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SU抵抗性雑草とは? 判別・対策方法と、使える除草剤例一覧

SU抵抗性雑草とは? 判別・対策方法と、使える除草剤例一覧
出典 : 春夏秋冬/ PIXTA(ピクスタ)

SU抵抗性雑草は、一度発生すると次世代以降にも抵抗性が遺伝するため、防除体系の見直しが必要です。本記事では、各地で発生している主なSU抵抗性雑草を紹介するとともに、SU抵抗性を持つかどうかの見分け方や、効果的な防除体系について解説します。

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SU抵抗性雑草とは、スルホニルウレア系除草剤に抵抗性を持ち、除草剤が効かなくなる雑草のことです。近年、各地でSU抵抗性雑草が増え、水稲農家を悩ませています。SU抵抗性雑草を繁殖させないためには、早期に判断し、適切な農薬に切り替えることが重要です。

SU抵抗性雑草(スルホニルウレア系除草剤抵抗性雑草)とは?

水田 SU抵抗性雑草 オモダカ

kikisorasido/ PIXTA(ピクスタ)

まずは、SU抵抗性雑草と呼ばれる雑草の特徴と、スルホニルウレア系除草剤の判別方法について解説します。

スルホニルウレア系除草剤(SU剤)に対する抵抗性雑草の総称

近年、幅広い雑草に効く効率的な防除方法として、多くの水稲農家で「一発処理除草剤」が利用されています。一発処理除草剤の多くは「スルホニルウレア系化合物」を主成分として含んでおり、それらを総称して「スルホニルウレア系除草剤(SU剤)」といいます。

SU剤の登場で、広範囲を効率的に除草できるようになりました。ところが、SU剤を連用することで、水田に発生する雑草のうち特定の草種がスルホニルウレア系化合物に対して抵抗性を獲得し、同成分では防除できなくなってきました。

このように、連用により防除できなくなる雑草を「SU抵抗性雑草」と呼びます。国内では、1995年に北海道でミズアオイの抵抗性獲得が確認されて以来、全国的に多くの雑草で発生し問題視されています。

SU抵抗性は顕性(優性)遺伝であり、一度抵抗性を獲得した雑草は、世代が変わっても抵抗性を持ち続けます。そのため、従来の方法では十分に防除できず、収量への影響や、防除にかかる労力やコストの増加が懸念されています。

また、抵抗性を持ったことに気付かず何年も同じ除草剤を使い続けることで、特定の雑草が急激に繁茂し水田を覆うケースも見られるので、早期発見と早期対応が必須です。

【参考】 スルホニルウレア系除草剤(SU剤)とは?

SU抵抗性雑草を見分ける、または対策を講じるためには、SU剤の特徴を知り、自身が使用している除草剤がSU剤に該当するか判別することが重要です。

水稲除草剤として使用されるSU剤の主要成分としては、主に次のものが挙げられます。

<スルホニルウレア系除草剤(SU剤)の主要成分>

・ベンスルフロンメチル
・ピラゾスルフロンエチル
・アジムスルフロン
・イマゾスルフロン
・エトキシスルフロン
・シノスルフロン
・シクロスルファムロン(スルファモイル尿素系)
・ハロスルフロンメチル

もともとSU剤は、少ない薬量で幅広い雑草に対して効果を発揮するうえ、残効期間も長く、人や環境に及ぼす影響も少ないなど、多くの優れた特性があります。

水稲栽培では、主に一発処理除草剤の主成分として使われてきました。一発剤のメリットを活かしつつ適切な方法で使用し、抵抗性雑草の発生を抑えることが求められます。

主なSU抵抗性雑草の種類と見分け方

水田 イヌホタルイ

イヌホタルイ
kog_pix / PIXTA(ピクスタ)

