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農業の仕事って実際きついの?就農前に知りたい仕事内容&収入目安を大公開!

農業の仕事って実際きついの?就農前に知りたい仕事内容&収入目安を大公開!
出典 : cba/ PIXTA(ピクスタ)

就農を考えている人が最も知りたいことの1つは「農業の仕事の実態」ではないでしょうか。そこで今回は、「農業の仕事」の内容や労働時間、年収などから、実際の農家の姿をひもときます。

農業はいわゆる3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれる職業の1つですが、実際はどうなのでしょうか?

この記事では就農を考えている方に向けて、農業の仕事内容や年収、さらには求められる資質などについて紹介します。

農業の仕事を始める2種類の方法

農業 会社

buritora/ PIXTA(ピクスタ)

農業の仕事に就くには実家の農家を継ぐ以外の方法として、大きく分けると「農業法人への就職」と「農家としての独立(起業)」があります。それぞれ具体的にどのような方法なのかを詳しく見ていきましょう。

農業法人へ就職する

農業法人とは、株式会社や農事組合法人など、組織として農業を営んでいる法人の総称です。これらの農業法人に就職し、働くことを雇用就農といいます。しかし一般の求人サイトでは農業の求人を見つけられません。

そのため、新規就農相談センターや都道府県新規就農相談センターのホームページ、ハローワークなどの相談窓口から求人情報を見つけるのが最も簡単な就農方法です。そのほか「第一次産業ネット」や「あぐりナビ」など、数は少ないながらも農業に特化した求人サイトがあり、こちらからも求人情報をチェックできます。

▼農業求人サイトについてはこちらの記事をご覧ください。

農家として独立(起業)する

農家になる2つ目の方法としては、自ら資金などを確保した上で独立(起業)することが考えられます。独立するには主に資金や農地、機械や施設、住居、技術、ノウハウが必要です。

もしも将来的に独立をめざすのであれば、一度農業法人に就職して技術やノウハウを学びながら資金を用意し、農地を探すのがおすすめです。

もしくは、自治体などが研修や助成を行っている場合があるため、これらの支援を受けながら独立就農をめざすという方法もあります。

▼就農の準備期間を支援する「農業次世代人材投資資金(準備型)」についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。

農業の仕事内容とは? 一日の流れや労働時間の目安

ミニトマト 農家

Carbondale/ PIXTA(ピクスタ)

では実際に農業法人などへ就職し、農業の仕事に就くとなった場合にどのような仕事を行うのでしょうか? そこで次に、農家の一日の流れや主な労働時間の目安などについて、農林水産省のデータを参考に紹介します。

農作業の内容と一日のタイムスケジュール例

一般的な農家の作業内容としては土作り、田植え・苗植え、日々の手入れ、収穫、出荷などが挙げられます。そのほかに台風などの災害による被害を抑えるためのほ場や施設の点検・整備なども行っています。

また独立した場合は、販路拡大のための営業や単価を上げるための高付加価値化・ブランド化など、いわゆる経営戦略の考案なども仕事内容として含まれるようになるでしょう。

例えば、農繁期と呼ばれる最も忙しい時期には、朝5時半に起床して7時から18時まで作業します。12時の昼休みのほか、10時と15時に短い休憩をとるのが一般的です。作業終了後は食事や自由時間です。

冬などの仕事量が減る農閑期は、起床時間が遅くなり、作業が終了する時間は早くなるため、のんびりと過ごせることも多くなります。

年間労働時間の最新統計データ

次に労働時間について、農林水産省の平成30年営農類型別経営統計(個別経営)を基に栽培部門ごとに見てみましょう。

栽培部門別の労働時間

年間の自営農業労働時間(注)のうち、雇用した人など以外の主に家族の労働時間は、水田作経営(稲作ほか水田での作付けが主)は822時間、露地野菜作経営(露地での野菜類栽培が主)は3,122時間、施設野菜作経営(ハウスでの野菜類の栽培が主)は4,651時間と、栽培部門によってかなりの差があります。

