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【畦畔の雑草対策】グランドカバーや除草剤を活用! 効率的な雑草管理のススメ

【畦畔の雑草対策】グランドカバーや除草剤を活用! 効率的な雑草管理のススメ
出典 : 株式会社キタデザ(北村笑店) / PIXTA(ピクスタ)

畦畔(けいはん)の雑草対策はなぜ難しいのか、何に注意すればより効率的な雑草対策ができるのかについて解説します。雑草による地盤強化を活用した対策についても紹介するので、ぜひ実践されてはいかがでしょうか。

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畦畔に雑草が生えることで、害虫が増えるなど、水稲栽培に支障をきたすことがあります。しかし、安易に除草すると畦畔の地崩れを引き起こすこともあり、悩ましいところです。この記事では雑草の強みを活かすグランドカバーなどの方法を紹介しているので、実践を検討してみてください。

規模拡大の障害に? 農家を悩ませる“水田畦畔の雑草対策”

水田と畦畔

ふるさと探訪倶楽部 / PIXTA(ピクスタ)

畦畔とは、水田と水田の間に作られた道のことです。水田の境界線を明確にするという役割だけではなく、水田に必要な水を管理する機能、作業用の通路としての役割もあります。

畦畔に雑草が生えていると、水稲の生長に影響を与える害虫が増殖したり、雑草類が繁茂します。中でも帰化アサガオ類など、防除が難しい雑草がほ場に侵入すると、水稲栽培に支障をきたすことがあります。そのため定期的な管理が必要です。

代表的な帰化アサガオ類 マルバルコウ・アメリカアサガオ・ホシアサガオ・マメアサガオ

代表的な帰化アサガオ類 マルバルコウ・アメリカアサガオ・ホシアサガオ・マメアサガオ
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

とはいえ、畦畔の雑草をこまめに管理することは簡単ではありません。高齢化や担い手不足により、畦畔管理にまで手が回らないという農家が多いのが現状です。

そこで、畦畔管理にかかる負担や時間を軽減するための工夫が必要です。畦畔管理の負担が軽減されれば、作物の栽培管理にかける作業量を増やし、品質向上や売上向上を図れます。また、ほ場の規模拡大もしやすくなるでしょう。

だから難しい…。畦畔の雑草対策における2つの留意点

畦畔の雑草 メヒシバ、チガヤ、スギナ、スズメノカタビラ

畦畔の雑草 メヒシバ、チガヤ、スギナ、スズメノカタビラ
ひろし58 / PIXTA(ピクスタ)・泉ちゃん / PIXTA(ピクスタ)・HP埼玉の農作物病害虫写真集

畦畔の雑草管理は、害虫対策や収量確保のためにも必要なことです。しかし、高齢化や担い手不足によって、思うように雑草管理ができない農家も少なくありません。

また、以下に挙げる2つのポイントも畦畔の雑草対策を難しくしています。

農耕地に当たるため、登録のない除草剤は使えない
除草剤の種類によっては、畦畔が崩れる原因になる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

農耕地に当たるため、登録のない除草剤は使えない

雑草対策として、はじめに思いつくのは除草剤の散布です。しかし、畦畔は農耕地に当たるので、水田畦畔での登録がない除草剤は使えません。そのため使える除草剤が限られ、手軽に処理できないという問題が生じます。

また、水田畦畔での登録がある除草剤でも、使用する濃度や散布方法が決待っています。水稲の生育中には散布できない除草剤もあるので登録内容を確認してください。

また、水稲の生育時期に散布する場合は除草剤が飛散しないように噴霧器のノズルに飛散防止カバーをつけると薬害リスクを抑えられます。

除草剤の種類によっては、畦畔が崩れる原因に

除草剤を使わずに、畦畔の雑草対策を実施している農家も少なくありません。雑草が伸びる都度、手作業や草刈り機によって、防除作業を実施している農家もしばしば見られます。

除草剤を使わない理由としては、雑草の根が畦畔を強化しているという側面があることが挙げられるでしょう。つまり、除草作業を行うことで雑草の根を残し、畦畔地盤がもろくなるのを回避しているのです。地盤がもろくなると地崩れを起こすだけではなく、水田の水漏れを引き起こすこともあるからです。

手間をかけずに雑草抑制! 畦畔の効率的な雑草管理方法

畦畔の草刈り

吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)

畦畔の地盤を強化するという観点から見れば、雑草は大いに役立ちます。しかし害虫を増やすだけではなく、水田に侵入して水稲の生育に影響を及ぼすこともあります。また、あまりにも雑草が繁茂すると、作業道としての役割も果たしにくくなるでしょう。

そこで雑草管理が必要です。畦畔の地盤を守りつつ、ほ場に好ましくない影響を与えないような雑草管理の方法として、次の2つが挙げられます。

グランドカバープランツ(被覆植物)を利用する
畦畔を崩さない除草剤を利用する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

グランドカバープランツ(被覆植物)で除草回数を減らそう!

