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玉ねぎの定植に適した時期と株間は? 作業効率を上げる定植機も紹介
出典 : 奈良男 / PIXTA(ピクスタ)
  • 生産技術

玉ねぎの定植に適した時期と株間は? 作業効率を上げる定植機も紹介

この記事では、玉ねぎを形よく肥大させるための栽培のポイントやコツについて解説しています。播種から収穫までの栽培方法について、特に大切な定植のタイミングや条間・株間の取り方を 詳しく説明し、大規模農家向けに作業効率アップに寄与する定植機も紹介しています。

玉ねぎは、寒さに強い一方で暑さには弱く、病害虫にも注意が必要です。とう立ちもしやすく、丸く形よく肥大させるには適切な栽培管理とコツが必要です。栽培工程のうち、特に定植に着目し、最適なタイミングや時期について解説するとともに、おすすめの定植機を紹介します。

玉ねぎの栽培暦・スケジュール

玉ねぎは冷涼な気候に向き、発芽適温は15~20℃、生育適温は15℃前後です。肥大には日長の影響が大きく、日が長くなることで肥大を開始する性質を持っています。

そのため、温暖地では「秋まき春どり」、寒冷地である北海道では越冬が困難なため、「春まき秋どり」とするのが一般的です。秋播きでは9月頃に播種、11月頃に定植して冬越しさせ、5月頃に収穫、春播きでは3月上旬に播種、5月上旬に定植をして9月頃に収穫します。

定植に適した時期・タイミング

玉ねぎはとう立ちしやすく、大球の玉ねぎに仕立てるには定植のタイミングが非常に重要です。品種にもよりますが、播種後約2ヵ月経過し、苗の太さが5〜7mm、草丈が20~25cm程度になった頃が定植のベストタイミングです。

定植の際に苗が小さすぎると、大きな球になりません。反対に成長しすぎた苗を定植してしまうと、とう立ちしやすくなってしまいます。しっかりと肥大した良質な玉ねぎを収穫するためには、苗をよく見て定植のタイミングを見極めましょう。

また、気温が25℃以上になると生育が抑制されてしまうので、暑くなる前に収穫できるよう、遡って播種や定植の時期を決めてください。

玉ねぎの基本的な栽培方法・手順

玉ねぎ 苗

トマト大好き / PIXTA(ピクスタ)

土作りから収穫までの玉ねぎ栽培の手順に沿って、押さえておくべきポイントを説明します。

ほ場の準備(土作り~施肥)

ほ場には排水性のよい土壌を選びます。養分のバランスは、窒素(N):リン酸(P):カリウム(K)が0.76:1.56:0.76とするとよいでしょう。

施肥例としては、60平方m当たり堆肥を120kg、苦土石灰を6 kg、過リン酸石灰を4 kg、ジシアン555を4 kgなどとします。あくまでも一例なので、土質や環境によって調整してください。

施肥のあと、苗立枯病やべと病などの防除のため土壌消毒を行います。秋播きの場合、梅雨明け後の7月下旬に上記施肥例を参考に施肥をし、畝立てを行ったあと、十分に灌水(かん水)してから畝をビニールで覆い、20日以上日光に当てて太陽熱消毒を行います。

土壌消毒剤に農薬を用いる場合は、玉ねぎの登録がある殺菌剤を用います。玉ねぎの苗立枯病とべと病に登録のある登録がある下記の殺菌剤を紹介します。

玉ねぎ 土壌消毒 農薬

出典:農林水産消費安全技術センタ(FAMIC)農薬登録情報提供システムよりminnorasu編集部作成

農薬を使用する前にラベルの記載内容をよく確認し、使用方法を守って正しく散布してください。

播種~育苗・間引き

10a当たり3~4dLの種子を条播きします。10cm前後の条間で2〜3cm間隔にまきます。播種後は種子が隠れる程度に覆土し鎮圧したあと、十分に灌水します。乾燥を防ぐために、敷きわらや黒寒冷紗を敷き、芽が出揃ったら被覆を除去します。

間引きは、草丈6~7cmくらいで1回目、草丈10cmくらいで2回目を行い、最終的に株間6cmほどに調整します。間引きと同時に硬くなった条間をほぐし根元に土寄せすることで、倒伏を防ぎ、根張りがよくなります。

追肥は、発芽後20日頃に一度、化成8号を10a当たり1~2kg施用します。

定植(株間・条間の目安)

定植するほ場は、植え付けの1ヵ月~3週間前に堆肥を入れ、2週間前に石灰を入れます。玉ねぎは極端な酸性を嫌うので、弱酸性~中性に調整します。1週間前に元肥を入れ、畝立てをしたら、雑草対策に穴あき黒マルチを張っておくと、管理の手間が省けます。