SU抵抗性の獲得が報告された雑草の種類は、毎年のように増加しています。中でも、水稲栽培で特に気を付けるべき代表的なSU抵抗性雑草を紹介します。

アゼナ類

アゼナ

アゼナ

アゼナ
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

アメリカアゼナ

アメリカアゼナ

アメリカアゼナ
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

タケトアゼナ

タケトアゼナ

タケトアゼナ
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

アゼナ類では、代表的なアゼナ・アメリカアゼナ・タケトアゼナの3種類について、1997年と2000年にSU抵抗性が報告されています。

出典:日本雑草学会HP「内野彰これまでに日本で除草剤抵抗性が報告されている雑草. 2023.3.27. 」

アゼナ類は、古くから全国各地にごく普通に自生するアゼナ科の広葉一年生雑草です。アメリカアゼナとタケトアゼナは帰化植物ですが、多くの地域で3種が共存していると考えられています。

水稲の生育や収量に直接影響するような被害はほぼありませんが、作業の際にトラクターや農具に付いて水田全域へ広がり、群生して田を覆うこともあります。

湛水条件下でも発生しますが、土壌が湿っていて空気にも触れるような状態を好み、発生が助長されます。

▼アゼナ類の防除対策について、詳しくは以下の記事も参照してください。

イヌホタルイ

イヌホタルイ(8月上旬頃の様子)

イヌホタルイ

イヌホタルイ
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

イヌホタルイは、1998年と1999年にSU抵抗性が報告されています。アゼナ類と同様に、全国でごく普通に見られる雑草です。

出典:日本雑草学会HP「内野彰(2023)これまでに日本で除草剤抵抗性が報告されている雑草. 2023.3.27. 」

イヌホタルイの発生が直接収量や品質に影響を及ぼすことはありませんが、小穂が実るとカメムシを誘引するため、斑点米が増加する恐れがあります。

種子は土中で10〜20年生存し、湛水条件下で15℃以上になると発芽します。3cmの深さの土中からも出芽し、発芽位置が深い場合は農薬の効果が出にくいことがあります。

▼イヌホタルイなどホタルイ類の防除対策について、詳しくは以下の記事も参照してください。

コナギ

コナギの葉と花

コナギ

コナギ
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

コナギは、北海道北部を除く全国各地で見られるミズアオイ科ミズアオイ属の雑草で、2000年と2002年にSU抵抗性が報告されています。最初にSU抵抗性雑草が報告されたミズアオイと同属で、それよりも小型です。

出典:日本雑草学会HP「内野彰(2023)これまでに日本で除草剤抵抗性が報告されている雑草. 2023.3.27. 」

窒素吸収が旺盛なため、多発したり窒素が不十分な土壌に発生したりすると、水稲の生育に大きな影響を及ぼします。

種子は湿田条件で10年、乾田条件下ではそれ以上長く生存します。湛水で気温が15〜16℃の条件下でよく発芽し、寒冷地や早期栽培地など好適条件であれば50〜60日間も発生し続けます。

▼コナギの防除対策について、詳しくは以下の記事も参照してください。

オモダカ

オモダカ(7月上旬頃の様子)

オモダカ

オモダカ
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

オモダカは全国の水田でよく見られる雑草で、特に東北や北海道、関東以西の高地で多く発生します。2002年と2014年にSU抵抗性が報告されています。

出典:日本雑草学会HP「内野彰(2023)これまでに日本で除草剤抵抗性が報告されている雑草. 2023.3.27. 」

直径0.5〜1cmの塊茎から萌芽し、生長すると矢じり型の特徴的な成葉を伸ばします。休眠性があり、秋には地中に新しい球根を作って越冬します。

地表から25cmもの深さからでも萌芽し、休眠性もあることから、一斉に防除することが難しい難防除雑草の1つです。また、同種の中で個体差が大きく、株の大きさや葉の形、休眠性が異なるものも多く見られます。

▼オモダカの除草対策について、詳しくは以下の記事も参照してください。

抵抗性の有無はどう見極める? SU抵抗性雑草の判別方法

水田 除草

天空のジュピター / PIXTA(ピクスタ)

前述した種類に代表される雑草が、一発処理除草剤の使用後も水田に残っている場合、それがSU抵抗性を獲得しているためなのか、ほかの理由で除草に失敗したためなのか、違いは見た目では判別できません。

