月額1,100円で収量15%増!農機もドローンも必要ない「可変施肥」の仕組みを解説
低コストで始められる「可変施肥」で収量15%アップを目指す方法を解説。農機が不要で、AIによる地力や生育の見える化で施肥量を最適化し、コスト削減や収量アップを実現します。
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目次
昨今、可変施肥の導入により、収量アップやコスト削減を実現した事例が増えています。事例の中には、「コストを抑えて可変施肥ができた」という農家の方もいるようです。
この記事では、可変施肥の効果や手軽な始め方をわかりやすくお伝えします。
可変施肥の前に!知っておきたい収量と施肥量の関係
前提として、施肥量と収量の関係は以下のようになっています。
出典:愛知県「農作物の施肥基準【2021年3月改定】」所収「Ⅱ 施肥の基本と考え方」よりminorasu編集部作成
基本的に、収量は施肥量に比例して増えますが、施肥量が一定のラインを超えると最高収量域に到達して横ばいになり、その後、減少します。
ですので、最も小さい施肥量で収量が最大になる「最適な施肥量」を選び取ることが、効率よく収量を確保するための基本となります。
そして最適な施肥量のベースとなるのが、自治体の施肥基準です。県によっては、作物別・地域別・品種別・土質別に基肥と追肥のバランスまで細かく示しているところもあります。
しかし、これだけでは「最適」にはなりません。
実際のほ場には地力ムラがあるため、最適な施肥量は、地力の低い場所は多く、高い場所は少なくなるはずです。
また、追肥の量は、基本的に作物の生育状況を見て判断しますが、地力ムラがあれば生育ムラも出やすく、最適な施肥量はやはり場所によって変わってきます。
このように、ほ場毎・あるいはひとつのほ場の中でも地力や生育状況に応じて最適な施肥量は違ってくるということになります。
収量アップやコスト削減につながる「可変施肥」の仕組みとは?
可変施肥の仕組み
上記のように、ほ場毎・あるいは1枚のほ場の中でも、場所によって異なる地力や生育状況にあわせて最適な施肥量にコントロールするのが「可変施肥」です。
基肥:地力に応じた可変施肥
基肥を均等に施した場合、地力が高い場所は品質が低下したり、地力が低いと収量が減りやすくなります。
ですので、ほ場内の地力ムラを正確に把握し、地力に応じて施肥量をコントロールすることが基肥のポイントです。
追肥:生育状況に応じた可変施肥
地力を考慮して基肥を行っても、どうしても生育ムラが発生することがあります。生育ムラがあると、収量はもちろん、品質が安定せず、等級や食味に影響します。
そのため、生育状況にあわせて、最適な場所に最適なタイミングで最適な量の追肥を行うことが重要です。
収量が大幅アップ!「可変施肥」で期待できる効果は?
可変施肥を実施することで「収量アップ」と「品質向上」が期待できます。同時に、施肥量の最適化は「コスト削減」にもつながります。
※水稲農家の事例です
出典:農林水産省「令和3年 営農類型別経営統計|個人経営体|水田作経営|全国|作付面積3~5ha」、xarvio「導入事例」よりminorasu編集部で試算
地力ムラに応じて施肥量をコントロールすれば、ほ場全体の作物に過不足なく養分が届き、収量や品質が向上します。
生育の悪い場所だけにピンポイントで追肥すれば、過分な施肥を減らし、コスト削減も期待できます。
可変施肥のやり方は?コストを抑える方法も紹介!
そうは言っても、可変施肥には高価な農機が必要と思っている方や、難しそうと感じる方もいるのではないでしょうか?
実は、高価な農機を持たずともできる、簡単なやり方があります。
そこで本項では、手軽な可変施肥の方法を3つご紹介します。
知識や経験を生かす
最も低コストで可変施肥を実施する方法は、知識や経験を生かすことです。
地力ムラなら、例年の生育具合から、大体の地力の高い場所、低い場所が分かります。また水稲の生育ステージを熟知していれば、ほ場の見回りで生育状況が分かることでしょう。
ほ場を観察して、地力や生育ムラを把握できれば、それに合わせて施肥するだけです。
この方法は、コストほぼゼロで可変施肥ができます。一方で、十分な経験がないと難しく、また、生育状況は日々変化するため、定期的な見回りが必要になり手間がかかります。
専門機関に依頼する
地力ムラの分析は、専門機関に依頼することもできます。
例えば、JAでは土壌診断を請け負っており、自身で土壌を採取して申請すれば、1ヶ月程度で土壌の状態が分かります。
ほ場ごと、あるいはほ場を細分化して診断してもらえば、地力ムラが分かります。
診断項目が豊富で、土壌改良に必要な施肥量の目安なども教えてもらえます。ただし、地力ムラを細かく知るには調査地点を増やさなければならず、手間やコストがかかります。
可変施肥ツールを利用する
Webやスマートフォンアプリの可変施肥ツールを利用することも可能です。
多くの可変施肥ツールは、衛星画像などのデータをもとにほ場内の地力や生育状況を見える化できます。地力や生育ムラが細かくわかるので、あとは施肥量を手動でコントロールするだけです。
可変施肥ツールには、月に数百円から数千円程度と低コストで導入できるものもあります。また、データを使うため、知識や経験に頼らずとも可変施肥ができます。ただし、ツールによっては、地力や生育状況を自身で確認する必要があるものや、ドローンなどのセンシング機器が必要なものもあるため注意しましょう。
いくら収量が上がっても、初期投資費用やランニングコストによって赤字になっては元も子もありません。特に小規模農家や新規就農者の方には、低コストで導入できる「可変施肥ツール」がおすすめです。
次にご紹介する「ザルビオ フィールドマネージャー」(通称:ザルビオ)は、低コストかつ手軽に可変施肥で成果を挙げられるツールとして多くの生産者の方々に利用されています。
低コストかつ手軽な可変施肥ツール「ザルビオ」とは?