定植は、適期を守ることが重要です。苗が一定の大きさに揃ったタイミングを見極めて行います。品種にもよりますが、茎の太さが5~7mm、草丈20~25cm、葉が3~4枚出ていることを目安にします。あまり小さいものは肥大せず、育ちすぎているものはとう立ちや分球の原因になるので避けましょう。

畝幅は90cm、通路30cm、条間12〜15cm、株間は15cmを目安として1穴1本ずつ植えていきます。浅植を基本とし、葉の分岐点が埋まらないように注意します。

植え付ける際に、苗の根を1cmくらいに切り詰める方法もあります。玉ねぎの古い根は定植後に枯れてしまい、新しい根が伸びることで根付くので、はじめから古い根を切っておく方法です。手間はかかりますが、根切りをしたほうが根付きが早くなります。

追肥~収穫

玉ねぎ 収穫時期

kinpouge / PIXTA(ピクスタ)

極早生・早生の品種で早出し栽培をする場合は、12月下旬から1月上旬に1回目の追肥をし、2月上旬から中旬あたりで止め肥をします。中生・中晩生で貯蔵栽培する場合は、1月上旬に1回目の追肥をし、3月上旬で止め肥をします。

1回目の追肥のあと、生長が悪い場合には2月上旬から下旬頃に2回目の追肥を行います。生育期の後半に追肥をしすぎると首のしまり(球の最上部のくびれ)が悪くなったり、貯蔵性が低下したり、窒素肥料の遅効きで球が腐敗しやすくなったりします。前述した止め肥のタイミングを守りましょう。

とう立ちが多くみられる場合は肥料不足の可能性があるので、追肥をします。

5月下旬から6月にかけて、葉先が枯れ、葉が倒伏し始めたら成熟のサインです。倒れた葉が枯れてしまう前に順次収穫します。

一度にすべて収穫する場合は、全体の8割程度が倒伏した頃が収穫のタイミングです。葉が黄ばみ始めると病気や腐敗が増えるので、葉が青いうちに収穫を終えることが大切です。

病害虫の防除

玉ねぎは、病害では主にべと病や腐敗病、また害虫ではアザミウマ類(スリップス 英名:Thrips)などの防除が必要です。

腐敗病の防除には台風の前後に銅剤や殺菌剤を散布、べと病には2月下旬から予防剤を散布します。また、変色や歪曲した罹病株を見つけたら、すぐに抜き取ってほ場の外に出し処分します。

アザミウマ類などの害虫を防ぐため、ほ場周辺の除草を徹底します。病害虫は早期発見・早期防除が基本です。発見次第、適用農薬を調べ、速やかに農薬による防除を行うことで被害を最小限に抑えましょう。

特に、寒冷地の「春まき秋どり」の作型では、生育中期~収穫期にかけて梅雨の過湿状態や夏の高温にさらされ、高温多湿を好む病害虫が発生します。よく観察し病害虫の早期発見に努めましょう。

定植作業の効率向上!導入したい定植機(移植機)おすすめ2選

大規模なほ場を持つ農家の場合、定植機を導入することで作業の効率が一気に上がります。移植と同時に灌水ができる機種もあります。

省力化重視の全自動型と、コストが抑えられ苗の選別をしながら定植できる半自動型があるので、状況に応じて選びましょう。

おすすめの2機種について、主な機能を含めた特徴(作業能率含む)とメーカー希望小売価格を紹介します。

【全自動型】専用育苗箱で苗の取出し・供給まで自動化「クボタたまねぎ移植機 OPK-4」

苗箱をセットするだけの全自動型で、ひと畝4条を毎分400株の高速で植え付けることができます。適応畝形状は畝幅130~150cm、条間24cm、株間は10~13cm。条間・株間が一定なので、栽培管理や収穫もスムーズに行えます。マルチと裸地どちらにも対応可能です。

軽トラックに搭載可能なコンパクトな機体で、運搬にも便利です。メーカー希望小売価格は2,623,500円(税込価格・2020年8月現在)です。

【半自動型】広めの株間・条間にも対応「ヰセキたまねぎ移植機 PVHR400-145TD」

乗用の4条移植機で、座ったままの簡単操作で、植え付けの切り替え、根付深さ調節、走行の微調整もでき、一人での作業が可能です。4条分の植え付けを一度でできるので、植え付けの効率がアップします。

適応畝形状は畝幅125~157cm、条間は20~24cmと21~29cm、株間は10~20cmまでと株間と条間を広くとることができます。メーカー希望小売価格は1,497,100円~1,731,400円(税込価格・2020年8月現在)です。

玉ねぎ 畑

kiki / PIXTA(ピクスタ)

玉ねぎは一年を通して安定した需要が見込め、畑作物のなかでは収益性が高い作物の1つです。定植や収穫のタイミングや適切な条間を見極めるコツをおさえ、余裕があれば定植機の利用も検討し、大きく肥大した質のよい玉ねぎの生産を目指しましょう。

大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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