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キャベツの反収は?農家の収入例と、増収へ向けた取り組み例

キャベツの反収は?農家の収入例と、増収へ向けた取り組み例
出典 : gonbe / PIXTA(ピクスタ)

キャベツは家庭用だけでなく、加工・業務用でも利用されており、安定した需要があります。また、地域に合わせた作型を採ることで、各地のキャベツ農家の反収は増加しています。本記事では、キャベツの反収やキャベツ農家の年収、反収アップや収穫作業の省力化のコツを紹介します。

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反収やキャベツ農家の年収の目安を把握することで、経営目標や収支計画を立てやすくなります。本記事では、まずはキャベツの収穫量・作付面積と反収や、キャベツ農家の年収の目安を説明しています。そのうえで主要産地の経営指標を見ていきましょう。

キャベツの反収(10a当たり収量)データ

キャベツ反収(10a当たり収量)の推移

出典:農林水産省「作況調査(野菜)|長期累年|2022年」よりminorasu編集部作成

キャベツの反収は、1973年以降は増加傾向にあり、2021年は10a当たり4,329kgとなっています。

キャベツの作付面積と収穫量の推移

出典:農林水産省「作況調査(野菜)|長期累年|2022年」よりminorasu編集部作成

また、キャベツの作付面積を見ると1980年代から2000年頃まで減少していますが、2007年以降は3.3万ha〜3.5万haでほぼ横ばいです。

収穫量は、作付面積と同様に1980年代から2000年頃まで減少していますが、2004年以降は徐々に増加しており、2021年は148.5万tです。

キャベツの反収(10a当たり収量)が増えている理由は、栽培方法の最適化が図られているためだと考えられます。また、収穫量が増加している理由の1つには、加工・業務用キャベツの需要拡大が挙げられます。

しかし、キャベツの反収や収穫量は、出荷時期によって異なります。春キャベツ、夏秋キャベツ、冬キャベツを比較すると、反収は夏秋キャベツが最も多くなっています。

出荷時期別のキャベツの反収推移

出典:農林水産省「作況調査(野菜)|長期累年|2022年」よりminorasu編集部作成

一方、収穫量は冬キャベツが最も多くなっています。

出荷時期別のキャベツの収穫量の推移

出典:農林水産省「作況調査(野菜)|長期累年|2022年」よりminorasu編集部作成

夏冬キャベツの反収が高い理由には、特に夏冬キャベツの生産量が多い冷涼地で栽培管理の改善が図られているためだと考えられます。例えば群馬県では、キャベツの安定生産をめざして緑肥作物の作付けなどを検証しています(詳しくは後述)。

また、冬キャベツの収穫量が多い理由は、加工・業務用として求められるキャベツが、冬に栽培する寒玉系が中心であることが挙げられます。

なお、加工・業務用と家庭消費用では、品種、栽培方法・運搬・出荷の仕方が異なり、加工・業務用の方が反収や作業効率は高くなっています。

冬どりキャベツの反収・作業効率の比較(関東地域)

加工・業務用家庭消費用
反収約7t約5t
収穫~荷造り作業量
1人1時間当たり
約190kg約130kg

出典:野菜ビジネス協議会「刊行物ご案内」所収「加工・業務用野菜需要への取組に向けた『品目別・用途別ガイドライン』(改訂版)」

キャベツ農家は稼げる? 10a当たりの収入例と年収の目安

キャベツ 収穫 労働力

DREAMNIKON/ PIXTA(ピクスタ)

キャベツ農家の年収がわかる全国的な統計はないため、前項で紹介した全国のキャベツ栽培の反収や経営指標を参照し、年収の目安を算出します。

10a当たりの収入例

国内で最も取扱量の多い東京都中央卸売市場の取扱実績を見ると、2021年4月〜2022年3月のキャベツ1kg当たりの平均価格は80円です。

1kg当たりの平均価格80円に、2021年の反収4,330kgを掛けると、10a当たりのキャベツの年間の粗収益は約34.6万円となります。

また、2021年産の数値を使い、春キャベツ、夏秋キャベツ、冬キャベツの粗収益を試算した結果は以下の通りです。

計算式:平均価格(円)×反収(kg/10a)=粗収益(万円)

出荷時期別キャベツ粗収益の比較(2021年産)