ザルビオとは、総合化学メーカーの大手BASFが開発した最先端の栽培管理支援システムです。
ここではザルビオのおすすめポイントを3つご紹介します。
ポイント1:大幅な収量アップができる
ザルビオの地力・生育マップでは、地力や生育ムラを細かく正確に把握できるため、細やかな可変施肥で大幅な収量アップが期待できます。
地力マップは、過去の衛星データをAI が解析することで生成され、ほ場内の地力が正確に分かります。地力に応じて施肥量を調整すれば、作物に過不足なく養分が供給され、収量アップを実現できます。
ザルビオ「地力マップ」。地力が一目で分かる
また、生育マップは、日々更新される衛星データをもとにほ場内の生育状況を見える化しています。生育の悪い場所に最適なタイミングで追肥すれば、生育不良がなくなり、さらなる収量アップにつながります。
ザルビオ「生育マップ」。ほ場内の生育状況をリアルタイムで見える化
ポイント2:初期費用ゼロ。ランニングコストも安い
ザルビオは初期費用がかかりません。さらに、ほ場面積・機能・作物に合わせて低コストな料金プランが選べます。
例えば、ほ場面積2ha以下で地力や生育マップを使用する場合、水稲/大豆/麦の栽培なら年額13,200円(月額1,100円)から、その他の作物※の栽培なら年額6,600円(月額550円)からマップ機能が使えます。
※きゃべつ、たまねぎ、にんじん、馬鈴薯、甜菜、ブロッコリー、とうもろこし、小豆、いんげん豆、レンゲ、そば、菜種、クリムゾンクローバー、ヘアリーベッチ
コストが安いため、収量アップが利益に直結します。
ポイント3:手軽に使えて操作は簡単
ザルビオの地力・生育マップはAIが自動で作るため、データの収集や入力の手間がかかりません。また、アプリの操作は簡単で、スマホやPCの扱いに慣れていなくても活用できます。
手軽に使えて費用対効果が高いため、これから可変施肥を始める方に最もおすすめのツールです。
かんたん!ザルビオを活用した可変施肥の手順
でも実際、「地力や生育マップの作成は面倒でしょ?」と思った方のために、ザルビオで可変施肥を始めるまでの手順を説明します。
まずは、ザルビオに会員登録(無料)します。
ザルビオ「会員登録画面」
次に、ほ場と作物を登録します。すると、AIが地力や生育マップを自動で作成するので、可変施肥の準備は完了です。
あとは3回クリックするだけで、地力マップや生育マップを確認できます。
【1】ほ場を選ぶ
【2】「マップ変更」をクリック
【3】見たいマップを選ぶ
マップを確認したら、可変施肥を始めましょう。
ザルビオ「地力マップ」
地力マップなら、緑が濃い場所では施肥量を少なく、緑が薄いところでは多く調整することで可変施肥ができます。
収量15%アップや肥料コスト25%削減など!ザルビオ導入事例
ザルビオで収量アップを実現した水稲農家・児玉さんの事例をご紹介します。
宮崎県で水稲とサツマイモ(甘藷)を6haのほ場で栽培する児玉さん
児玉さんは、6ha(水稲4ha)のほ場で水稲とサツマイモ(甘藷)を栽培しています。兼業農家から専業農家へのステップアップを目指していましたが、知識や経験が不足していることに不安を感じていました。
また、資材の価格高騰が収益を圧迫しており、コスト削減の必要があると感じていました。
そこで、注目したツールが、データを活用して手軽に可変施肥ができるザルビオです。
児玉さんはこれまで、肥料を全面に撒いていましたが、ザルビオを導入することで驚きの効果を実感しているそうです。
出典:xarvio「導入事例」よりminorasu編集部作成
児玉さん「ブロードキャスターという機械で肥料を振っていくんですけど、地力が高いとこは肥料の量をグッと減らして、逆に地力が低いところにはたくさん振るようにして。最終的に肥料を振り終わった後に数俵残っていたりして。なんでだっけ?そっか余るわけだと思って。」
その分、こだわりの有機栽培ほ場への追肥を厚くするなど、施肥を最適化できたといいます。
児玉さん「地力がすでに高いところには振らないようにして、余ったものをどんどん他のほ場で振って、最終的に、肥料の費用はほ場によりますが25%減りました。その分、有機栽培のほ場に追肥したりして、こだわって作っているほ場に肥料を投入できました。」
また、地力が高い場所は雑草が生えやすいことがわかったため、除草剤をピンポイントで散布できるようになり、除草剤コストも50%削減できたといいます。
さらに、最大収量の見込める施肥量が分かったことで、収量を15%もアップさせることができたそうです。
収量アップやコスト削減を目指す農家にとって、高価な農機が不要で、低コストかつ手軽に可変施肥を始められるザルビオは最適なツールといえるのではないでしょうか。
地力マップや生育マップを活用して、さらなる収量アップに取り組んでみてください。
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