そこで以下では、除草後の状態から、SU抵抗性があると自分で判別できるポイントを紹介します。いずれの状態も、除草剤の使用時期や使用量、使用方法が適切であることが前提です。

<SU抵抗性の判断ポイント>
・特定の種類の雑草だけが多く残っている
・残った雑草の生育が進んでいる(大きな雑草が残っている)
・一年生の雑草または種子繁殖を主とする多年生の雑草など、比較的農薬が効きやすい雑草が残っている(オモダカやクログワイなどの難防除品種ではない)
・毎年除草剤で防除を行っているが、ここ数年で急激に特定の雑草が多発している


上記に当てはまる場合は、SU抵抗性を獲得している疑いが高いと考えられます。オモダカやクログワイの場合は、難防除品種であるうえにSU抵抗性を獲得している場合もあります。

上記以外で、多様な雑草が残っている場合や、除草剤使用後すぐに新しい雑草が育ってきた場合は、防除の失敗や、水管理の失敗による早期の効果切れが考えられます。

以前は、2003年に宮城古川農試・水田利用部・水稲作チームが開発したSU抵抗性検定装置「発根法ITOキット」も利用されていましたが、現在は製造されていないようです。

その代わりに、ペットボトルやプラスチックポットを使い、市販のALS阻害型水稲用除草剤を試供する検定方法が提示されていますので、参考にしてください。

出典:農研機構「水田雑草のスルホニルウレア抵抗性簡易検定キットの開発」 
日本雑草学会 「雑草研究 66巻,4号(2021年)」所収「イヌホタルイ(Schoenoplectus juncoides)における市販の水稲用除草剤を用いた 発根法によるスルホニルウレア系除草剤抵抗性の簡易検定」

SU抵抗性雑草への対策と、防除に使える除草剤一覧

雑草のない水田

takagix / PIXTA(ピクスタ)

ここでは、SU抵抗性雑草を効果的に防除するための対策と、有効な除草剤を紹介します。

SU系以外の除草剤による体系処理が効果的

SU抵抗性雑草がまだ発生していない場合は、SU成分が同じ混合剤の連続使用を避け、SU剤を含まない除草剤も加えたローテーション体系で防除することを基本とします。

発生予防においては、ローテーションで使用することで、SU剤への抵抗性を持たせないことが重要です。

SU抵抗性雑草の発生が確認された水田では、まず周囲への拡散を防ぎ、翌年の発生をできる限り抑えるために、中期剤または後期剤で残存した雑草を防除します。

一度SU抵抗性雑草が発生したら、翌年からSU剤を含まない除草剤に切り替え、初期剤と中期剤・後期剤を組み合わせた防除体系に変更することが重要です。

または、SU剤を含んでいても、抵抗性雑種に効果のある成分も含む除草剤を使用し、体系除草を行いましょう。一発剤を使用する場合でも、目的の雑草に効果がある成分を2つ以上含むものを選びます。

SU剤を含む除草剤を使用する場合は、できる限り葉齢の小さい時期に処理するのが効果的です。いずれの場合でも、除草剤の使用方法を守ることが基本です。

SU抵抗性雑草に有効な成分と、含まれる除草剤の例

SU抵抗性雑草の中でも、特に前出のアゼナ・イヌホタルイ・コナギ・オモダカの防除に使えるSU成分以外の成分と、それが含まれる除草剤は以下のとおりです。

※なお、ここで紹介する除草剤は2023年5月11日現在、登録が確認されているものです。実際の使用に当たっては、必ず使用時の登録を確認し、ラベルをよく読んで用法・用量を守りましょう。登録の確認は、「農薬登録情報提供システム」で確認できます。