(注)自営農業労働時間:家族、有給の役員、雇用者の労働時間を合わせたもので、農業生産関連事業(農産加工、農家民宿、農家レストラン、観光農園、市民農園等の農業に関連する事業)を含まない

独立就農した場合の労働時間の目安

全国新規就農相談センターの「新規就農者の就農実態調査」によると、農業に新規参入した人の就農時の経営面積は、都府県中央値で約40a程度と報告されています。

出典:全国新規就農相談センター(一般社団法人全国農業会議所)「平成28年度新規就農者の就農実態に関する調査結果」

そこで先ほどのデータからより実態に近い参考値として、都府県で農地面積が0.5ha未満(施設野菜作においては20a=2,000平方m未満)の農家のデータを見てみると、水田作経営が473時間、露地野菜作経営2,432時間、施設野菜作経営が3,559時間となっています。

日本における一般労働者の年間平均労働時間は2,000時間前後(注)であるため、栽培部門や家族や従業員の数によっては労働時間が長くなる可能性もあります。

(注)一般社団法人 日本経済団体連合会「2020年 労働時間等実態調査」 による

ただし、農業法人に雇用されるのであれば労働基準法が適用されるため、週40時間の範囲で労働時間が明確に決まっています。

なお、繁忙期のみ労働時間が長くなる変形労働時間制を採用している場合もあるので、求人情報をよく確認した上で応募を行ってください。

農業の仕事で魅力を感じる&大変なのはどんなとき?

JA静岡が、株式会社アルバイトタイムス運営の「ドーモ(静岡エリア)」上で公表している就農1年目の農家に対するインタビュー記事から、就農した人の声を見てみましょう。

葉ネギ栽培農家で働くYさん(30歳)が大変だと感じるのは「夏のビニールハウスの暑さ」とのことでした。農業は基本的に自然の中での作業になるため、夏や冬は体の負担になりやすい傾向があります。

加えてYさんは膝や腰が痛くなるなど、体力仕事ならではの大変さも感じているようです。一方でYさんは「ゼロからものづくりに携わりたい」という希望が実現できていることから充実感も感じているようです。

また、独立就農の場合に労働時間が長くなる可能性があると先述しましたが、雇用就農の場合には逆に労働時間の柔軟性に魅力を感じる場合もあるようです。

農家に転職したIさん(50歳)は、就農先の会社が時間や休みに柔軟に対応していることに魅力を感じているとのことでした。休みや遅刻を気兼ねなく相談できる雰囲気がある働きやすい職場のようです。

出典:株式会社アルバイトタイムス「ぶっちゃけ農家で働くのってどんな感じ!?就農を考えている方必見!就農1年生のホンネ」

実際、農家は稼げる? 収入額の参考情報

収入 貯金通帳

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

ここまでで、農家の実際の姿についてはおおよそのイメージが掴めたかと思います。そのほかに気になる情報としては、収入がいくらになるかということです。そこで次に、農家がどの程度稼げるかについて紹介します。

農業法人に就職した場合の年収目安

株式会社Life Labが運営する農業求人サイト「第一次産業ネット」の調査(注)によれば、農業法人の新規就農者がもらえる平均初任給は、月額20~28万円程度(2018年)です。2014年の18~15万円程度から年々上昇しています。

金額に幅があるのは、経験や能力が給与にも反映されているためです。

(注)全業種(栽培系・畜産系・アグリ関連ビジネス)、全職種(生産現場職や営業職など)、全地域を対象としたデータ

これに加えて法人では年2回、年間を通じて月給4ヵ月分程度のボーナスが支払われる場合もあるため、年収の目安は200~300万円前後になると考えられます。

出典:株式会社Life Lab「ジブン農業」内「【農業の収入】独立就農の所得・雇用就農の給料をチェック」

農家として独立した場合の年間農業所得目安

農家として独立した場合の年間農業所得については、営農類型別経営統計(個別経営)が目安として利用できます。

全国平均で、水田作経営の年間農業所得は12.2万円、露地野菜作経営は174.6万円、施設野菜作経営は403.7万円です。

農業 部門別の農業所得

出典:農林水産省「農業経営統計調査 令和元年営農類型別経営統計」よりminorasu編集部作成

ただし、経営面積によっては農業所得がマイナスになる場合もあります。

例えば、水田作では1.0ha未満の農業所得はマイナスで、農業所得が100万円を超えるのは5ha以上から、400万円を超えるのは10ha以上から、600万円を超えるのは15ha以上からです。

