力化を叶える! 千葉県におけるふさこがね栽培のコツ

千葉県 山武地域の田植え

吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)

最後に、千葉県内でふさこがねを栽培する際のコツについて紹介します。収量を維持し、省力化もできる栽培方法や、米の品質を高める施肥量の目安なども解説しているので、ふさこがねの栽培を検討している方はぜひチェックしてください。

病害や倒伏の被害を抑えつつ収量を維持する「疎植栽培」

ふさこがねと疎植栽培

一般に疎植栽培の稲は、太陽光をしっかり受けられ、倒伏や病害に強いといわれています。また、疎植栽培では、同じ面積での使用苗箱数が減る分、育苗コストや労働時間が減るというメリットもあります。

ふさこがねの疎植栽培の面積当たり収量は、慣行栽培とほぼ同等であることが報告されており、ふさこがねは、収量を維持しながら疎植栽培のメリットを享受できる品種だといえます。

疎植栽培のポイント

疎植栽培を行う場合の本数目安は、1株当たり3~5本ですが、極端な疎植にならないように注意してください。収量目標は良食味を維持するため10a当たり600kgを目安としましょう。

疎植栽培で高収量を確保するには、初期生育を良好にすることがポイントです。栽植密度が低ければ1株の茎数は増えますが、その分面積当たりの茎数、ひいてはほ場全体の茎数が少なくなります。そのため、初期生育を良好にして穂になる茎をしっかり確保する必要があります。

初期生育を良好にするためには、移植後に水深を確保して適切に除草剤を散布することや、必要茎数を確保したのちに無効分げつを抑制するため、中干しを確実に行うことが重要です。施肥量に関しては、慣行栽培と同レベルを維持します。

疎植栽培を行う場合の移植時期は、4月のみとする必要があります。5月では分げつ期間が短くなり、茎数の確保が難しくなるため行わないようにしてください。また、窒素の肥沃度が低い土壌では穂数が減少しやすいことから、導入する場合はまず一部のほ場に限って試験的に実施することをおすすめします。

米の品質を高める施肥量の目安

ふさこがねには、コシヒカリと比較して育苗時に苗が伸びにくいという特徴があります。そのため育苗培土の窒素量は、1箱当たり1.2~1.5gとしてください。

土壌10a当たりの基肥に含める窒素量は、砂質土が5~6kg、壌質土が4~5kg、粘質土が3~4kgです。コシヒカリよりも1~2kg多くしましょう。リン酸は10a当たり8~9kg、カリウムは10a当たり7~8kgを施用します。

ふさこがねの疎植栽培における必要茎数は、1平方m当たり320本で、目標値どおり生育できた場合は出穂前18日、幼穂長10mmが80%の状態で、窒素とカリを10a当たり3kg施用してください。

目標値より茎数が多い場合は窒素を減量し、下回っている場合は出穂前25日幼穂長1mmのタイミングで穂肥を施用します。実肥は玄米中のタンパク含量が増加し、食味の低下を招くため行わないでください。

冷めても硬くなりにい「ふさこがね」は中食需要に向いている

sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)

今回は、千葉県で独自に開発された水稲の品種「ふさこがね」について詳しく紹介しました。ふさこがねは大粒でふっくら炊きあがり、冷めても硬くなりにくいため中食向けの品種としても期待されています。

千葉県のオリジナル品種ですが、業務用向けの多収品種の事例として参考にしてください。

百田胡桃

百田胡桃

県立農業高校を卒業し、国立大学農学部で畜産系の学科に進学。研究していた内容は食品加工だが、在学中に農業全般に関する知識を学び、実際に作物を育て収穫した経験もある。その後食品系の会社に就職したが夫の転勤に伴いライターに転身。現在は農業に限らず、幅広いジャンルで執筆活動を行っている。

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