グランドカバープランツとは、地面(ground)を覆う(cover)植物(plants)のことで、日本語では被覆植物(ひふくしょくぶつ)とも呼ばれます。

地表をグランドカバープランツが覆うと、ほかの植物、例えば雑草となる植物の生育を抑制することができ、除草回数を減らすことが可能です。

畦畔のグランドカバープランツとしては、イネ科のセンチピードグラス(ムカデ芝)が多く使われます。センチピードグラスは夏に生長します。冬は生育が一旦止まって、葉は枯れるものの根は残っているので、畦畔の地盤強化に活用しやすいのが特徴です。

うまく定着できれば、10年以上、除草作業の負担を軽減できるというメリットがあります。また美しく管理された様子に見えるため、景観も保たれるというメリットもあるでしょう。

しかし、以下のようなデメリットもあります。

・初年度は経費がかかる
・センチピードグラスが定着するまでは除草作業が必要
・草刈りの丈を間違うと枯れてしまう など

センチピードグラスは、移植によって定着させることが一般的です。直播と比べると負担がかかりますが、定着すれば強靭な畦畔を作れるでしょう。

センチピードグラス以外にも、畦畔に用いられるグランドカバープランツにはいくつかの種類があります。例えば、クリーピングベントグラスも、よく用いられるグランドカバープランツです。

クリーピングベントグラスは冬でも生育するため、時期を問わず緑色の畦畔を保ち、景観が美しいというメリットがあります。直播できるので、移植作業と比べると負担をかけずに施工できる点もメリットです。

しかし、除草作業中に生長点が切れてしまうと枯死することがあり、定着するまでの雑草管理に負担を要する可能性があります。とはいえ、定着すれば年に数回の草刈りだけで維持できるので、雑草管理にかかる負担を大きく軽減できるでしょう。

シバザクラによる畦畔の被覆

空アゲ / PIXTA(ピクスタ)

芝類以外では、シバザクラやヒメイワダレソウ、寒冷地ではクリーピングタイムやイワブキジャコウソウなどが畦畔の法面の被覆に使われています。

各地の農業試験場などで、その地域にあったグランドカバープランツの導入試験が行われているので調べてみるとよいでしょう。

“畦畔を崩さない”除草剤の活用

田植え前の畦畔

田植え前の畦畔
ysnature / PIXTA(ピクスタ)

畦畔を崩さずに雑草を防除できる除草剤もあります。例えば、BASFが販売する「バスタ液剤」は畦畔だけではなく、休耕田や耕起前の水田にも使えます。

バスタ液剤は散布するだけで除草できるので、草刈りと比べて負担と除草時間を減らすことができます。また抑草期間が約40~50日と長いので、除草作業の回数も軽減できます。

生育期の畦畔

生育期の畦畔
sakura / PIXTA(ピクスタ)

バスタは接触型の除草剤であるため、除草剤が付着した部分の草は枯れますが、除草剤が接触しない根は枯れません。そのため畦畔の強度を維持したまま、雑草管理ができるという特徴があります。使い方のポイントは以下のとおりです。

雑草の草丈が15㎝~30㎝が散布の適期
水稲の生育時期に散布する場合は、飛散防止カバーを使用し、水稲に除草剤がかからないように散布する
雑草の茎葉全体に薬液が十分に付着するように散布する

参考:BASFジャパン株式会社「BASF除草剤のバスタ」

BASF Agricultural Solutions Youtube公式チャンネル「畦畔でのバスタ®液剤の散布方法」

※農薬を使用する前にラベルの記載内容をよく確認し、使用方法を守って正しく散布してください。

畦畔の雑草を処理することで、畦畔に生息するカメムシの密度を下げ、カメムシの吸汁による斑点米の発生抑制につながります。斑点米の被害を抑えるためには早めの除草剤による雑草防除をおすすめいたします。

クモヘリカメムシによる斑点米

クモヘリカメムシによる斑点米
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

畦畔の除草は害虫防除の観点でも、水管理をはじめ栽培管理を効率的に行う観点でも重要です。とはいえ、雑草には根を張って畦畔を強固にするという効果もあるので、畦畔に応じた除草作業が求められます。

畦畔に適した除草管理の方法としては、グランドカバープランツを繫茂させることや、雑草の根を枯らさない除草剤を用いることが挙げられるでしょう。それぞれのメリットやデメリットを理解し、畦畔の除草管理に役立ててください。

水稲農家 スマート農業活用事例100キロ離れたほ場を手元で見える化。0.5haの小規模水稲栽培でもザルビオで黒字化

秋田県 長谷川様

■栽培作物
米・ネギ

導入の目的

▷作業の見える化
▷コスト削減による黒字化

課題・悩み

▷遠隔ほ場の管理に時間・コストがかかりすぎていた
▷現地の状況が見えず、作業計画の立てにくさと非効率を感じていた
▷小規模ほ場のため、労働コストを考慮すると採算が合わなかった

成果

▷生育マップでほ場を「見える化」し、見回り回数を週一回から月一回に削減
▷病害防除アラートによって効果的な適期防除が可能になり、農薬使用量・回数が減少してコストダウン
▷米の品質を維持しつつ、0.5haでも採算性のある水稲栽培が実現

詳しくはザルビオサイトへ

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林泉

林泉

医学部修士、看護学博士。医療や看護、介護を広く研究・執筆している。医療領域とは切っても切れないお金の問題に関心を持ち、ファイナンシャルプランナー2級とAFPを取得。

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