春キャベツ
(4~6月収穫)
夏秋キャベツ
(7~10月収穫)
冬キャベツ
(11~翌3月収穫)
平均
平均単価73.3円82.3円83.2円80.0円
反収4,190kg/10a4,920kg/10a3,970kg/10a4,330kg/10a
粗収益30.7万円40.5万円33.0万円34.6万円

出典:東京都中央卸売市場「品目別取扱実績(キャベツ)(2021年4月〜2022年3月)」、農林水産省「作況調査(野菜)|確報|令和3年産野菜生産出荷統計|年次|2021年」よりminorasu編集部作成

2022年産の数値を使い同様に試算した結果は以下の通りです。

出荷時期別キャベツ粗収益の比較(2022年産)

春キャベツ
(4~6月収穫)
夏秋キャベツ
(7~10月収穫)
冬キャベツ
(11~翌3月収穫)
平均
平均単価96.3円73.8円86.2円84.0円
反収4,130kg/10a4,900kg/10a3,990kg/10a4,300kg/10a
粗収益39.8万円36.2万円34.4万円36.1万円

出典:東京都中央卸売市場「品目別取扱実績(キャベツ)(2022年4月〜2023年3月)」、農林水産省「作況調査(野菜)|確報|令和4年産野菜生産出荷統計|年次|2022年」よりminorasu編集部作成

2021年産では最も販売収入が低かった春キャベツが、2022年産では最も粗収益が高くなっています。したがって、作型によって極端に収益性が高い・低いといった傾向はなさそうです。

[参考1]キャベツ農家年収|経営収支

農林水産省が2007年まで行っていた統計に「品目別経営統計」があります。古い統計ですが、品目別の収支が明確なのでまず紹介します。

キャベツ農家の所得目安(2007年)

10a当たり1戸当たり
平均粗収益39.2万円387.7万円
平均経営費21.0万円207.6万円
農業所得(年収額)の目安18.2万円180.1万円

出典:農林水産省「農業経営統計調査 平成19年(2007年)産品目別経営統計 農業経営収支(1戸当たり) 露地野菜作経営 キャベツ」よりminorasu編集部作成

キャベツ農家1戸当たりの所得は180.1万円となっています。10a当たりの所得が18.2万円なので、1戸当たり1ha程度のほ場だと考えられます。古いデータではありますが、所得の目安にしてみてください。

[参考2] 群馬県の経営指標

キャベツの反収を知るもう1つの目安として、キャベツの収穫量が全国トップクラスを誇る群馬県が公開している、2020年の農業経営指標を紹介します。

10a当たり夏秋どり・高冷地冬どり・平坦地
平均収量7,000kg4,800kg
平均粗収益59.5万円47.0万円
平均経営費49.4万円31.0万円
農業所得(年収額)の目安10.1万円16.0万円

出典:ぐんまアグリネット「農業経営指標」所収「R2農業経営指標/単位当たり」

10a当たりの収量は夏秋どり・高冷地キャベツが7,000kg、冬どり・平坦地キャベツが4,800kgで、夏秋どり・高冷地キャベツのほうが収量が多くなっています。しかし、農業所得(年収額)の目安は、冬どり・平坦地キャベツで高くなっています。

したがって、収量が多ければ多いほど所得が多くなるわけではなく、需給バランスや収穫時期などの条件との組み合わせで所得が変動するとわかります。

キャベツの反収を増やす! 収量増の取り組み例

キャベツ 越冬 霜

Yoshi / PIXTA(ピクスタ)

キャベツの反収アップにつながる3種類の取り組みについて事例をもとに紹介します。

▼品質や収量を上げるキャベツ栽培のコツは、以下の記事でも解説しています。

長期間の収穫・出荷を可能にする作型の採用

限られた労力の中で反収を増やすためには、播種の時期をずらしたり品種を組み合わせたりして、多くのキャベツを収穫・出荷できる作付計画を立てることが重要です。ここでは、宮城県で取り組んでいる4~6月どりキャベツ栽培について紹介します。

宮城県では、4~6月どりキャベツを9月中旬以降に定植して越冬させます。長期間収穫するために、4月どりの定植を9月中下旬に、5月どりの定植を10月上中旬に、6月どりの定植を10月中下旬にずらしています。

播種の時期を変えると各生育ステージでの生育環境が変わるため、それぞれの環境に適した品種選びと栽培管理が必要です。

例えば、4月どりキャベツは、播種や育苗が夏季に当たるため、高温対策が欠かせません。また、6月どりキャベツは収穫時期の低温降霜や降雨などを考慮して品種を選ぶ必要があります。