水田作経営の規模別農業所得

出典:農林水産省「令和元年度の営農類型別経営統計 水田作経営」よりminorasu編集部作成

また、就農してすぐに全国平均と同レベルの農業所得が得られるわけではありません。

前述の新規就農者の就農実態調査によれば、新規就農時の農業所得中央値は60万円と少額で、そこから年数をかけて収入を増やしていく農家がほとんどです。

収入が安定し生活できる農業所得を得ることが可能になるまでには数年かかるため、起業資金のほかに数年分の生活資金を用意する必要があります。

就農するかどうか悩んだときに考えるべきポイント

ポイント

タカス/ PIXTA(ピクスタ)

最後に就農すべきか悩んでいる方に向けて、参考になる情報をいくつか紹介します。

自分が農業に向いているか

まずは農家に求められる資質を基に、自分が農業に向いている性格かどうかを考えてみましょう。

農家に求められる資質としては、まず1番に植物が好きでものづくりが好きであることが挙げられます。農業は広い目で見ればものづくりの仕事であるため、コツコツと何かをすることが好きな人が向いているといわれています。

次に、目配り・気配りができて忍耐力があることも大切です。

扱う作物は日々変化するため、全体をきめ細かに目配り・気配りできれば、病害虫の発生などの早期発見につながり、被害を最小限に抑えることができます。

また、施肥や土壌管理、環境管理などが作物の生育を左右するため、忍耐強くPDCAを回す努力が成果につながります。

そのほか、現在は分析データを基に品質改善や収量の増加などを図っていることから、経営数値や分析に抵抗がないとより課題に向き合いやすくなるでしょう。

これまでの職業経験を活かせるか

農業法人への就農や、農家としての独立を問わず、これまでの職業経験を農業の仕事に活かせるのであれば、それは大きな助けとなります。

例えば、農業は大きな農機を操作することが多いため、大型特殊免許や牽引免許、フォークリフト作業免許があれば作業がスムーズに行え、農業法人でも重宝されます。

農家としての独立を検討している場合であれば、販路拡大を行う際に営業職としての経験が有利に働くでしょう。また、税務や人事労務の知識があれば、安心して独立ができます。

これに限らずに自身の経歴を振り返り、どのようにその経験を活かせるかを考えてみてください。

まずは農業体験から始めてみるのもおすすめ

就農に不安があるのであれば、まずは就業体験や研修などに参加することをお勧めします。実際に体験ができればより就農後をイメージしやすく、自分の性格が向いているか、体力的に就業が可能かなどを判断する助けになるでしょう。

各県の新規就農支援センター主催で現地の研修バスツアーや短期の就業体験、農業研修、セミナーなどが行われているので、ホームページなどをチェックしてみてください。

また、毎年東京や大阪で「新・農業人フェア」なども行われているため、これらに参加するのもおすすめです。
※「新・農業人フェア」など就農フェアについてはこちらの記事をご覧ください。

ほ場 女性 農家

YUMIK/ PIXTA(ピクスタ)

今回は就農を考えている方に向けて、実際に農家はどのような仕事をしているか、また労働時間や所得、求められる資質などについて紹介しました。

辛いイメージの多い農業ですが、ゼロからものづくりができるためやりがいも多く感じられる仕事です。ぜひ今回の記事を参考に、農業に携わる仕事への転職を検討してみてください。

百田胡桃

百田胡桃

県立農業高校を卒業し、国立大学農学部で畜産系の学科に進学。研究していた内容は食品加工だが、在学中に農業全般に関する知識を学び、実際に作物を育て収穫した経験もある。その後食品系の会社に就職したが夫の転勤に伴いライターに転身。現在は農業に限らず、幅広いジャンルで執筆活動を行っている。

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