■アゼナ
<SU抵抗性アゼナに効果のある成分>
プレチラクロール、クロメプロップ、ペントキサゾン、カフェンストロール、シメトリンとMCPB混合剤、ベンタゾンなど

<上記成分が含まれる除草剤の例>
エリジャン乳剤、ミスターホームランLジャンボ、ドリフ1キロ粒剤、トップガンLジャンボ、ベクサーフロアブル、イッテツフロアブル、クミメートSM1キロ粒剤、バサグラン粒剤(ナトリウム塩)
など

主に雑草発生前の初期散布が有効ですが、「イッテツフロアブル」「クミメートSM1キロ粒剤」「バサグラン粒剤(ナトリウム塩)」は中期剤として使用します。また、除草剤はアゼナ類では登録がないため、上記はすべて「水田一年生雑草」などに登録のあるものです。


■イヌホタルイ
<SU抵抗性イヌホタルイに効果のある成分>
ブロモブチド、プレチラクロール、ブタクロール、ダイムロン、シメトリンとMCPB混合剤、ベンタゾンなど

<上記成分が含まれる除草剤の例>
トップガンフロアブル、エリジャン乳剤、マーシェット乳剤、バトル粒剤、クミメートSM1キロ粒剤、BASFバサグラン粒剤(ナトリウム塩)など

アゼナ類と同様に初期散布が基本ですが、MCPBとシメトリンの混合剤である「クミメートSM1キロ粒剤」、ベンタゾンを含む「BASFバサグラン粒剤(ナトリウム塩)」などは中期から後期に使用します。


■コナギ
<SU抵抗性コナギに効果のある成分>
クロメプロップ、ブロモブチド、プレチラクロール、テフリルトリオン、シメトリンとMCPB混合剤、ベンタゾンなど

<上記成分が含まれる除草剤の例>
トップガンフロアブル、エリジャン乳剤、ミスターホームランLジャンボ、ドリフ1キロ粒剤、シグナスフロアブル、クミメートSM1キロ粒剤、バサグラン粒剤(ナトリウム塩)

効果のある成分は水田雑草の多くに共通していることが多く、ほとんどの除草剤でアゼナ類やイヌホタルイなどと同時防除できます。テフリルトリオンは比較的新しく効果の高い成分です。

シメトリンとMCPBの混合剤である「クミメートSM1キロ粒剤」や、ベンタゾンを含む「バサグラン粒剤(ナトリウム塩)」は、中期剤・後期剤として有効です。

なお、除草剤にはコナギでは登録がないため、上記はすべて「水田一年生雑草」などに登録のあるものです。


■オモダカ
<SU抵抗性オモダカに効果のある成分>
ベンゾフェナップ、ピラゾレート、MCPB、ベンタゾン

<上記成分が含まれる除草剤の例>
ホクコーユニハーブフロアブル、クミメートSM1キロ粒剤、バサグラン粒剤(ナトリウム塩)

オモダカに効果のある除草剤も、ほとんどがほかの雑草と同時防除できます。ベンゾフェナップ・ピラゾレートを含む除草剤は発生前の初期に使用し、MCPB・ベンタゾンを含む除草剤は中期・後期に使用し、残った雑草を防除します。

SU抵抗性雑草は年々増え続け、各地で水稲栽培を行う地域全体に被害が広がっています。まだ発生していない地域でも、常に発生する危険性があると考え、SU剤を含まない除草剤とのローテーション体系を組むなど、早急に予防体制を整えましょう。

また、すでに発生した地域では、被害が周囲に広がらないよう、中期剤・後期剤を組み合わせ徹底した防除を行うことが重要です。

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大曾根三緒

大曾根三緒

ビジネス、ペット、美術関連など多分野の雑誌で編集者として携わる。 全国の農業協同組合の月刊誌で企画から取材執筆、校正まで携わり、農業経営にかかわるあらゆる記事を扱かった経験から、農業分野に詳しい。2019年からWebライターとして活動。経済、農業、教育分野からDIY、子育て情報など、さまざまなジャンルの記事を毎月10本以上執筆中。編集者として対象読者の異なるジャンルの記事を扱った経験を活かし、硬軟取り混ぜさまざまなタイプの記事を書き分けるのが得意。

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