宮城県では、4~6月どりキャベツの品種として、低温に強い 「冬藍」「彩音」「夢ごろも」「ことみ」などを栽培しているようです。

また、計画通りに収穫時期を調整するポイントは、苗を均一に育成することです。宮城県は苗質がよく揃って乾燥にも強い「長期無追肥育苗」を推奨しています。

出典:宮城県「ほ場整備地区における高収益作物の栽培法について」所収「ほ場整備地区における高収益作物の栽培法(その2)」

収量増につながる「白黒ダブルマルチ」の導入

広島県の西部農業技術指導所による指導で実証が行われ、生育を改善できた取り組みが白黒ダブルマルチを活用したキャベツ栽培です。

白黒ダブルマルチとは、表面に害虫忌避効果のある白いフィルム、裏面に雑草を抑制する効果のある黒いフィルムで構成される特殊複層フィルムをマルチとして使用する手法です。表面の白は太陽光線を反射し、裏面の黒は光線の透過を防ぐため、地温を下げる効果があります。

白黒ダブルマルチを利用すると、高温期でも比較的温度の低い環境を作り出すことができるので、作物への高温ストレス軽減による品質の向上が期待できます。

広島県の実証実験では、8月20日の定植後に高温が続いたものの、苗はまったく枯れず順調に生育し、11月に収穫を迎え加工用に出荷しています。

出典:広島県「広島の旬の農業情報が満載‼|平成28年度(2016年)」所収「白黒ダブルマルチ導入でキャベツ収量アップ!」

収穫後の緑肥作物の作付け

キャベツの収穫量が日本一の群馬県にある嬬恋村では、夏秋どりキャベツを安定的に生産するため、キャベツを収穫したあとに緑肥作物の作付けが行われています。

嬬恋村では、特に傾斜地で土壌の腐植含量が減少して作土層の理化学性が低下する問題が発生していました。収穫・耕うん後の降雨が土壌を流亡しやすくしていることが、原因の1つとして考えられています。

この対策として、収穫後の緑肥作物の作付けを検討しました。緑肥作物を作付けすれば、カバークロップの効果を発揮して、土壌流亡を抑制することが期待できます。また、緑肥作物をすき込むことで、長期的な土壌環境の改善効果も期待できます。

嬬恋村で行われた栽培試験では、キャベツ栽培に適応した緑肥作物の種類・播種時期として、「アウェナストリゴサ」を8月上旬~下旬播種、「超極早生ライムギ」を8月下旬~9月中旬播種、「中晩生ライムギ」を9月中旬~下旬播種することで有機物の供給と土壌流亡を抑制することが期待できるとしています。

出典:群馬県「農業技術センター研究報告第18号(2021)」所収「嬬恋村の夏秋どりキャベツ栽培に適応した緑肥作物の選定」

キャベツ農家の増収には「省力化&規模拡大」も必須

加工・業務用キャベツのコンテナ収穫

瑞鳳 / PIXTA(ピクスタ)

キャベツ栽培で収益を上げるためには、反収の改善や大規模化が有効です。ただし、反収を短期間で大きく向上させることは現実的ではありません。そのため、収益を上げるには大規模化を検討する必要もあります。

規模拡大のポイントとなるのは、加工・業務用キャベツへの導入です。加工・業務用キャベツは規格以上の大きさであればよく、コンテナ収穫が可能なので、収穫作業と選別作業の負荷が小さくなります。

群馬県と並ぶキャベツの主力産地である愛知県では、「パレテーナ」という搬送器具を用いて収穫から出荷までを合理化し、収穫作業の大幅な省力化に成功しています。

収穫したキャベツをパレットとコンテナが一体化したパレテーナに積み込み、そのまま卸売市場や加工業者に出荷することで、箱詰めなどの作業が省力化されるだけでなく、出荷に使っていたダンボールなどの資材コストも削減可能です。

出典:愛知県「田原地域」所収「加工用キャベツ導入による経営安定の実践」

▼加工・業務用キャベツ収穫機の選び方やスマート農業の実践方法以下の記事をご覧ください。

キャベツの栽培と一口にいっても、用途や品種、収獲のタイミングによって栽培方法は大きく変わります。どのような品種や栽培方法を選ぶかにより収益性が変わるため、ご自身の状況に合わせて計算してください。

また、新しい技術を導入して省力化すれば、収益の増加につながりやすくなります。将来的な構想も考えながら、キャベツの栽培を始めてください。

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大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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